Seminar

「動画」「リアルイベント」「IP化」…スマホゲーム業界を牽引する各社が語るマーケティング戦略

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

2017年4月26日、マイネットグループのネクストマーケティングが、東京・六本木のベルサール六本木にて「Next Marketing Summit 2017 Spring」を開催しました。

本稿では、そこで行われたセッション「各社キーパーソンが考えるマーケティング戦略と未来」の様子を紹介します。

登壇者は、サイバーエージェントの齋藤隼一氏、セガゲームスの吉田大氏、DeNAの佐藤基氏、NEXONの鈴木恵慈郎氏と、モバイルゲームのマーケティングを担うキーパーソンが揃い、モデレーターはアカツキの立山早氏が務めました。

モバイルでのマーケティング動向

立山氏は、まず「モバイルゲームにおけるマーケティングの変化」というテーマを投げかけました。数年前まで、マーケティングは“プロモーション”や“広告”という意味合いでしたが、次第に業界各社が差別化を計るようになり、戦術ではなく戦略が求められるようになっています。この変化を、マーケティングの最前線に立つ登壇者たちは、どのように感じているのでしょうか。

▲モデレーター:アカツキ Global Growth Guild General Manager 立山早氏

DeNAで7年間マーケティングを牽引してきた佐藤氏は、その変化を肌で感じてきたと言います。同氏は、SNSや最新ニュースのチェックなど、スマートフォンでできることが増えたため、ユーザーの可処分時間に対するシェア率が競争のポイントとなっていると、最近の動向を指摘しました。一方で、「これからのマーケティングは、もっと自由で、面白くて、色々なことがダイレクトにできる」と言い、戦略の幅が広がっているという点にも言及しました。

セガゲームスの吉田氏からは、長期間運営されてきたタイトルもあることから、「ユーザーがこれまで集めてきたアセットが、今後も無駄にならないような配慮が必要」とし、LTVを高める戦略の重要性が示されました。

運用面からは、齋藤氏が「一定のKPIに固執しすぎている気がする。そのせいで新しい手法が出てこないのでは」と話し、KPI再設定の必要性を指摘しました。

トリプルメディアでの距離感と、面白さの伝え方

次に、「トリプルメディアのプランニングと実施体制」というテーマが話されました。

トリプルメディアとは、有償広告、オウンドメディア、SNSを指す言葉ですが、吉田氏は「どの面でも、ユーザーに対して押し売りになっていないか」という視点が必要だと言います。求めてられていない要素を訴求しても、かえってユーザーを離脱させてしまいます。セガゲームスでは、離脱リスクの高いユーザーを析出し、離脱を防ぐ施策に注力しているということです。

▲セガゲームス DMS統括部 ソリューションビジネス2部 部長 吉田大氏

ユーザーの声は非常に重要ですが、佐藤氏は「自分たちのゲームの面白さを、自分たちで理解する」ことも、また必要だと言います。ゲームで、どのような瞬間が面白いのかということを理解した上で、ユーザーとの対話を交え、面白さを伝えていくことに重きを置いているのだそうです。そのために、DeNAでは、タイトルごとに専任の宣伝プロデューサーが置かれており、ゲームタイトル、市場、ユーザーに対する深い理解の下で施策を展開できる体制が採用されています。

ファンのための施策

最近話題となっている、動画マーケティングとリアルイベントについても議論が交わされました。このような手法で得られる効果は様々ですが、佐藤氏は「熱心なファンのため続けている」と、その目的を明らかにしました。

▲DeNA 宣伝部 シニアマーケティングプロデューサー 佐藤基氏

DeNAの人気タイトルのひとつ『逆転オセロニア』では、特にリアルイベントに力を入れているといいます。同作はオセロをモチーフとした、1 vs 1の対戦型ゲームです。佐藤氏は「一緒に遊ぶと楽しいゲームだし、目の前の人と遊ぶともっと楽しいゲーム」といい、リアルイベントを、ファン同士が実際に会って対戦できる場として位置づけているのだそうです。

これに対し、吉田氏から「投資対効果を問われることはないのか」と、鋭い指摘が挙がりましたが、佐藤氏は「『オセロニア』の価値観を重視して、これはやるべきだという判断をした。予算の取り合いではなく、戦略に基づいて進めることができている」と応えていました。

「IP化」に必要なことはなにか

多くのヒットアプリが出ている中、その世界観を継承・拡張する「IP化」という戦略が求められています。立山氏は、Happy Elementsの『あんさんぶるスターズ!』を例に挙げ、その効果の大きさを示し、「IP化」を成功させるためにはどうすればよいのかと、課題を提示しました。

まず、齋藤氏が「プロモーションの力で育てると考えがちだが、ファンのみなさんと歩みを揃えて運営をしていくことが大事」と話しました。続いて、ネクソンの鈴木氏は「よりユーザーの印象に残る接触点を作るようにしている」と述べました。ネクソンには、『メイプルストーリー』『マビノギ』といった10年以上続くタイトルがあります。その中で、ゲーム体験、SNSなど、ユーザーと接触する全てのポイントで「長く愛されるためのエクスペリエンスを重視」し、マネジメントを行っているということでした。

▲サイバーエージェント 宣伝本部 ゲームプロモーション室 室長 齋藤隼一氏

登壇者からはIPを巡る様々な意見が出ましたが、立山氏は「収益は、必ずしもゲームそのものでなくてもいい。メディアミックス、グッズ化など総合的に考え、ゲームだけで完結させる必要はないのかもしれない」と今後の可能性を示し、「IP化」はプロデューサーとしての手腕が問われる課題だと、議論をまとめました。

マーケティング戦略が成否の鍵

最後のテーマは、各社における今後のマーケティング戦略です。ネクソンの鈴木氏は「オリジナルタイトルでグローバルでのヒットを狙いたい」と話しました。日本、中国、韓国はゲームの嗜好が似ているため、中国・韓国のタイトルの流入がさらに加速する一方、日本のタイトルがグローバル展開できるチャンスもあることから、積極的な展開を目指しているということでした。

▲NEXON モバイルマーケティング室 室長 鈴木恵慈郎氏

DeNAの佐藤氏からは「『パズドラ』『モンスト』に続く、国民的な作品が生み出される可能性は十分にある。業界の未来は明るいが、戦略は非常に大事になってくる」という指摘がありました。日常生活でスマートフォンにかける時間とお金が増え、「エンタメの中心がスマホにシフトする」と予見されるものの、同時に競争も激しくなります。そこで、「面白さをいかにプロデュースし、伝えていくか」という戦略が、ビジネスとしての成否を左右するとしました。

セガゲームスの吉田氏も、グローバル展開に注力していく旨を話し、それと並行して、「業務の自動化・省力化にも投資していきたい」と言います。これは、他社に負けないことを目的としたものではなく、新しいツールの開発や導入を「チャンスを広げるための投資」と位置づけているということでした。

サイバーエージェントの齋藤氏も、吉田氏と同様に「生産性を高めるシステムを導入したい」と話しました。また、様々な事業領域に踏み出しているCAグループの強みを活かし、「サイバーエージェントは1つのチームとして、作るところから広告展開まで迅速な意思決定で勝っていきたい」と、今後の展望を述べていました。

本セッションと同日に、主催者であるネクストマーケティング社から広告情報を一元管理する「Active Sonar」が発表されました。同サービスは、手間のかかる集計作業をダッシュボードで瞬時に表示するといった機能を提供するというもので、広告管理業務の大幅な省力化に繋がるサービスとして注目を集めていました。今後に先駆け、戦略とツールが一体となったスマートなマーケティングの重要性を予感させるイベントとなりました。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でPick UPs!をフォローしよう!

神谷美恵

投稿者の記事一覧

1984年生まれ。立教大学 社会学部 卒業後、富士通マーケティングに新卒で入社。その後、ITインフラ・クラウド事業を行う企業でサービス企画、 プロジェクトマネージャーに従事。趣味はガンダム研究とゲーム全般。(illust 黒川依)

関連記事

  1. デジタルガレージが7月12日に「LINE Ads Platfor…
  2. ITイベント情報サイト「dots.」が「TECH PLAY(テッ…
  3. ゲンロンカフェがVRをテーマにイベントを4月26日に開催 ゲスト…
  4. グリーとスマホ学習塾「アオイゼミ」が、中高生・保護者向けに情報モ…
  5. 聖地巡礼がアニメビジネスに果たす役割とは セミナー「アニメ映画か…
  6. セミナー「スマホゲーム×動画マーケティング」が2月17日に開催 …
  7. 「ゲーム業界就職・転職イベント G JOB FESTA 2017…
  8. 「若手ゲームクリエイターのための転職活動支援セミナー」が5月24…

セミナー / イベント

おすすめ記事

「IP」とは何か…『グランブルーファンタジー』に学ぶIPマネジメント戦略

『ファミ通』の調査によると、昨年の国内家庭用ゲーム(コンシューマーゲーム)の市場規模は2994.8億…

ゲーム音楽プロ交響楽団「JAGMO」の衝撃 – ゲーム音楽の転換点になるのか

ゲーム音楽は、音が鳴るという意味では1970年代頃から、場面転換や表現のための楽曲としては1980年…

最近の投稿

プロモーション

お知らせ

SNS

Facebook




Twitter

PAGE TOP