2017年リリース予定の注目ゲームアプリ 20社の取り組み(前編)

大ヒットゲームアプリ『パズル&ドラゴンズ』が世に出てから、今年で早5年(2012年2月リリース)。昨年も『ポケモンGO』やPvPタイトルの台頭、任天堂が参入するなど、ゲームアプリの話題は事欠きませんでした。そして2017年も多種多様なゲームアプリがリリースを控えています。

今回の記事では、「2017年リリース予定の注目ゲームアプリ」と題して、提供ゲーム会社20社の動向に迫りたいと思います。ちょっと数が多いので、10社ずつ前後編に分けてお届けします。2017年のゲームライフを楽しみたいユーザーはもちろん、市場動向を知りたいゲーム業界関係者もご覧いただければ幸いです。

 

任天堂

■ファイアーエムブレム

■どうぶつの森

2016年、ついに任天堂がスマートデバイス事業に参入しました。2016年3月に『Miitomo』、同年12月には『スーパーマリオラン』がリリースされ、全世界でダウンロード数・セールス共に大ヒットを記録。そして2017年、任天堂が誇る大型IP『ファイアーエムブレム』と『どうぶつの森』のスマホゲームが同年3月までにリリースされます。

どちらも言わずと知れた人気シリーズですが、対象ユーザーが全く異なるのが肝。“一度倒れた仲間は元には戻らない”…そんなシビアさがコアゲーマーたちのチャレンジ精神をかきたてる『ファイアーエムブレム』。対して、普段ゲームで遊ばない老若男女からも愛されている『どうぶつの森』。二大IPの力で、さらなるムーブメントを起こしそうです。

一方でセールスの部分ではどう見るのか。最近では『スーパーマリオラン』の1,200円が高いか安いかで議論されていますが、やはり企業の売上としては、既存のソーシャルゲームになぞったマネタイズは強力です。ガチャで日商1億円を売り上げるのも当たり前の世界です。

しかし、2017年リリース予定の2タイトルのマネタイズについては、個人的に過激なものにはならないと思います。恐らく『ファイアーエムブレム』は『スーパーマリオラン』に近いパッケージ販売、またはステージ購入式。『どうぶつの森』は一部アイテムを有料で買うぐらいかもしれません。というのも任天堂が掲げるスマートデバイス事業の方針には、3つのポイントがあります。

①任天堂IPに触れる人口の最大化
②スマートデバイス事業単体での収益化
③ゲーム専用機事業との相乗効果

②はもちろん含まれますが、ポイントはいかに①と③に重きを置いているかです。スマホゲーム単体で収益化は見込めますが、あくまでも同社は該当の任天堂IPに触れて愛してもらえるか、ひいては該当IPの新作パッケージソフトを購入するきっかけまでにバトンパスが出来るか。任天堂のスマートデバイス事業の役割はそこに繋がっていきます。

ここからは2017年3月期第2四半期決算説明会の資料(該当サイト)をもとにお話します。たとえば、社会現象にもなった2016年の大ヒットアプリ『ポケモンGO』。7月に先行リリースされた欧米では、過去に発売された『ポケモン』シリーズタイトルの販売再活性化に結びつくなど、スマホゲームが同IPへの注目を集めるきっかけになったという。

パッケージ最新作『ポケットモンスター サン・ムーン』には、初代の『 ⾚・緑』に登場するポケモンが、異なる姿で出てきます。スマホゲームで久々にポケモンIPに触れたユーザーたちが、十数年ぶりに新作パッケージを購入したという例も多いのです。つまりスマートデバイス事業が、パッケージソフトに相乗効果をもたらす事例がすでに出てきているのです。

また、2017年には任天堂の新ハード「Nintendo Switch」が発売。決算説明会で君島達己社長は、具体的にスマホゲームとどのように連動していくかは明言しなかったものの、以前から話にも出ていたアカウントサービス「My Nintendo」を用いた施策は進めているとコメント。たとえばスマホゲームでためたポイントを、オリジナルグッズやコンシューマタイトルの特典に変えるなど、色々なやり方があるでしょう。『スーパーマリオラン』でも「My Nintendo」アカウントを持っているユーザーは、様々な特典がもらえました。

© Nintendo

思えば「My Nintendo」アカウントの普及は、最終的にとあるタイトルを押し上げるきっかけになるのではないでしょうか。そのタイトルが、2016年3月にリリースした『Miitomo』です。収益面でのインパクトはそれほど大きくありませんが、今後リリースされる任天堂産のスマホゲームに「My Nintendo」アカウントが紐づいてくると、それらのアカウント管理やコミュニティを楽しめる『Miitomo』に再び脚光を浴びるのではないかと思います。コンシューマ、スマートデバイス、アカウント、それぞれの魅力を横ぐしに刺した相乗効果で、2017年も任天堂ブランドの認知度が拡がりを見せることでしょう。

 

ガンホー・オンライン・エンターテイメント

▲2016年12月期 第3四半期 決算説明会資料より

『パズル&ドラゴンズ』をはじめ、スマホゲームの売上高が減少となるも、継続的なイベント実施や『パズドラレーダー』などの施策で引き続き”高水準のユーザー数”を維持している同社。前四半期比でも減収減益が続いていますが、下火になってきたというより、落ち着いてきた、というほうが正しいかもしれません。

直近の新作では、2016年11月に『セブンス・リバース』をリリース。事前登録77万件という驚異的な数字を記録した同作は、旧スクウェア時代から『ファイナルファンタジー』や『ゼノギアス』など、数々の名作RPGを世に送り出した田中弘道氏がプロデューサーを担当しています。セールス的には上がっていませんが、ギルド掲示板やバランス調整といった大型アップデートを2017年1月に予定しているため、巻き返しに期待がかかります。

一方で気になるのは今後の新作スマホゲームについて。第3四半期の決算説明会では、現在10本もの新作パイプラインが走っているとのこと。ただ、こちらはコンシューマやVR等新分野も含まれているため、何本がスマホゲームの新作として開発されているかは不明。同社は海外展開という概念を無くし、日本発のゲーム開発から“世界配信”前提のゲーム開発に切り替えています。

恐らく新作スマホゲームも、全世界に受け入れられるゲームデザインや世界観になるのではないでしょうか。

 

ミクシィ

▲2017年3月期 第2四半期 決算説明会資料より

映画も絶好調の『モンスターストライク』を開発・運営するミクシィ。ガンホー同様に直近の決算では、売上の右肩下がりが続いているが、2016年10月に実施した『モンスト』3周年キャンペーンで、過去最高の国内アクティブユーザー数を記録。ダチョウ倶楽部の上島竜兵さんを起用したマーケティング施策はもちろん、キャンペーン内容がかなり豪華なものになりました。

主力タイトル『モンスト』が思わぬV字回復を見せているとはいえ、新作ゲームアプリの情報は入ってきていません。改修したものの残念ながら2017年1月にサービス終了する『ブラックナイトストライカーズ』をはじめ、ディズニーとNHN PlayArtによる共同開発タイトル『マーベルツムツム』は中ヒット止まりと、依然主力は『モンスト』のまま。

当然2017年も新作スマホゲームを仕込んでいると思いますが、今回の『モンスト』のV字回復に少し安堵する瞬間も(売上寄与の発表は次の決算ですが)。何よりアニメや映画などマーチャンダイジングでスマッシュヒットを記録しているので、今後のIP成長率にも期待が持てます。

 

コロプラ

▲2016年9月期 第4四半期 決算説明会資料より

『白猫プロジェクト』『白猫テニス』が主力のコロプラも現時点では新作発表なし。ですが、2017年中には何かしら新作スマホゲームが登場するようです。ただ今期(2017年9月期)は、成熟するスマホゲーム市場と萌芽直前のVRゲーム市場との「端境期」に位置しているため、業績見通しでは厳しい見方を出しています。

新作本数については、前期(3本)を上回ることを目標としていますが本格的に寄与していくのは来期以降か。2016年リリースタイトルの『白猫テニス』や『ドラゴンプロジェクト』は、さらなる売上増加は見込めますが、主力となる『白猫プロジェクト』の大幅減収は気がかりです。

また、同社のマーチャンダイジング施策で特筆するべきのは、『バトルガールハイスクール』のアニメ化でしょう。具体的な放送日は未発表ですが、2017年中の続報を待つばかりです。そして2017年1月にはライブイベントも開催。アイドルゲームではありませんが、積極的にキャラクターソングを発売するなど、エンゲージメント向上に努めているのが伝わってきます。

 

バンダイナムコゲームス

(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

みんなでゲームをつくろう~Project LayereD

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドレコーズ

双星の陰陽師

HUNTER×HUNTER ワールドハント

アクセル・ワールド エンドオブバースト

GOD EATER ONLINE

テイルズ オブ ザ レイズ

IP天国・バンダイナムコゲームスは、現時点で分かっているだけで7本もの新作ゲームアプリが2017年に控えています。『双星の陰陽師』や『アクセル・ワールド エンドオブバースト』など人気漫画・ライトノベルを用いたり、原作の雰囲気をそのままにスマホ化した『GOD EATER ONLINE』をリリースしたりと、かなり豊作です。

気になるのは『ジョジョの奇妙な冒険』と『HUNTER×HUNTER』の新作スマホゲーム。というのも、すでに両IPとも数年前にスマホゲームがリリースされており、ここでさらに同名原作の新作スマホゲームを出してくるのです。ゲーム仕様が全く異なるため、ひとつのIPで2度美味しい思いになるか、それとも食い合ってしまうのが気がかりです。

大本命は『テイルズ オブ ザ レイズ』でしょう。これまで『リンク』『アスタリア』とヒットを飛ばしている同IPですが、今作はコンシューマの雰囲気に限りなく近いクオリティになっています。バトルは横画面ですが、すべての操作を片手でスムーズに操作できるよう、インターフェイスも大きな進化を遂げたようです。

(C)いのまたむつみ (C)藤島康介 (C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc. ※ゲーム画面は開発中のものです。

そして『みんなでゲームをつくろう~Project LayereD』。こちらはユーザーが制作したコンテンツを活用し、顧客と一緒に新規オリジナルIPを創出し、育てていく参加型プロジェクトです。本プロジェクトでは、オリジナルのアプリ内アニメを定期的に配信し、アニメの中で起きた出来事がゲーム内にもすぐに連動して反映されていくという仕組みを導入するとのこと。

さらに本作向けに制作した3Dモデルやイラストなどをオープンソースとして公開、積極的に二次創作を促すことで、同IPをユーザーと一緒に育成していくようです。ユーザーが開発に携われるだけではなく、開発当初からユーザー間でコミュニティが形成されるため、コンテンツの面白さはもちろんですが、ローンチまでの盛り上げや一体感にも注目です。

 

カプコン

©CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

ロックマン モバイル

2016年のカプコンは、待望のシリーズ最新作『ブレスオブファイア6』が軟調だった半面、『モンスターハンター エクスプロア』のヒット持続、女性向け恋愛ゲーム『囚われのパルマ』の登場、新組織 カプコン・モバイルが手掛けた『オトモンドロップ モンスターハンター ストーリーズ』が中ヒットなど、満足とは言えないがそこそこ景気のいい話がありました。

なかでも有料ランキング1位を記録した『囚われのパルマ』の大ヒットは、同社も予想外だったのではないでしょうか。メインのマネタイズは買い切りとしても、ときおりセールスランキングでも上がってくるところが見られました。何より『モンハン』『バイオ』頼りだった同社にとって、待望の新規IPのヒットです。グッズ展開も好調のようですので、今後も『囚われのパルマ』ブランドが新作スマホゲーム、コンシューマと波及していくのを強く望みます。

© CAPCOM CO., LTD. 2016 ALL RIGHTS RESERVED.

新作ゲームアプリについては、現時点で詳しいタイトルの発表はありませんが、2017年1月6日に『ロックマン モバイル』がリリースされます。ちなみに、8bit機のシリーズ6作品が一挙配信とのことです。スマートフォンでも十分に楽しめるよう、オート連射やチャージショットの自動チャージ、ゲームスピード変更といった機能が搭載。移植タイトルも同社の強みですが、引き続き人気シリーズのスマホゲーム化には思いが膨らむばかりです。

 

ポケモン

©2016 Niantic, Inc. ©2016 Pokémon. ©1995-2016 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.

2016年夏の『ポケモンGO』旋風から気付けば半年。ゲームアプリ市場、空前の大ヒットを記録した同作の勢いは衰える気配がありません。2016年12月13日より『ポケットモンスター 金・銀』の「ジョウト地方」に登場したトゲピーやピチューが出てきたり、季節ごとに合わせたキャンペーン施策を展開したりと、本当に話題は尽きません。ええ。

昨年の夏と比べてDAU(1日当りアクティブユーザー数)は著しく下がったと思いますが、恐らくMAU(月間アクティブユーザー数)に関しては維持しているのではないでしょうか。毎日までは遊ばないが、出張やレジャーで外出した際に、思わず起動してしまう方も少なくないでしょう。

2017年の『ポケモンGO』は、『金・銀』あるいはそれ以降のシリーズモンスターを単純に追加するだけではなく、より『ポケモンGO』ライフを昇華させるようなアップデートを展開していくと思います。たとえば、発表当時のPVに映っていた「トレード」機能。国内のみならず、世界中のトレーナーとモンスターを交換できれば、図鑑のコンプリートも現実味を帯びてきます。

また、O2O(Online to Offline)施策として、地域貢献に重きを置いたオフィシャルイベントや、グッズなどを販売するポケモンセンターとのコラボも挙げられます。このほか、各地にオリジナルトレーナーとしてゲーム同様のジムリーダー設置、ミュウツーといった伝説のポケモンをプレイヤー同士で協力して倒すイベントといった、よりコミュニティを意識したシステムが実装するのではないでしょうか。ポケモンは複数のテレビ番組を放送しているため、メディアとの取り組みも楽しみです。

ちなみに、ポケモン社としての新作ゲームアプリは何も発表されていません。

 

KLab

©早乙女学園 ©KLabGames

うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live

過去、KLabの窮地を救った学園アイドル『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル(スクフェス)』もさすがに息切れ。売上減少も否めず、同社はTVアニメ効果が持続すると⾒込むも、売上は緩やかにピークアウトしていくと想定しました。また、同じく主力の『BLEACH Brave Souls』も売上が落ち込むだけではなく、原作の連載終了、IPとしての独自展開も緩く、なかなか恩恵が得られない状況に。

そんな再びのピンチを救うのは、またしてもアイドルでしょうか。ブロッコリーが保有する人気コンテンツ『うたの☆プリンスさまっ♪』を題材としたリズムアクションゲーム『うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live』の開発が進んでいます。Live2Dを起用したイベントシーンや、『スクフェス』で培った音楽ゲームのノウハウが、どれだけ本作に注がれているのか楽しみです。

©早乙女学園 ©KLabGames

©早乙女学園 ©KLabGames

なお、『うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live』を含めKLabで現在開発中のゲームは全部で7タイトル。2016年は大型IP『AoE:World Domination』やオリジナルタイトル『パズルワンダーランド』がサービス終了となりました。新作パイプラインでは他社IPが多めですが、『天空のクラフトフリート』といったKLab発のオリジナルタイトルも踏ん張っているため、何とかIPに頼らない自社オリジナルタイトルの創出に期待したいです。

▲2016年12月期 第3四半期 決算説明会資料より

 

アカツキ

©Akatsuki Inc.

八月のシンデレラナイン

過去最高の売上高・営業利益を達成したアカツキ。開発を担当している『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』(提供:バンダイナムコゲームス)は、昨年セールスランキングで1位を獲得したほか、1億ダウンロード突破、さらに他の既存タイトルも好調に推移。

そんな同社が次に仕掛けるのは、オリジナルタイトル『八月のシンデレラナイン』(略してハチナイ)。本作は、「青春×女子高生×高校野球」をテーマにしたスマホゲーム。プレイヤーは同級生監督として、魅力的な女子キャラクター達を指導・育成しながら、共に”甲子園”という夢を追いかけていきます。リリースは2017年春を予定。

このほかアカツキは、『ハチナイ』を含む4本の新作ゲームアプリをリリース予定。第2四半期の決算説明会では、「新たな有力IPを獲得できた」とのことで、『ドラゴンボール』『テイルズ』に続くヒットタイトルが生まれるかもしれません。

 

モブキャスト

パズルゲームアプリ『【18】エイティーン』のTVアニメ化も決定したモブキャストは、来夏までに計7本のリリースを計画中。なかでも『モンスターストライク』や『ストリートファイターⅡ』シリーズをはじめ数々の大ヒット作を手掛けた岡本吉起氏と、同氏の率いるゲーム開発集団がモブキャストと共同で開発しているプロジェクト「OK」に期待がかかります。

なお、同プロジェクトは岡本氏が惚れ込んでスマートフォンゲーム化を熱望した“とある大型IP”とのこと。壮大な世界観で繰り広げられる大スペクタクル戦略バトルRPGで、最大4人の共闘プレイも楽しめるようです。

▲2016年12月期 第3四半期 決算説明会資料より

そのほか自社開発タイトルでは、2017年春リリース予定のプロジェクト「LEGEND」(スポーツシミュレーション)、2017年夏リリース予定のプロジェクト「SM」(パズル) 、無料ダウンロード アイテム課金型『LUMINES』とIPをかけ合わせたプロジェクト「LIP」が控えています。

また、事前登録者数100万件を突破した中華圏向け新作スマートフォンゲーム『魔法少女まどか☆マギカ』の動向も気になります。中国アニメ配信大手bilibiliと開発を進めていた本作ですが、今後逆輸入があるのでしょうか。ただ、日本では『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-』などを手掛けたf4samuraiが、すでに『魔法少女まどか☆マギカ』を題材とした新作スマホゲームを開発中のため、逆輸入することは確率として低いのかもしれません。


残りの10社については後編でお届けします。