アミューズメント産業の市場規模は6,194億円、業況は徐々に回復するも店舗数は減少

日本アミューズメント産業協会(JAIA)はアミューズメント産業における実態調査をまとめた『平成28年度版 アミューズメント産業界の実態調査報告書』を発刊した。

報告書によれば、平成28年度(2016年4月~2017年3月)のアミューズメント産業の市場規模は全体で6,194億円(前年比4.9%増)となった。長年にわたり市場縮退が続いていたが、業況は徐々に回復しつつあるようだ。

市場成長を後押しした要素のひとつは2016年6月の風営法(風俗営業適正法)の規制緩和で、これによって年少者がアミューズメント施設を利用できる時間が延長された。また、スマートフォンなど他のプラットフォームで人気を博しているIPを起用した新作がヒットし、新規来場者の増加に寄与した。

施設売上は堅調、設置台数と店舗数は減少続く

2016年度のオペレーション(アミューズメント施設)売上高は4,620億円で、前年比6.5%増となった。前年度で回復基調に転じ、2016年度も堅調に推移している。一方、設置台数と店舗数は減少が続いており、より収益性の高い機種の導入、不採算店舗の閉店といった経営の効率化が推し進められている。

2016年6月23日に施行された改正風営法は全国のアミューズメント施設にプラスの効果をもたらした。ほとんどの地域において、未成年者でも保護者同伴であれば最長22時まで施設を利用できるようになり、家族とのコミュニケーションの場としてアミューズメント施設の新たな活用が広がったためだ。今回の法改正によって、売上が10%以上増加した店舗があったことも調査で明らかとなった。

『艦これ』ブームで新規客を誘導

法改正と並んで追い風となったのが有力なIPタイトルの投入だ。2016年4月に『艦これアーケード』、12月に『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル~after school ACTIVITY~』(スクウェア・エニックス)が稼働を開始し、店舗で待機列が見られるほどの盛況となった。

特に『艦これアーケード』は、当時の社会現象でもあった「艦これブーム」をアミューズメント施設に呼び込み、多くの新規客(これまでアミューズメント施設を利用したことのない人)を誘導することに成功した。報告書の中でも『艦これアーケード』について「功績は大きい」と高く評価されており、このヒットの影響で、ビデオゲーム筐体のアミューズメント施設における売上高は724億円、前年比で10.5%増という大幅な伸びを記録した。

『ラブライブ!スクフェスAC』が音楽ゲーム売上を牽引

『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル~after school ACTIVITY~(以下、ラブライブ!スクフェスAC)』においても同様のヒットの構図が見て取れる。IPの力で新たな顧客層を取り込むという試みが奏功し、音楽ゲームのアミューズメント施設における売上高は前年比で10.7%増加、217億円となった。

IPタイトルと景品提供機でシナジー発揮

IPタイトルの効果はそれだけに留まらない。景品提供機(クレーンゲーム)にも好影響を及ぼしている。『艦これアーケード』『ラブライブ!スクフェスAC』などのIPタイトルのプレイヤーが、順番待ちの間に好きなキャラクターのグッズ(景品)を目当てにプレイするというケースがあり、ジャンル間のシナジーが発揮された結果だ。

景品提供機は家族連れにも人気を集めていることから、風営法改正も相まって、アミューズメント施設にとって最大の収益源となっている。このような背景から、クレーンゲームを含む景品提供機のアミューズメント施設における売上高は2,096億円(前年比10.5%増)となり、ビデオゲーム筐体、音楽ゲームと並ぶ大幅な伸長を見せた。

今後の課題

今回の調査では、規制緩和と人気IPタイトルの投入が市場成長を牽引したことが明らかとなった。今後は、この回復基調をいかにして持続させていくかが課題となるだろう。

IPタイトルの集客・送客効果は絶大だが、それを一過性のブームにさせないことも重要だ。特に『艦これアーケード』『ラブライブ!スクフェスAC』は異なるプラットフォームからの送客に成功した画期的な事例であり、業界各社はプラットフォームを横断した施策に注力していくものと見られる。

最近ではe-Sportsに特化した設備を持つ施設も増えており、新たな業態が開拓されつつある。新規客の取り込みと同時に、ヘビーユーザー層や外国人観光客のニーズにも応えることのできる豊かな文化圏の基盤としてアミューズメント施設のあり方が問われている。

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