総務省が主要メディアの市場規模とコンテンツ流通量を調査 ゲームとネット専門番組が大きく伸長、コミック市場は縮退

総務省 情報通信政策研究所は2018年7月6日に『メディア・ソフトの制作及び流通の実態に関する調査』の結果を公表した。

本調査は、ソフト(コンテンツ)が最初に流通する一次流通メディアを基準としてコンテンツを分類し、その市場規模や流通量の軽量・分析を目的としたもので、2002年より毎年実施されている。一次流通メディアとは、コンテンツが最初に流通するメディアのことで、たとえば、TV放送が初出となるコンテンツは「テレビ番組」、劇場上映が初出となるコンテンツは「映画」(「映画ソフト」)に分類される。これは、メディアの種類で画一的に分類する従来の手法とは異なり、複雑化・多様化するコンテンツ市場の構造を踏まえた分類法だ。

今回の報告では2016年度の統計、資料等に基づいて推計されたデータがまとめられている。調査対象はゲーム(スマートフォン向けゲーム)を含む16種のメディアで、本稿ではゲーム市場、および、ゲームに関連の深いメディアについて採り上げる。

メディア・ソフトの分類と流通メディアの関係
成長率の高い映像系コンテンツは「ゲーム」と「ネットオリジナル」

コンテンツは、その形態によって「映像系ソフト」(TV番組、映画、ビデオ、ゲームなど)、「音楽系ソフト」(音楽、ラジオなど)、「テキスト系ソフト」(新聞、コミック、雑誌、書籍など)に分類される。この内、ゲームを含む「映像系ソフト」は、2016年時点で市場規模が6兆5,187億円となった。

「ゲームソフト(以下、ゲーム)」の市場規模は1兆3,919億円と推定され、映像系ソフト全体の21.4%を占める。「地上テレビ番組」(市場規模2兆8,065億円)と比べると半分ほどの規模だが、対前年比の市場成長率は「ゲーム」が17.5%増で、映像系ソフトの中で最高の伸び率を記録した。これに対し、地上テレビ番組は0.4%増とほぼ横ばいだった。

次に成長率が高かった映像系ソフトは「ネットオリジナル」で、主にネット配信番組、動画共有サービス、デジタルサイネージなどによる事業収入を集計した市場規模は2,378億円、前年比で13.0%増となった。

メディア・ソフトの市場規模(2016年)
テレビは視聴方法が多様化、ネット専門番組はコンテンツ不足か

事業収入から推定される市場規模の他に、コンテンツの流通量から市場動向を推定したデータが下の一覧表だ。なお、映像系ソフトにおいて流通量とはのべ視聴時間を指す。

メディア・ソフトの流通量(2016年)

映像系ソフトで流通量が突出して多かったのが地上テレビ番組だ。地上テレビ番組の市場規模は映像系ソフト全体の43.1%を占め、流通量では82.8%にまで達する。市場の成長は鈍化しているとはいえ、国内ではまだまだ主要なメディアであるようだ。また、地上テレビ番組の第1次流通市場における流通量(地上テレビ番組のテレビによるのべ視聴時間)は前年比1.7%減だったが、マルチユース市場(衛星放送、CATV、ネット配信などにおける2次利用)での流通量は前年比25.1%の大幅増となった。同じテレビ番組であっても、地上波放送ではなく、BS/CS放送の専門チャンネルや動画配信サービスで視聴するケースが増えている。

市場成長率の高かった「ネットオリジナル」は、流通量では43.8億時間で前年比3.7%減となった。これはネット専用番組の視聴者数が増えている一方で、利用者の視聴時間は短くなっていることを示している。この結果は、利用者の急増に対し、「ネットオリジナル」の番組作りが追いついていないという課題を示唆している。地上テレビ番組とは差別化された良質なコンテンツを量産できる体制を整備することが急務と言えるだろう。

コミックは電子版が普及するも、縮退傾向続く

ゲームに関連のあるテキスト系ソフト(コンテンツ)として「コミック」がある。なお、調査対象の「コミック」に同人誌は含まれず、マンガ作品を原作とするテレビ番組や映画コンテンツによる収益も「コミック」市場には該当しない。本調査では、コミック雑誌の販売額と広告費、単行本の販売額等を基に「コミック」市場を推計している。

2016年度の「コミック」の市場規模は4,164億円で、前年比12.3%減の大幅な縮退となった。内訳は、一次流通市場(コミック誌販売額と広告費)は1,324億円、単行本 / 文庫本の流通するマルチユース市場は2,840億円となり、コミックは雑誌より単行本で楽しむのが主流となりつつある。また、マルチユース市場の31.4%は電子版が占め、デジタル化が進んでいる。

しかし、電子版が普及しても「コミック」市場全体は縮退傾向にあり、コミック誌、単行本共に発行部数は減少が続いている。流通量も前年比10.9%減の870億頁(ページ)だった。

コミック誌の販売部数および販売額の推移
コミック本の販売額および発行部数の推移

一方、コミック本の新作タイトル(新刊点数)は増加している。

コミック本の新刊点数の推移

これは(オンライン)コミック誌で新作が次々と掲載されている一方で、その多くが読まれていないという現状を示している。その原因は、配信形態・配信先の多様化でマーケティングが難しくなったことや、新作の乱発によって新人作家の育成が遅れていることなどが考えられる。市場復調には新たなヒット作の登場が不可欠だが、多様化・肥大化する他のコンテンツとどのように競争していくのか、また、実力のある作家をいかにして育てていくかが課題となるだろう。

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