任天堂 2019年3月期 通期:デジタル売上高が前年度の約2倍へと大幅伸長 有料サービス「Nintendo Switch Online」も順調

【Topics】
■ 売上高1兆2,005億円、営業利益2,497億と増収増益
■ Nintendo Switch、Wiiの国内市場の普及ペースを上回る
■ 有料「Nintendo Switch Online」980万アカウントと順調に拡大

 

【決算概要】

 任天堂株式会社が4月25日に発表した2019年3月期の連結業績(2018年4月1日~2019年3月31日まで)は、売上高1兆2,005億6,000万円(前年同期比13.7%増)、営業利益2,497億100万円(前年同期比40.6%増)、経常利益2,773億5,500万円(前年同期比39.1%増)、四半期純利益1,940億900万円(前年同期比39.0%増)と増収増益となった。なお、売上高のうち海外売上高は9,348億円と、比率77.9%を占める。

 第4四半期(2019年1月1日~3月31日)単体で見ると、売上高2,032億円、営業利益296億円、経常利益370億円、四半期純利益253億円だった。
 

【事業状況】

 はじめにNintendo Switchの状況から。ソフトウェアの販売が好調に推移し、ハードウェアの販売拡大に貢献。特に『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』が1,381万本、『ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』が1,063万本、『スーパーマリオパーティ』が640万本の販売を記録するなど全世界で大ヒットとなった。

 加えて、『マリオカート8 デラックス』が747万本を販売するなど、前期以前に発売したタ イトルやソフトメーカーのタイトルも好調に販売本数を伸ばし、当期のミリオンセラーのタイトル数はソフトメーカーのタイトルを含めて23タイトルに。これらの結果、当期のハードウェアの販売台数は1,695万台(前期比12.7%増)、ソフトウェアの販売本数は1億1,855万本(前期比86.7%増)となった。

 なお、Nintendo Switch発売後の累計セルスルーの推移では、国内市場に関して、ニンテンドーDS・3DSの普及ペースには及ばないが、Wiiの普及ペースを上回っている。

▲それぞれ発売時期や販売が大きく伸びる商戦期のタイミング・回数が異なっている点は、あらかじめご留意いただきたい。(出典)2019年3月期 通期 プレゼンテーション資料より

 決算当日の説明会では、累計ベースのプラットフォーム全体の売上高を本体の累計販売台数で割って算出した、「ハードウェア1台当たりの売上高」を発表。

▲Nintendo Switch1台当たりの売上高を会計年度ごとの推移で表したもの。(出典)2019年3月期 通期 プレゼンテーション資料より

 スライド上の数字に含まれるものは、ハードウェアや自社ソフトウェアの売上に加えて、周辺機器、他社ソフトウェア、デジタルで販売される追加コンテンツ、 Nintendo Switch Onlineの売上などがある。Nintendo SwitchとWiiを比較すると、そもそものハードウェアの販売価格やバンドルの仕様も異なるため、単純な比較は難しいが、Nintendo Switchは期を追うごとにハードウェア1台当たりの売上高が大きく上がっており、Wiiを上回っていることがわかる。

 一方、発売から8年目を迎えたニンテンドー3DSでは、ハードウェアの販売台数は255万台(前年同期比60.2%減)、ソフトウェアの販売本数は1,322万本(前年同期比62.9%減)に。その他、「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」及び「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」が合計583万台を販売。

 ゲーム専用機におけるデジタルビジネスでは、主にNintendo Switchのパッケージ併売ソフトや追加コンテンツなどによる売上が順調に伸び、デジタル売上高は1,188億円(前年同期比95.4%増)となった。実に前年度の約2倍と大幅な伸びを見せている。Nintendo Switchビジネスにおいては、パッケージとの併売タイトルだけでなく、ダウンロード専用タイトルや追加コンテンツの売上も前年以上に拡大しており、有料サービス「Nintendo Switch Online」の寄与も含まれているという。

(出典)2019年3月期 通期 プレゼンテーション資料より

 スマートデバイスビジネスでは、2018年9月27日に日本、台湾、香港、マカオ、米国でサービスを開始した『ドラガリアロスト』(開発:Cygames)が、国内外で多くのユーザーから支持され売上に貢献。また前期までに配信した『スーパーマリオ ラン』や『ファイアーエムブレム ヒーローズ』、『どうぶつの森 ポケットキャンプ』はそれぞれ安定した人気を維持しており、スマートデバイス・IP関連収入等の売上高は460億円(前年同期比17.0%増)となった。
 

【見通し】

 2019年3月期の業績予想については、売上高が1兆2,500億円(前年同期比4.1%増)、営業利益2,600億円(前年同期比4.1%増)、経常利益2,600億円(前年同期比6.3%減)、当期純利益1,800億円(前年同期比7.2%減)を見込んでいる。

 ここからはハードウェアと事業の今後の見通しについて言及していこう。

 Nintendo Switchでは、発売以来世界中で速いペースで普及が進んでおり、今後のさらなるビジネスの拡大に向けた土台ができたとしている。この勢いを維持するために、4月に『Nintendo Labo Toy-Con 04: VR Kit』、6月に『スーパーマリオメーカー2』、7月に『ファイアーエムブレム 風花雪月』をそれぞれ全世界で発売。

 加えて、人気シリーズの完全新作である『ポケットモンスター ソード・シールド』や『どうぶつの森(仮称)』、『ゼルダの伝説 夢をみる島』を年内に発売予定だ。さらにソフトメーカーからも有力なタイトルの発売が予定されており、発売済みの人気タイトルに加えて、魅力ある新規タイトルを継続的に投入することで、プラットフォームの活性化に努めるという。

(出典)2019年3月期 通期 プレゼンテーション資料より

 ニンテンドー3DSは、豊富なソフトウェアラインアップを活かし、初めてゲーム専用機を手にされる顧客へアピールするとともに、引き続き、ハードウェアの普及基盤を活かした定番タイトルの販売に努めていくとのこと。

 周知の通り、同社は「任天堂IPに触れる人口の拡大」を基本戦略として掲げ、これらは今後も継続して追及していく方針だ。その基本戦略のもとで行っている同社の取り組みは、「ゲーム専用機ビジネス」「IP展開ビジネス」「モバイルビジネス」のいわゆる3つの柱がある。

 ハード・ソフト一体型のゲーム専用機ビジネスは、ゲーム専用機だからこそできる任天堂の娯楽を体験してもらい、遊び続けてもらうことを目指している。そのうえで同社は、オンライン機能を拡充する有料サービスである「Nintendo Switch Online」を昨年9月より開始。半年が経過した現在、その加入数は、無料体験を除いて、980万アカウントを超え、順調に拡大している。Nintendo Switchのサービス拡充はもとより、企業としてサブスクリプション方式で安定した収益が見込める。

 Nintendo Switch Onlineのアカウント増加の背景には、同社が用意した特典の数々が寄与していることだろう。代表例では、加入者はいろいろなファミコンゲームを手軽に選んですぐに遊べる『ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online』を利用できることだ。加入者であれば、懐かしのファミコンソフトを手軽に遊べるほか、毎月タイトルが追加されるため、ユーザーには嬉しい特典となっている。その他、加入者限定で『TETRIS® 99』の無料配信を2月から開始したところ、280万アカウントのユーザーが利用した。前述したファミコンサービス同様、Nintendo Switchの稼働向上にも寄与していることがわかる。

(出典)2019年3月期 通期 プレゼンテーション資料より

 IP展開ビジネスでは、主に他社とのパートナーシップを通じて、ゲーム以外の場で「任天堂IPに触れる人口の拡大」を進めていく。キャラクター商品やテーマパークなどのライセンスビジネス、映像コンテンツのビジネスなどの取り組みで、ユーザーの日常的な生活空間においても任天堂のキャラクターや世界観を目にされる機会を増やしていき、より身近な娯楽体験として任天堂がつくり出すゲームの世界観を感じてもらいたいと考えているとのこと。

(出典)2019年3月期 通期 プレゼンテーション資料より

 モバイルビジネスでは、『Dr. Mario World』と『Mario Kart Tour』の2タイトルを今夏に配信予定。『Mario Kart Tour』では、現在クローズドベータテスト(CBT)の参加者をAndroidユーザー向けに募集している。CBTは5月22日から実施を予定しており、このテストで得られた情報や参加者からの意見をもとに、配信開始に向けた最終的な準備を進めていくとしている。

(出典)2019年3月期 通期 プレゼンテーション資料より

 『Dr. Mario World』はLINEとの協業で開発が進められている。これら既存タイトルを含む6つのアプリは、それぞれ扱うIPが違い、アプリの狙いや特長もそれぞれ異なるものだ。任天堂は今後もこうした複数のアプリを通して、 モバイルデバイスの圧倒的な普及台数をベースに、任天堂IPに触れる人口の拡大を推進していくという。

 そして、決算当日には、中国のIT企業最大手であるテンセントと Nintendo Switchの中国での発売に向けて共同で取り組んでいることを発表した。中国のネットワークコミュニケーション市場及びゲーム市場において最大規模の基盤を持つテンセントと共同でビジネスの展開を行うことで、中国におけるビジネスの最大化を図ることができると考えているという。なお、発売時期は未定のため業績予想には含めていない。

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