DeNA 2019年3月期 通期:新作軟調で減収減益 来期は任天堂・ポケモン協業タイトルに注目が集まる

【Topics】
■ 新作の軟調で減収減益、リリース半年で運営縮小したケースも
■ 既存タイトルは安定的に推移、直近で『ゆるゲゲ』が急上昇
■ 来期は『Mario Kart Tour』、ポケモンとの協業でIPタイトル中心に投入
決算概要

 株式会社ディー・エヌ・エーは5月10日に2019年3月期(2018年4月1日~2019年3月31日)の連結業績を発表した。

 業績は通期で、売上高1,241億1,600万円(前期比11.0%減)、営業利益135億1,200万円(前期比50.9%減)、税引前利益180億6,900万円(前期比40.5%減)、当期利益127億900万円(前期比44.7%減)となり、減収減益となった。

(出典)2019年3月期 通期 決算説明会資料 P.1

 第4四半期単期では、売上高295億円(前年同期比11.4%減)、営業利益49億円(前年同期比288%増)、税引前利益65億円(前年同期比436%増)、当期利益47億円(前年同期比2189%増)だった。

事業状況

ゲーム事業

 ゲーム事業は、セグメント売上高835億5,600万円(前期比14.7%減)、セグメント利益は182億7,300万円(前期比27.2%減)となった。ユーザ消費額は1,681億(前期比12%減)。


(出典)2019年3月期 通期 決算説明会資料 P.4

(出典)2019年3月期 通期 決算説明会資料 P.7

 今期は新作が軟調で、決算全体にも響いた。

 2018年7月にリリースされたオリジナルタイトル『世紀末デイズ』は、スパイク・チュンソフトと共同開発されたダンジョン探索型RPGだが、今年1月に最終アップデートの告知があり、現在は限定的な運営が続けられている。

 また、2018年11月には、IPタイトルの『ゆる~いゲゲゲの鬼太郎 妖怪ドタバタ大戦争』(東映アニメーション、ポノスとの共同開発)と、中国で人気のMOBA『伝説対決 -Arena of Valor-』(テンセントとの提携)がリリースされた。しかし、収益に寄与するほどの規模には至らなかった。

 ところが、直近では、5月13日に『ゆる~いゲゲゲの鬼太郎 妖怪ドタバタ大作戦』が『にゃんこ大戦争』(ポノス)とのコラボイベントを開催し、ダウンロード数を大きく伸ばした。

 App Store ゲームカテゴリのダウンロードランキングでは、わずか1日で457位から16位まで急上昇している。ゲームシステムと雰囲気が類似しているということもあり、『にゃんこ大戦争』の送客効果が十分発揮された形だ。リリースから半年が経過しているが、ヒットの可能性は大いにあるだろう。


(出典)AppAnnie :App Store ゲームカテゴリ ダウンロードランキング推移

 既存タイトルでは、『逆転オセロニア』が3周年を迎えた。コラボレーションとファンイベントを中心とした施策で今も尚、高い人気を誇る。また、『メギド72』もApp Store ゲームカテゴリのセールスランキングで度々トップ10に入っており、概ね順調だ。

 任天堂との協業タイトルである『SUPER MARIO RUN』『どうぶつの森 ポケットキャンプ』『ファイアーエムブレム ヒーローズ』も、ほぼ安定的に推移した。


(出典)2019年3月期 通期 決算説明会資料 P.10

 減収減益ではあったが、既存タイトルはジャンルやユーザー層に偏りがなく、盤石の収益基盤が構築されているようだ。

スポーツ事業

 スポーツ事業は、セグメント売上高181億200万円(前期比7.2%増)、セグメント利益14億5,400万円(前期比20.2%減)となった。減益は、プロバスケットボールチーム「川崎ブレイブサンダース」の経営を引き継いだためとしている。

 プロ野球球団・横浜DeNAベイスターズについては、観客動員数が球団史上最多の200万人超を記録した。また、入場料頼みだった収益構造も大きく改善された。


(出典)2019年3月期 通期 決算説明会資料 P.13

EC事業

 旅行代理店サービス「DeNAトラベル」、決済代行サービス「ペイジェント」などを展開するEC事業は、セグメント売上高122億5,600万円(前期比23.6%減)、セグメント利益は12億9,900万円(前期比168.2%増)となった。

 なお、株式会社DeNAトラベルは2018年5月31日付で全株式が譲渡された。同様に、2019年3月29日付で株式会社ペイジェントも譲渡が行われ、既に連結対象外となっている。それに伴い、EC事業のセグメントも変更された。

オートモーティブ事業

 オートモーティブ事業の売上高は1億9,700万円(前期比33.7%増)、セグメント損失は36億1,000万円(前期は18億7,000万円の赤字)となった。

 タクシー配車サービス「MOV(モブ)」(旧名称:タクベル)は、神奈川県内でサービスを開始し、2018年12月には東京23区でも利用できるようになった。1日あたりの実車回数は増加しており、早期の収益化が期待される。


(出典)2019年3月期 通期 決算説明会資料 P.17

 今年2月には、SOMPOホールディングスとの合弁会社「DeNA SOMPO Mobility」を設立することを発表した。同社は、これまでDeNAが運営していた個人間カーシェアサービス「Anyca」を継承し、個人間カーシェア専用保険の提供や、「Anyca」の利用を前提としたカーリース商品の販売を行う。


(出典)2019年3月期 通期 決算説明会資料 P.18

ヘルスケア事業

 ヘルスケア事業の売上高は22億3,300万円(前期比5.1%増)、セグメント損失は12億4,000万円の赤字(前期は9億2,600万円の赤字)となった。

 ヘルスケア事業では、健康増進や病気予防を目的としたヘルスケア型保険と、AI技術を活用した医療サービス等の開発を行っている。本格的な収益化は数年先となるが、将来の事業展開を見据えた先行投資が行われた。


(出典)2019年3月期 通期 決算説明会資料 P.19

新規事業・その他

 ソーシャルLIVEアプリ「Pococha(ポコチャ)」、ライブ配信サービス「SHOWROOM」等を含む新規事業・その他のセグメント売上高は85億6,800万円(前期比19.9%増)、セグメント損失は24億3,900万円の赤字(前期は26億8,800万円の赤字)となった。

見通し

 2020年3月期通期の業績予想は非開示。

 ゲーム事業は、新規タイトルの立ち上げと並行して、既存タイトルの再成長にも注力する。新作パイプラインは大型IPを主軸に据えたラインナップとなる見込みだ。任天堂タイトル『Mario Kart Tour』は今夏の配信開始を予定している。また、株式会社ポケモンとの協業でスマートフォン向けゲームを開発することが発表された。


(出典)2019年3月期 通期 決算説明会資料 P.11

 足下では、『永遠の七日(とわのなのか)』(開発元 : NetEase Games)、『トリカゴ スクラップマーチ』、『進撃の巨人 TACTICS』(開発元 : カヤック)がリリースされた。


(出典)2019年3月期 通期 決算説明会資料 P.12

 スポーツ事業は、横浜スタジアムの増築・改修が順調に進捗し、2019年シーズンから拡張されたエリアの一部が稼働を開始する。ゲーム事業に次ぐ事業として来期は増収増益を目指す。

 オートモーティブ事業、ヘルスケア事業、新規事業・その他のセグメントは、来期も引き続き積極的な投資を行うとしている。

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