ミクシィ 2019年3月期 通期:モンストの低迷で減収減益 再建のカギに原点回帰

【Topics】
■ モンストの売上減少で純利益は前年同期比36.5%減
■ 新作はリリース延期および一部プロジェクトの中止を決定
■ モンスト再建のカギに原点回帰。責任者/体制変更も実施

 

決算概要

 株式会社ミクシィは、5月10日に2019年3月期 通期決算を発表した。通期(2018年4月1日~2019年3月31日)の累計連結業績は、売上高1,440億3,200万円(前年同期比23.8%減)、営業利益は410億3,300万円(前年同期比43.3%減)、経常利益は411億2,000万円(前年同期比43.5%減)、純利益は265億2,100万円(前年同期比36.5%減)と減収減益となった。

(出典)2019年3月期 通期 決算説明会資料 p5

 第4四半期単体では、売上高380億4,900万円(前年同期比29.1%減)、営業利益141億3,400万円(前年同期比42.3%減)、経常利益141億3,400万円(前年同期比42.3%減)と、こちらも減収減益に。

 販管費は、決済手数料が1月売上に対する手数料の一部が前四半期に前倒しで計上されているため 14億円の減少、広告宣伝費は年末年始のキャンペーンの費用の多くが前四半期に計上されているため40億円の減少。外注費は、開発中止したプロダクトのコストを一括費用計上したため 5億円の増加となった。

(出典)2019年3月期 通期 決算説明会資料 p26
 
事業状況
エンターテインメント事業

 『モンスターストライク(以下、モンスト)』を主力とするエンターテインメント事業は、第4四半期累計でセグメント売上1,386億700万円(前年同期比21.2%減)、セグメント利益515億6,100万円(前年同期比34.3%減)となった。

 国民的IP化を掲げている『モンスト』では、引き続き、国内外でTVCMや屋外広告等のプロモーション、eスポーツ促進を含むリアルイベントの実施、グッズの製作、映画や人気アニメとのタイアップ、オリジナルアニメの配信等を展開。また、グッズ販売等を行う常設店舗は、東京・渋谷店に加え、新たに大阪・心斎橋にオープンした。ゲーム利用者数は、2019年5月に全世界で5,000万人を突破。

 同社は引き続きユーザーの期待に応えるべく、サービスのライフタイムの長期化を目指し、アプリ内外でのユーザー還元の実施、映像・ソフトウェアの充実、マーチャンダイジング等のゲーム以外の領域の確立、新規タイトル等の開発を行うことによって、エンターテインメント事業のさらなる発展を図っていくという。

 2019年3月期を振り返ってみると、同事業のデジタルエンタメ領域では「モンストの国民的IP化」と「新たなIPの創出」の2つの事業方針を掲げ、各種取り組みを進めてきた。現在『モンスト』のMAUはやや減少傾向にあるものの、依然として国内モバイルゲームとしてはトップクラスの水準を維持。しかし、ユーザーの消費を喚起できずにARPUが低下し、予定していた売上を達成することができなかったという。

 また、『モンスト』の派生ゲーム、新規IPゲームは、プロジェクトマネージャーやディレクターの不足が原因で、リリース延期および一部プロジェクトの中止を決定。現在、リリースに支障が出ないよう、人員体制の強化に着手しているという。通信系サービスの中止もあり、デジタルエンタメ領域では期初110億円の投資を予定していたが、実際の投資額は50億円となった。

(出典)2019年3月期 通期 決算説明会資料 p7

 第4四半期の『モンスト』のトピックスでは、2019年1月に「劇場版シティーハンター」、2月に「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」、3月に「映画ドラえもん のび太の月面探査記」とそれぞれコラボを展開。国民的IP化に向けた取り組みとしては、『モンスト』初のジュニア向けeスポーツ大会を「闘会議2019」で開催したことや、羽田空港第1旅客ターミナルに「XFLAG STORE + HANEDA」のオープンが挙げられる。

 また、アニメーションスタジオTRIGGER社と共同製作の長編アニメーション作品「プロメア」を2019年5月24日に公開。

 力を入れているスポーツ領域では、2019年3月期において、各種プロスポーツとのマーケティングパートナーシップ契約やスポンサード契約を進行。また、今後の成長が期待できる領域において、事業展開のコアとなる会社のM&Aを実施。

(出典)2019年3月期 通期 決算説明会資料 p8
 
ライフスタイル事業

 ライフスタイル事業では、家族向け写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」が、2019年1月に利用者数400万人を突破。また、サロンスタッフ直接予約アプリ「minimo」は、6月に累計300万ダウンロードを突破した。なお、チケットフリマサービス「チケットキャンプ」については、2018年5月をもってサービス提供を終了。

 また、2018年7月2日付で、同社が保有する株式会社Diverseの株式のすべてを、株式会社IBJに譲渡、さらに2019年3月29日付けで、同社が保有する株式会社ノハナの株式のすべてを、株式会社ノハナSPCに譲渡した。

 この結果、当事業の売上高は54億円2,700万円(前年同四半期比58.7%減)、セグメント損失は16億9,000万円の赤字(前年同四半期はセグメント利益16億3,800万円の黒字)となった。
 

見通し

 2020年3月通期の業績予測は、売上高1,000億円(前年同期比30.6%減)、営業利益500億円(前年同期比87.8%減)、経常利益500億円(前年同期比87.8%減)、当期純利益300億円(前年同期比88.7%減)を見込んでいる。

(出典)2019年3月期 通期 決算説明会資料 p12

 エンターテインメント事業では、主力事業の『モンスト』が世界累計利用者数5,000万人を突破し、MAUは依然高い水準を維持しているものの、ARPUが低下しており、ゲームそのものに大幅なリノベーションが必要な状態にあるという。

 同社の見解では、現状の『モンスト』について、ゲームがコアユーザー向けになり、ライトなユーザーの消費意欲が低下していると考えている。業績回復のためのテコ入れが必要な状態にあるようだ。

 そのため、今後の方針では、『モンスト』3周年において劇的なリバイブをけん引したマーケティング責任者を、事業のトップに据えて体制を立て直すとのことだ。ゲームとしては、「仲間とワイワイ共闘することによる興奮」という『モンスト』本来の価値に原点回帰し、ライトユーザーも楽しめるゲームに立ち返る。ライトユーザーの活性化がユーザー全体の活性化につながり、結果的にARPUを向上すると考えているようだ。

(出典)2019年3月期 通期 決算説明会資料 p17

 また、関連するアニメやマーチャンダイジングにおいても、『モンスト』IPの全体戦略再考のなかで事業の位置づけを見直すという。

 営業利益の変動額の内訳では、『モンスト』の売上減少による利益の減少が280億円、移転による一時費用の増加が40億円、各事業領域への先行投資の増加が40億円となり、合計360億円の減益となる見通し。事業領域への先行投資は、主な増加分がデジタルエンターテインメント領域における新規ゲームの開発費用、スポーツ領域の事業開発費用となる。

(出典)2019年3月期 通期 決算説明会資料 p13

 そしてスポーツ領域では、同社がエンターテインメント事業で培ったノウハウを活用し、前期に子会社化したチャリ・ロトなどの成長加速および共同事業開発を推進することで事業の拡大を図っていくとしている。

 その他のサービスについては、全体の利益を鑑みて一定の投資は行うものの、市場環境の変化などにより成長戦略が描けなくなった事業については早いタイミングで撤退等の判断をしていくなど、選択と集中を進めていく。

 『モンスト』の売上減少、前述の各事業領域への投資、移転に係る一時費用などを織り込んだ結果、連結売上高は1,000億円、連結営業利益は50億円を見込んでいる。

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