セガサミーHD 2020年3月期 第1四半期:タイトル譲渡など265%増の大幅増益達成 PSO2とサカつくRTWも貢献

【Topics】
■ タイトル譲渡益やパッケージ好調により265%増の大幅増益を達成
■ デジタルゲームは『PSO2』と『サカつくRTW』が貢献
■ 第2四半期は「メガドライブミニ」の収益貢献に注目

 

決算概要

 セガサミーホールディングス株式会社(以下、セガサミーHD)は、7月30日に2020年3月期 第1四半期の連結業績(2019年4月1日~6月30日)を発表した。

 第1四半期の累計業績は、売上高727億3,400万円(前年同期比5.7%増)、営業利益34億900万円(前年同期比264.6%増)、経常利益23億7,200万円(前年同期比244.6%増)、当期純利益17億1,800万円(前年同期比408.7%増)となった。

(出典) 2020年3月期 第1四半期 決算説明会資料 p3

 大幅な増益を果たした背景は、エンタテインメントコンテンツ事業のパッケージゲーム分野などが好調だったほか、デジタルゲーム分野においてタイトル譲渡益を計上したことが挙げられる。

(出典) 2020年3月期 第1四半期 決算説明会資料 p5

 

事業状況

 セガサミーHDは、遊技機事業、デジタルゲーム分野を中心としたエンタテインメントコンテンツ事業、そしてリゾート事業の3つで構成されている。

遊技機事業

 遊技機事業は、セグメント売上高171億9,100万円(前期比20.1%減)、セグメント利益13億3,200万円(前期比22.6%減)となった。

(出典) 2020年3月期 第1四半期 決算説明会資料 p8

 販売台数は、パチスロ遊技機が前期発売タイトルの継続販売を行い17,000台(前期は9,000台)、パチンコ遊技機が高継続タイプの遊技機を販売したが、前年同期からは減少となる16,000台(前期は40,000台)だった。

(出典) 2020年3月期 第1四半期 決算説明会資料 p9

 パチスロ遊技機市場では、政府によるギャンブル等依存症対策の一環として、射倖性を大きく制限した新型遊技機(6号機と呼ばれる)の投入が始まった。

 しかし、遊技機は必ず販売前に保安通信協会(略称:保通協)の検査をパスしなければならず、検査を通過できるのは全体の20%前後に留まると言われている。そのため、新機種を開発しても供給にはなかなか至らないことから、6号機の販売数が伸び悩んだ。

 

エンタテインメントコンテンツ事業

 家庭用ゲーム機向けのパッケージゲームとスマートフォン向けゲームアプリ、PCオンラインゲームなどを開発・販売するエンタテインメントコンテンツ事業は、セグメント売上高530億8,200万円(前期比17.9%増)、セグメント利益49億5,300万円(前期比195.1%増)となった。

(出典) 2020年3月期 第1四半期 決算説明会資料 p10

 

デジタルゲーム
(出典) 2020年3月期 第1四半期 決算説明会資料 p11

 デジタルゲーム分野(スマートフォン向けゲームおよびPCオンラインゲーム)では、一部既存タイトルの好調や、タイトルの譲渡などによる収益を計上したことなどにより、大幅に収益性が改善した。

 なかでも収益に貢献したのは、オンラインRPG『ファンタシースターオンライン2(以下、PSO2)』と、スマートフォン向けスポーツゲーム『プロサッカークラブをつくろう! ロード・トゥ・ワールド(以下、サカつくRTW)』の2タイトルだ。

 『PSO2』は、2019年4月24日に大型アップデート「Stars:EPISODE6」を開始。新エピソードをはじめ、新クラス、新クエストが登場した。ユーザーが快適に遊べる改修も施されたほか、ショップには新アイテムも追加され、継続率の向上及び収益に寄与したことが考えられる。

▲『PSO2』大型アップデート「Stars:EPISODE6」プレスリリースより

 一方で『サカつくRTW』は、4月17日に開始した「1周年記念大感謝キャンペーン」が功を奏した。同キャンペーンでは、1周年限定バージョンの★5選手だけが登場する「1周年記念スカウト(ガチャ)」などを展開。またとないお得なガチャだけあって、課金にも繋がり、セールスランキングでは過去最高の7位(App Store ゲームカテゴリー)を記録した。

『サカつくRTW』「1周年記念大感謝キャンペーン」プレスリリースより

 第1四半期は、リリースされたばかりの新作スマートフォンゲームである『ワンダーグラビティ ~ピノと重力使い~』と、『Readyyy!』のサービス終了が発表された。新作による売上の積み重ねに失敗しているが、早期の撤退判断により、開発・運営タイトルの適正化及びリソースの移管に努めている。そして、現段階ではタイトル非公表だが、既存タイトルの譲渡により収益を計上した。

 

パッケージゲーム
(出典) 2020年3月期 第1四半期 決算説明会資料 p13

 パッケージゲーム(コンシューマー向けゲーム)は、リピート販売が前年同期比で減少した一方で、新作タイトルの販売好調だったことにより、販売本数は624万本(前期は570万本)となった。特に、2019年5月23日より全世界向けに配信を開始した『TOTAL WAR THREE KINGDOMS』(PC ダウンロード)は、配信開始1週間でダウンロード販売本数が全世界累計100万本を突破し、収益に貢献した。

『TOTAL WAR THREE KINGDOMS』プレスリリースより

 同作は、セガゲームスの英国子会社であるSEGAEurope Ltd.傘下の開発スタジオ Creative Assembly Ltd.が手掛けた『Total War』シリーズの最新作だ。『Total War』シリーズは、正確な歴史描写と圧倒的なゲームクオリティを特徴としたPC向けのリアルタイムストラテジーゲームとして海外を中心に展開されており、その販売実績は全世界でシリーズ累計2,500万本以上にのぼる。

 三国志をテーマに据えた今作では、欧米地域だけでなく、中国をはじめとしたアジア地域のユーザーからも多くの支持があり、シリーズ史上最速となる配信開始後1週間での100万本到達となった。

 また、引き続き木村拓哉さん主演の新作『JUDGE EYES:死神の遺言』も業績をけん引している。なお、同作は出演者であるピエール瀧被告の逮捕を受けて、2019年3月13日より出荷及びDL販売の自粛を発表。その後は、欧米版と同様にピエール瀧被告のキャラクターモデル・音声の差し替えを行い、2019年7月18日に新価格版として発売した。

 

アミューズメント機器および施設
(出典) 2020年3月期 第1四半期 決算説明会資料 p15

 アミューズメント機器(アーケードゲーム)は、プライズ機を中心に販売したが、本社移転に伴い固定費が増加した。また、アミューズメント施設(ゲームセンターなど)の運営では、プライズを中心とした施設オペレーションの実施により、国内既存店舗の売上高は前年同期比で109.0%となった。

(出典) 2020年3月期 第1四半期 決算説明会資料 p16

 

映像・玩具
(出典) 2020年3月期 第1四半期 決算説明会資料 p17

 映像・玩具分野は、子会社のトムス・エンタテインメントが、劇場版『名探偵コナン』シリーズの制作・配給に関わっていることから、配給収入や映像配信による収入が計上されている。第1四半期は、映像配信や海外ライセンス収入を計上したほか、玩具においても定番製品を販売し、前年同期比で増収増益を果たした。

 

リゾート事業
(出典)2020年3月期 第1四半期 決算説明会資料 p18

 リゾート事業は、セグメント売上高24億6,000万円(前期比6.0%増)、セグメント損失8億5,900万円の赤字(前期は営業損失6億7,400万円の赤字)となった。

 宮崎県にあるリゾート施設「フェニックス・シーガイア・リゾート」の宿泊利用が伸び、利用者数は前期比で12.5%増加した。また、海外では、PARADISE SEGASAMMY Co., Ltd.(同社持分法適用関連会社)が運営する韓国初のIR(統合型リゾート)「パラダイスシティ」が、日本人のVIP層から人気を集めている。

 

見通し

 2020年3月期(2019年4月1日~2020年3月31日)の連結業績予想は、売上高3,900億円(前年同期比17.6%増)、営業利益270億円(前年同期比106.4%増)、経常利益230億円(前年同期比206.8%増)、当期純利益150億円(前年同期比467.6%増)を見込んでいる。

 引き続き、2期連続の不振を挽回すべく、遊技機事業とエンタテインメントコンテンツ事業の立て直しを図るとしている。

 遊技機事業では、6号機への入れ替え需要に合わせて、新作の準備を進めている。また、リユース率の向上、原価率の改善にも注力し、大幅な収益改善にも取り組んでいる。

 エンタテインメントコンテンツ事業では、デジタルゲームの収益性改善と、パッケージゲームの新作投入が今後の柱となる。

 デジタルゲーム分野では、まず既存タイトルを見直し、投資の適正化を図る。新作は『けものフレンズ3』など、収益性の高いIPタイトルが中心となるようだ。

 パッケージゲームでは、『チームソニックレーシング』『マリオ&ソニック AT 東京2020オリンピック』『新サクラ大戦』など、人気IPタイトルでマルチデバイス及びグローバル展開を目指す。同時に、既存IPのリピート販売、休眠IPの掘り起こし等で収益性も強化する。今期はパッケージゲームが好調だったことから、優先的に投資すべき重点領域として扱われるとのことだ。

 第2四半期(2019年7月1日~9月30日)には、往年のゲームハード小型リメイクの追い風として「メガドライブミニ」を9月19日に発売する。すでにネット・店頭販売で品切れが起こるほどの予約が殺到している。

 任天堂が発売した「ニンテンドークラシックミニシリーズ」は、ファミコン・スーパーファミコン共に大ヒットを記録した。収録タイトル40本以上、海外でも高い人気を持つメガドライブの小型ハードが、どのように収益に貢献していくかが注目される。

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