グリー 2019年6月期 通期:長期運営体制と海外展開の自社配信で強固な収益地盤へ 次の柱はワンパンマンか

【Topics】
■ 減収減益も、既存タイトルは長期運営体制により収益が安定化
■ 海外展開の自社配信ノウハウが蓄積。収益性が向上
■ 中国で売上ランク4位に輝いた新作「ワンパンマン」に期待

 

決算概要

 グリー株式会社は、8月2日に2019年6月期の連結業績(2018年7月1日~2019年6月30日)を発表した。

累計業績は、売上高709億3,600万円(前年同期比9.0%減)、営業利益54億7,600万円(前年同期比41.9%減)、経常利益57億円2,500万円(前年同期比44.5%減)、純利益34億8,500万円(前年同期比26.0%減)と減収減益となった。

(出典)2019年6月期 第4四半期 決算説明会資料 p6

 第4四半期単体では、売上高174億1,000万円、営業利益13億4,000万円、経常利益13億3,000万円、純利益4,000万円だった。費用合計は前四半期に比べ、横ばいの161億円。

(出典)2019年6月期 第4四半期 決算説明会資料 p8

 

事業状況
モバイルゲーム分野

 主力のモバイルゲームは、引き続き既存タイトルの運営と海外展開が好調だった。

 既存タイトルは、長期運営体制により収益が安定化し、多くのタイトルがセールスランキング上位を維持している。

 主なタイトルとしては、『シノアリス』(2017年6月6日配信)、『アナザーエデン 時空を超える猫(以下、アナザーエデン)』(2017年4月12日配信)、『戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED』(2017年6月26日配信)、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか~メモリア・フレーゼ~(以下、ダンメモ)』(2017年6月18日配信)の4本。いずれもリリース以来2年経過もランキング上位を維持・復調している。

(出典)2019年6月期 第4四半期 決算説明会資料 p13

 前述したタイトルはリリース日も近いことがあり、各々で周年イベントを展開。ゲーム内でもガチャ及び課金アイテムのセール販売を行い、収益にも貢献したほか、既存ユーザーのLTV(Life Time Value – 顧客生涯価値)向上にも繋がるコンテンツ追加も意識していた。

 他方、海外展開では『アナザーエデン』と『ダンメモ』などが収益に貢献。

(出典)2019年6月期 第4四半期 決算説明会資料 p15

 『アナザーエデン』の海外版は、2019年1月より英語、韓国語、中国語(繁体字)、日本語の4言語表記と、英語・日本語の2音声に対応し、アメリカ、カナダ、オーストラリア、シンガポール、韓国、台湾、香港、マカオの8ヶ国に配信されている。台湾のApp Storeでは2019年4月にセールスランキングでTOP10入りを果たした。(App Annie調べ)

 また、『ダンメモ』の海外版は、北米、韓国、香港、台湾などで配信。中国展開では、Shanda Gamesの子会社Leyu Information Technologyと業務提携し、リリースに向けた準備を進めているとのこと。

 中国など特定の地域では、市場攻略の難しさからパートナー配信を採用しているが、現在は海外展開におけるノウハウ蓄積のために自社配信にこだわっているグリー。実際『ダンメモ』はアジア、『アナザーエデン』は北米・欧州・アジアで自社配信を行い、1タイトルあたりの収益性が向上している。利益率や費用面を鑑みても、施策などハンドリングのしやすさも功を奏していることがうかがえる。

(出典)2019年6月期 第4四半期 決算説明会資料 p16

 新作タイトルでは、2019年6月6日にシリーズ最新作『AFTERLOST – 消滅都市』が日本、韓国、台湾、香港、マカオで同時リリースされた。同作は、既存タイトル『消滅都市』の物語を手軽に奥深く楽しめるために制作されたフルリメイクドラマRPG。アニメ版とゲーム版の双方を融合させた表情豊かなドラマ体験が繰り広げられる。

▲『AFTERLOST – 消滅都市』キービジュアル。App Storeのダウンロードランキングでは上位を記録したが、売上面では振るわず。画像はプレスリリースより

 そのほか、Nintendo Switchなど今後の成長が期待されるプラットフォーム・サービスに対して、オリジナルIPタイトルの展開を行っている。

(出典)2019年6月期 第4四半期 決算説明会資料 p17

 

VTuber分野

 グリーは2018年4月にVTuber市場への参入を発表し、VTuberのマネジメントおよび動画番組の制作・配信を行う子会社Wright Flyer Live Entertainmentを設立している。

 Wright Flyer Live Entertainmentでは、VTuber専用ライブ配信アプリ『REALITY』において、公式番組の拡充に努めている。2019年8月3日には、「バーチャルキャスト」のサービス連携を記念した企画コンペ番組「REALITY企画王 決定戦」を開催する。

(出典)2019年6月期 第4四半期 決算説明会資料 p18

 

見通し

 2020年6月期の見通しについては、新作ゲームアプリのリリースなど、大きな業績変動が見込まれることから非開示としている。

(出典)2019年6月期 第4四半期 決算説明会資料 p20

 今期の新作パイプラインは、他社有力IPタイトル2本をリリース予定。海外展開については、今後も拡充を図り収益性向上に努めるとのこと。なお、前述した新作もすでに海外展開が準備されている。

 中国本土では、人気TVアニメ「ワンパンマン」のアプリゲーム『ワンパンマン:最強の男(一拳超人:最强之男)』を2019年6月にリリース。日本でのリリースも準備中とのことで、前述した他社有力IPタイトル2本のうち1本は同作が該当するだろう。

(出典)2019年6月期 第4四半期 決算説明会資料 p32

 同作は、中国で好調に推移している。App Storeセールスランキングでは、過去最高4位を記録し、その後もキャンペーン施策後にはしっかりと上位にランクイン。中国配信は、『THE KING OF FIGHTERS ’98ULTIMATE MATCH Online』のOurpalmが担当し、日本配信はそのままグリーが担当する。

▲ゲーム内容は、育成要素とシンプルなターンバトルを採用したRPG。個性的なヒーローたちが勢ぞろいの同作では、新しいキャラクターが追加されるたびに、ランキングの上昇にも繋がっていきそうだ。(出典:App Annie)

 IP「ワンパンマン」はアジア圏をはじめ、北米でも人気が高い。すでに自社配信のノウハウも蓄積されていることから、今後の新たな収益貢献の柱になることが予想される。

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