ボルテージ 2019年6月期 通期:スマート運営で赤字は大幅改善 ファンダム多角化戦略を軸に黒字化目指す

【Topics】
■ スマート運営により赤字は大幅改善(△10.4億円→△1.9億円)
■ 4Qは日女・英女がやや苦戦したが、男性向け・IP展開が拡大
■ 「ファンダム+多角化」戦略で足元の黒字化と次の成長を目指す

決算概要

 株式会社ボルテージは、8月14日に2019年6月期 通期の決算を発表した。

 通期の連結業績(2018年7月1日~2019年6月30日)は、売上高71億1,956万円(前年同期比3.7%減)、営業損失1億9,898万円の赤字(前年同期は10億4,239万円の赤字)、経常損失2億3,714万円(前年同期は10億7,380万円の赤字)、当期純損失3億5,598万円の赤字(前年同期は13億2,803万円の赤字)となった。

(出典)2019年6月期 通期 決算説明会資料 p5

 経費圧縮をしながらも、売上の維持に成功し、赤字幅は大幅に減少した。

 第4四半期単体で見ると、「日本語女性向け」「英語女性向け」が苦戦したものの、「男性向け」「IP展開」が堅調に拡大し、売上高17億500万円と前四半期比で2.0%減にとどまった。経費は前四半期比で微増だったが、固定費を抑えつつ、適正な広告出稿を再開している。

(出典)2019年6月期 通期 決算説明会資料 p6

 

事業状況

 同社グループの主な事業は、「日本語女性向け」「英語女性向け」「男性向け」「IP展開」の4つからなる。また、事業区分別の主要タイトル名、その略称は次の通り。

 日本語女性向けは、「読み物型」「アバター型」「カード型」「声優型」に分類して展開。主にアバター型の売上が減少したことにより、同セグメントの売上高は44億3,170万円(前期比11.1%減)となった。主なタイトルの取り組みは次の通りだ。

(出典)2019年6月期 通期 決算説明会資料 p16
(出典)2019年6月期 通期 決算説明会資料 p17
(出典)2019年6月期 通期 決算説明会資料 p19
(出典)2019年6月期 通期 決算説明会資料 p20

 2019年6月より『100シーンの恋+』内の人気タイトル「今宵、妖しい口づけを」をNintendo Switchでも販売開始(対応言語:日・英)。決算発表会では、立ち上がりについて問われると、同社は「堅調な立ち上がりで、回収は見込めると考えている」と回答した。今後も第2弾の販売を予定しているという。

 英語女性向けは、『Love365』『Lovestruck』などが該当する。『Lovestruck』が増加したものの、『Love365』などが減少したことにより、売上高は16億2,064万円(前期比14.5%減)となった。

 『Lovestruck』は、サンフランシスコスタジオ企画開発のコンテンツが収録された英語版読み物アプリ。ストーリーの舞台は海外だが、アニメ風イラストの魅力的なキャラクターが北米でも人気を得ている。また、「Anime Expo」には3年ぶり5度目の出展を果たし、ファンミーティングでは用意していた会場が満席になるほどの盛況を見せた。

 一方で男性向けは、主に『六本木』が大幅に増加したことにより、売上高は9億5453万円(前期比103.8%増)となった。『六本木』は、ターゲットを男性に絞った、ボルテージ初の女性キャラの収集・育成要素を含むストーリー型アプリ。選択肢によるマルチエンディングを実装している。

▲『六本木』2019年8月のApp Storeセールスランキング推移。出典:App Annie

 直近2019年8月のApp Storeセールスランキングを見てみると、施策によって乱高下することはあるが、ゲームカテゴリーでTOP100にランクインするほどのコンテンツパワーを持っていることがうかがえる。2019年11月末でリリースから4周年を迎える同作だが、長期運営かつ男性向けストーリー型アプリというニッチなジャンルのなかで十分すぎる成果を上げているといっても差し支えないだろう。

 IP展開は、VR・AR技術を用いたコンテンツやイベント、グッズ、映像・音楽などアプリ外の展開が該当する。主にイベント、グッズが増加したことにより、売上高は1億1,266万円(前期比175.7%増)となった。

 ボルテージでは、ファンミーティングやコラボカフェ、朗読劇など、積極的にイベント施策を行い、ファンの創出に努めている。

(出典)2019年6月期 通期 決算説明会資料 p14

 

見通し

 2020年6月期の連結業績予想は非開示。

 同社グループは、黒字化及び次の成長のため、2020年6月期第1四半期以降も、スマート運営により費用を抑制しつつ、「ファンダム戦略」&「次の多角化戦略」を進めていくとしている。

(出典)2019年6月期 通期 決算説明会資料 p9

 なお、同社が掲げるファンダム戦略とは、イベント・グッズなどのIP展開によってアプリとリアルの相乗効果を図ること。次の多角化戦略については、アジア女性向け展開や家庭用ゲーム機展開をはじめとした、アプリ内外での新サービスの投入によって、収益源の多角化を目指すことを指している。

(出典)2019年6月期 通期 決算説明会資料 p10

 質疑において、ファンダム戦略の成功法則について問われると、「動画や電子コミックの普及で女性のアプリゲーム接触時間が減少する中、SNSの利用や女性ならではの“コト消費”への変化などを踏まえたIP展開を行い、成果が出てきていると思う」と回答。

 パイプラインでは、新規タイトル2本、アプリ内新作12本程度(うち3本投入済み)の開発・準備を継続しているという。

(出典)2019年6月期 通期 決算説明会資料 p12

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