米国のモバイルアクションゲームの売上は2021年上半期に倍増 『原神』が牽引

▲画像はSensor Tower「U.S. Consumer Spending in Mobile Action Games Doubled in H1 2021, Led by Genshin Impact」より


 アメリカの調査会社Sensor Towerは、同社のブログにおいて「米国のモバイルゲームジャンルの売上高成長率(2020年上半期~2021年上半期)」を公開した。なお、本記事の数字は同社の推計によるものである。

 Sensor Towerが出した推計によると、米国のスマホ向け「アクションジャンル」における売上が、2020年上半期と比較して2021年上半期に約104%増加。上半期の収益で最も成長したジャンルになったことが分かった。

 Sensor Towerでは、ゲームタイトルをジャンルやサブジャンルに詳しく分類し、パブリッシャーが重要なトレンドを効率的に把握できるようサポートする「Game Taxonomy」と「Game Intelligence」の機能を活用して、主要な14のゲームジャンルごとに、App StoreとGoogle Playにおける各カテゴリーの米国での売上とDL数を前年上半期と比較して分析。

 第2四半期だけでなく上半期にも焦点を当てることで、世界的なコロナ禍とそれに伴うロックダウンが特定のジャンルにどのような影響を与えたか、また世界的なワクチン接種の展開が進む中で市場がどのように推移しているかを明確に把握できるようになる。

   

▲2020年上半期から2021年上半期までの米国のモバイルゲームジャンルの売上高成長率

 「アクション」カテゴリは売上が前年同期比103.8%増の4億3,570万ドル(約479億円)となり、最も急速に増加したジャンルであることが分かる。

 売上額が最も大きかった「アクション」のサブジャンルは「格闘」で、前年同期比27.7%増の1億8330万ドル(約201億円)となった。

 アクションゲームの売上第1位は、miHoYoの『原神(GENSHIN IMPACT)』で、上半期に米国で約1億7,400万ドル(約191億円)を記録。第2位はKabamの『MARVEL オールスターバトル(Marvel Contest of Champions)』、第3位はバンダイナムコの『ドラゴンボール レジェンズ(Dragon Ball Legends)』だった。

 21年上半期の収益で2番目に成長したジャンルは「ハイパーカジュアル」で、前年同期比60.4%増の約5,900万ドル(約65億円)。一方、成長率第3位は「テーブルトップ」で、売上額は前年同期比41.7%増の約3億8900万ドル(約427億円)となった。

 「パズル」は、前年同期比18.6%増の26億ドル(約2,857億円)を記録し、最大のカテゴリーに。次いで「カジノ」が25億ドル、「ストラテジー」が22億ドルとなる。

         

▲2020年第2四半期から2021年第2四半期までの米国のモバイルゲームジャンルの収益成長率

 2021年第2四半期だけを分析すると、同じジャンルが急成長し、収益の上位を占めている。ただし、第2四半期は上半期とは異なり、売上が減少したジャンルもある。中でも「ライフスタイル」は前年同期比で約12%減少している。

    

▲2020年上半期から2021年上半期までの米国のモバイルゲームのダウンロード数の推移

    

 どのジャンルも、最初の新型コロナ感染拡大およびロックダウンが発生した2020年と比較して、上半期のダウンロード(DL)数が減少。

 最も減少幅が小さかったジャンルは「ストラテジー」で、前年同期比4.4%減の7,170万DL。ストラテジーのサブジャンルで最も多かったのは「4X」で、前年同期比約2%増の約2,860万DLとなった。

 ジャンル内1位のタイトルはTop War Studioの『Top War』の420万DLで、2位はFunPlusの『State of Survival』、3位はSupercellの『Clash of Clans』と続く。

 21年上半期のDL数が最も多かったのは「ハイパーカジュアル」で、前年同期比では6.5%減であるものの、8億3,020万DLを記録して1位となった。2位は「パズル」、3位は「アーケード」。

▲2020年第2四半期から2021年第2四半期にかけての米国のモバイルゲームのジャンル別ダウンロード数の減少率

 21年に限ってみると、「カジノ」が前年同期比54.7%減となるなど、各ジャンルとも大幅に減少している。

 

 一般的に、モバイルゲームの収益とDL数は、市場の成長に伴って毎年増加することが大きく期待されている。しかし、新型コロナの感染拡大やロックダウンにより、不確実性が生じた。

 Sensor Towerは、「消費者が娯楽や生活必需品のためにモバイル機器を利用するようになり、モバイル分野の成長が急増した一方、2021年は、アップルがiOS 14.5以降でIDFAの変更を導入したことも、市場にさらなる不確実性をもたらした」と、広告界隈を戦慄させたIDFA取得のオプトイン化に触れた。

 一方で「ただ、上半期にはDL数の減少が見られたが、売上はすべてのカテゴリで増加し続けている。このことは、2020年に大きく伸びた利益が失われていないことを示唆しており、アップルのプライバシーに関する変更のような最近の逆風の中でも、モバイルゲーム業界は成長を続けているといえる」との見解を示している。

 

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