PlayStationのインディーゲームへの取り組みとは。ディベロッパとユーザーを密接に繋ぐ3つの機能を紹介【CEDEC2021】

 2021年8月24日(火)から26日(木)までの3日間、日本最大のコンピュータエンターテインメント開発者向けカンファレンス「CEDEC2021」(CEDEC=セデック:Computer  Entertainment Developers Conference 主催:一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会、略称CESA)が開催。昨年に引き続き、新型コロナウィルス感染拡大を防止する観点から本年もオンラインで開催された。

 本稿では、8月25日(水)に実施された講演「PlayStation INDIES の取り組み」の模様をレポートしていく。

【講演者】

吉田 修平
1986年ソニー入社、1993年プレイステーションの立ち上げより参加、1996年よりゲーム開発、2008年ワールドワイドスタジオ プレジデント、2019年よりインディーズ イニシアティブ代表。

 

 

 

吉田氏が強調する“インディーゲームの意義”とは

 吉田氏はまず、インディーゲームの意義について、「自分の作りたいものを作るというところが一番」だと話す。

 インディータイトルは、クリエイターがゲームの著作権の所有する場合が多く、IPの進展について自由に決めることができ、ディベロッパの価値を大きく上げることができると説明。ユーザーとのダイレクトなコミュニケーションが可能で、プロモーションを自由に行えるため、コミュニティを自分たちで育てていく醍醐味があると続けた。

 現在ビッグタイトルとされる作品も、最初はインディーゲームとしてスタートした作品が多い。たとえば、『マインクラフト』(2011年)はゲームクリエーションのコミュニティを築き、『PlayerUnknown’s Battlegrounds(PUBG)』(2017)はバトルロイヤルの雛形を業界に示してきた。「既存のゲームの概念を打ち壊してくれるような新しいコンセプトは、インディーシーンから生まれている」と吉田氏は強調する。

▲『ノーマンズスカイ』はアルゴリズムで全てのデータを作るという、クリエイターのビジョンが色濃く反映された作品。
▲『Fall Guys: Ultimate Knockout』は、バトルロイヤルとアクションプラットフォーマーを掛け合わせたような、誰でも楽しめるゲームジャンルとなった。

 さらに、日本やアメリカ、ヨーロッパなど、ゲーム業界を牽引してきた地域以外の場所から、ゲームを通じて地域の文化やメッセージを世界中に発信することが可能になっていることも、インディーゲームの意義の一つにあると話した。

▲『コーヒートーク』は、インドネシアのゲームスタジオ「Toge Productions」が開発したADV。

 

ディベロッパとユーザーを密接に繋ぐPS5の3つの機能

 「Unity」や「Unreal Engine」といったゲームエンジンとの親和性が高く、過去のハードより比較的容易に開発ができるようになったというPlayStation5。

 また、吉田氏は、PlayStation5における、“ディベロッパとゲームユーザーを密接に繋ぐ”ことができる機能を、「Game Hub」と「Activity」、「Game Help」の3つに分けて紹介した。

■Game Hub

 ゲームの発表と同時に、その作品に関する情報をまとめた「ハブ」というページの作成ができ、タイトルのフォローやウィッシュ機能を促すことができる機能。フォローしているユーザーに直接、タイトルの最新情報や、開発者のメッセージを届けることが可能となっている。

▲『アストロプレイルーム』ダウンロード配信後のページ。ビデオやトレーラー、ゲーム開発陣のメッセージを載せることが可能。
▲『MLB The Show 21』のオフィシャルニュースページ。ユーザーがPlayStation 5を立ち上げたときに、トレーラーやDLCの情報など、ユーザーに直接オフィシャルニュースを届けることができる。
▲オフィシャルニュースはモバイルアプリ上でも確認ができる。

■Activity

 ゲームユーザーそれぞれの進捗に応じた情報を、PlayStation 5上で提供する機能。ユーザーそれぞれのゲームの達成率や、シナリオの内容、クリアまでの想定時間などを表示することができる。

▲Activityは、シングルプレイとマルチプレイ、どちらでも表示が可能。PSボタンを押すことで、遊びたいプレイを直接選択できる。
▲タイムアタックのランキングを表示させることで、ユーザーの競争意識やチームプレイへのモチベーションを高めることに繋がる。
▲ユーザーのフレンド内のランキングを表示することも可能。

■Game Help

 進行が難しいシーンについて、ユーザーがディベロッパから直接サポートヘルプを得ることができる機能。マップ内に仕掛けられた隠しアイテムの取得方法など、ディベロッパが録画したヒントをビデオで確認できる。

▲Game Helpの動画を再生しながらゲームがプレイできるなど、非常に便利な機能。

 

PlayStationにおけるインディーゲームの取り組みとは

 講演の後半では、吉田氏が代表を務めるインディーズ イニシアティブの取り組みについて、説明が行われた。

 PlayStation 5の発売年である2020年に配信したオンラインショー「The Future of Gaming」では、AAAタイトルとともに複数のインディータイトルを紹介。動画配信番組「State Of Play」でも同様に、プレイステーションのイベントにてインディーゲームにフォーカスを当てた情報発信に力を入れている。

 プレイステーションのBLOGやTwitter、Instagram、Facebook、YouTubeといったソーシャルメディアでは、定期的に「インディーズ ショーケース」と称し、多くのインディー作品の紹介を実施。

 日本独自の取り組みとして、「PlayStation.Blog」にて、月に一度、前月に発売されたインディーゲームを詳しく紹介する「やみつきインディーズガイド」という記事を掲載。PlayStation.comのサイトにもインディーズのコーナーを設けており、今後配信予定の新作と同時に、配信中のおすすめタイトルを紹介している

 「PlayStation Store」では、インディーズのコーナーを常設しており、新しいインディーゲームおすすめのタイトルが出ると、コーナーに追加していくといった活動が行われている。

▲定期サービス「PlayStation Plus」では、おすすめインディータイトルが配信されている。
▲定額制サービス「Playstation Now」にも、毎月インディーゲームが追加されている。
▲新型コロナウィルスの影響に対する支援活動を目的とした「Play At Home」では、様々なインディータイトルが無料で配信された。
▲新型コロナで影響を受けた開発者に対して、約10億円をサポートしている。

 吉田氏は最後に、「我々プレイステーションでは、今後も日本のインディーディベロッパーさんが世界に羽ばたいていただけるようなサポートを続けていきたいと思っています」とまとめ、講演の締めとした。

 プレイステーションでは、ディベロッパ、パブリッシャー向けシステム、開発ツールの貸し出しについて、「PlayStation Partners」というプログラムを行っている。興味のある方は、下記サイトからパートナー登録を検討してみてはいかがだろうか。

「PlayStation Partners」公式サイト:https://partners.playstation.net/

 

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島中 一郎(Ichiro Shimanaka)
島中 一郎(Ichiro Shimanaka)https://www.foriio.com/16shimanaka
ライター。ゲーム・アニメ業界を中心にニュース記事の執筆、インタビュー、セミナー取材などマルチに担当。ボードゲームが趣味であり、作品のレビューや体験会のレポートを手掛けるほか、私生活で会を催すことも。無類のホラー好き。

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