インディーゲームをヒットさせるために必要な手法とは。『サクナヒメ』&講談社クリエイターズラボから紐解く【TGS2021】

 2021年9月30日(木)から10月3日(日)までの4日間、ゲームイベント「東京ゲームショウ2021 オンライン」(以下、TGS2021)が開催。新型コロナウィルス感染拡大を防止する観点から、オンラインを中心に行われた。

 本稿では、9月30日(木)に実施されたTGSフォーラムセミナー「インディーゲーム ヒットさせるための発掘・育成・マーケの手立て」の模様をレポートしていく。

【登壇者】

細居 賢志氏
Marvelous USAエグゼクティブバイスプレジデント。1977年生まれ、米国カリフォルニア州ロサンゼルス出身。青山学院大学卒。2007年 Marvelous USA/XSEED Games入社 Localization Manager。2012年 ガンホーアメリカ入社 Director of Production。2017年 Marvelous USA Inc./XSEED Games再入社。2017年より『天穂のサクナヒメ』を担当。

片山 裕貴氏
講談社第四事業局 クリエイターズラボ ゲームクリエイターズラボ チーフ。講談社第四事業局クリエイターズラボ所属。『FRIDAY』『月刊少年マガジン』の編集者を経て、現在は(GCL)のチーフを務める。GCL第1期生作品の制作状況確認や、発売スケジュールの進行管理などを担当。

 

 

『天穂のサクナヒメ』の事例
お米にフォーカスしたマーケティングを実施

 近年、多くのパブリッシャーが関心を寄せているインディーゲーム。

 本セミナーでは、世界累計出荷本数100万本を達成した『天穂のサクナヒメ』(以下、サクナヒメ)を担当したMarvelous USAエグゼクティブバイスプレジデントの細居氏と、インディーゲーム制作者の育成に力を入れる講談社の片山氏が登壇。各々の実際の体験に基づき、インディーゲームの発掘やマーケティングに関する手法について語られた。

 まずは細居氏が、『サクナヒメ』について紹介。『サクナヒメ』の開発元である「えーでるわいす」とマーベラスとの出会いは、2014年に京都で開催された「BitSummit 2014 -京都インディーゲームフェスティバル-」。えーでるわいすのシューティングゲーム『アスタブリード』の出展が目に留まったことがきっかけだったという。

 その後、えーでるわいすから「新規で稲作をテーマのアクションゲーム制作を考えている」という相談を受け、そのコンセプトのユニークさに興味を持ち、マーベラス側からオファーを行ったそうだ。

 細居氏は、インディーゲーム開発のパブリッシャーの役目は「クリエイターの情熱に同乗すること」としており、開発に関して一切口を出さなかったという。ゲーム会社の常識に縛ることはせず、開発のビジョンに到達するまでリリース延期はやむを得ないというスタンスで、機材提供やマーケティングに関するサポートを徹底したそうだ。

 開発の遅延こそあったが、『サクナヒメ』は結果的に2017~2019年のE3(Electronic Entertainment Expo)に出展することができ、細居氏は「マーケティングの山場を作ることができた」と振り返っている。

 また、「米は力だ」とキャッチコピーの通り、マーベラスは「神明ホールディングス」や隠岐の米農家との対談など、早い段階からお米にフォーカスしたマーケティングを実施。その結果、「令和の米騒動」という印象的なキャッチーなフレーズが付き、多くの注目を集めることに成功した。

 細居氏は最後に、「(マーケティングは)全て計算して作れるような流れではなく、あくまでも実力と運が重なったことで『サクナヒメ』は結果的に成功したインディーズタイトルになった」と説明した。

 

年間最大1000万円を支援する講談社の
インディーゲーム開発プロジェクト

 「ゲームクリエイターズラボ」は、2020年9月より講談社が取り組みを始めたインディーゲームクリエイターへ年間最大1000万円を支援するプロジェクト。

 金銭面での援助のほか、講談社媒体による広報・宣伝・営業サポートや作品のマルチメディア展開、英語をはじめとする多言語化対応など、講談社によるフルサポートが提供される。

 片山氏によると、「漫画、小説、絵本等のフィクション作品で培ったノウハウを、インディーゲームでも応用できるのではないか」という考えがあったとのこと。UnityやUnreal Engineなど汎用エンジンの発展により、少人数でゲームが作れるようになったという背景もあったそうだ。

 クリエイターズラボの代表作として片山氏は、『地罰が上れば竜が降る』というアクションRPGを紹介。本作はHytacka氏による作品で、Youtube上でゲーム制作の過程について実況を行うといった、ユニークな宣伝活動を実施。チャンネルの登録者数が10万人を超えるなど、多くの注目を集めている。

 続いて片山氏は、ノベルゲーム『十三月のふたり姫』と3D謎解きアドベンチャー『謎と記憶のラビリンス』を紹介。講談社が得意とする絵本や漫画コンテンツとデジタルゲームを組み合わせることにより、相乗効果が得られると片山氏は説明。今後も、定期的に新しいコンテンツを配信していくとのことだ。

 講談社では、10月より、ゲームクリエイターズラボ公認のゲームアイドルたちがインディーゲームをプレイするゲーム紹介番組「あなプレ!」を配信する予定とのこと。片山氏は最後に、「色んなインディーゲームを遊ぶ場を作り、その中で自分たちのパブリッシングするタイトルを宣伝して行きます」と、今後の展望について話した。

 Marvelous USAと講談社の2社の視点から、インディーゲームの発掘やマーケティングの手法について語られた本セミナー。

 講談社のゲームクリエイターズラボについて、第二期メンバーを10月31日まで募集しているとのことなので、インディーゲーム開発に興味のある方は、チェックしてみてはいかがだろうか。

「ゲームクリエイターズラボ」第二期メンバー募集ページ:https://creatorslab.kodansha.co.jp/gcl/recruiting

 

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島中 一郎(Ichiro Shimanaka)https://www.foriio.com/16shimanaka
ライター。ゲーム・アニメ業界を中心にニュース記事の執筆、インタビュー、セミナー取材などマルチに担当。ボードゲームが趣味であり、作品のレビューや体験会のレポートを手掛けるほか、私生活で会を催すことも。無類のホラー好き。

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