世界のゲーマーから見た日本のゲームの印象。IGNグローバルの記者が回答【TGS2021】

 コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は、ゲームイベント「東京ゲームショウ2021 オンライン(TGS2021 ONLINE)」を9月30日~10月3日の期間で開催中。

 本稿では、10月1日(金)に行われたIGN JAPANプロデュースの主催者番組 「IGNグローバルに聞く:世界のゲーマーは日本のゲームをどう見てますか?」の内容をレポートする。

 この番組では「世界中のゲーマーが日本のゲームをどう見ているのか」をテーマに、30地域近くで25言語に対応するグローバルなメディアであるIGN各国の記者が各リージョンのゲームシーンについて語る内容となる。

 また、当日はIGN JAPANの編集長であるロブソン・ダニエル氏をはじめ、日本のクリエイターからコーエーテクモゲームスの安田文彦氏と、Bokeh Game Studioの外山圭一郎氏が出演し、世界の反応に対してコメントした。番組MCは竜瀬葵さんが務めた。

【出演者】

安田 文彦 氏
コーエーテクモゲームス 執行役員/Team NINJA ブランド長。1982年福岡県生まれ。2005年東京大学英文科卒。2006年テクモ入社(2010年コーエーテクモゲームスに合併)。『NINJA GAIDEN』シリーズの企画/ディレクターを務めた後、『仁王』ディレクター、『仁王2』プロデューサー/ディレクターを経て、現職。
外山 圭一郎 氏
Bokeh Game Studio 代表取締役 CEO/Creator。1994年コナミに入社後、初の企画、ディレクション作品として「サイレントヒル」を制作。1999年、SCE(現SIE)に移籍し、「SIRENシリーズ」「Gravity Dazeシリーズ」を手掛ける。2020年に独立し、Bokeh Game Studioを設立。
ロブソン・ダニエル 氏
IGN JAPAN 編集長。イギリス出身。大学卒業後に来日し、ジャパン・タイムズ、MTV、NME、CNNなどのグローバルメディアでゲームや音楽、ポップカルチャーのジャーナリストとして活躍。その後、ソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)を経て、2016年、ゲーム情報サイト「IGN Japan」ローンチと同時に編集長に就任。

  

 

5地域のIGN記者が日本ゲームを語る

 番組は、アメリカ・ドイツ・ブラジル・中国・東南アジアの5地域それぞれで活動するIGNの記者が、日本のゲームについて質問に答えていく形で進行。まずは、各リージョンのトレンドを確認。以下、各国で挙げられた内容は箇条書きで掲載していく。

※複数の方が挙げている作品(企業・ジャンル・シリーズ)に関しては太字にしている。

 

Q.各国のゲーム市場のトレンド

【アメリカ】

  • 『フォートナイト』や『Destiny』のようなサービスゲームが大きな人気を集めている
  • 『グランド・セフト・オートV(GTA5)』は来年もプレイされ続けるだろう。3世代目のコンソールでも発売されるのは驚くべきこと
  • シングル向けのゲームでは『ゴッド・オブ・ウォー』のほか、『Marvel’s Spider-Man』や『ウィッチャー3 ワイルドハント』、『サイバーパンク2077』などのオープンワールドアクションRPGが注目
  • インディー開発者にはローグライトが人気
  • 「Xbox Game Pass」も大人気。発売初日からGame Passで遊べることで、小規模なゲームにも光が当たるようになった

【ドイツ】

  • ドイツのゲーマーが最も気にしているのは「いつになったらPS5を買えるのか」ということ

【ブラジル】

  • サッカーのゲームは毎年流行する
  • バトロワMOBAも人気
  • 『ゴッド・オブ・ウォー』の評判がとても良かった
  • 『Hades』や『The Last of Us Part II』も反響あり。「Forza Horizon」や「Halo」など人気シリーズの新作にも期待が高まっている
  • 世界で人気があるものは大体流行っている

中国】

  • モバイルゲームとオンラインゲーム(特にバトロワMOBAだと思われる)がゲーム市場を席巻
  • 2000~2014年の間、ゲーム機が規制されていたため、コンソールの市場が成長するのはこれから

【東南アジア】

  • プレイヤー層のほとんどがモバイル端末でゲームをプレイするため、モバイルゲームが人気。特にMOBAバトロワが席巻している。

 トレンドは『ゴッド・オブ・ウォー』の高評価、そしてMOBAとバトロワの人気ぶりが再確認できる内容に。では、各国のユーザーは、日本のゲームとどのように関わってきたのか。

   

Q.日本製ゲームへの反応

【アメリカ】

  • 日本のゲームは盛り返している印象
  • 『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』続編のような大作に注目が集まっている

【ドイツ】

  • 今の大人は「ファイヤーエムブレム」シリーズをはじめとした任天堂の名作で育っているため、誰もが良い思い出を持っていると思われる
  • 「メタルギア」シリーズも愛されている
  • 日本のゲームを一足先にプレイするために日本語を勉強する人もいる
  • gamescom※では日本ゲームのコスプレをした人がたくさん見られる

※gamescom……ドイツのケルンで開催されている、世界3大ゲームショウのひとつ 

【ブラジル】

  • ビデオゲーム初期のころから任天堂とセガが大人気
  • 東京ゲームショウはブラジル人にとっても注目のイベント

【中国】

  • 70~80年代、中国人が初めてプレイしたゲームは日本のタイトル
  • 『スーパーマリオブラザーズ』など、日本のクラシックゲームは中国に多くのファンを抱えている

【東南アジア】

  • 『メタルギアソリッド』『ポケモン赤・緑』『ファイナルファンタジー7』で育ったゲーマーは多く、JRPGが人気

 

 各国それぞれタイトルが挙がったが、特に任天堂の名作タイトルを通ってきたゲーマーが多いようだ。

 他方、さまざまな観点から見ても注目度が高いのは、やはり中国だろうか。長らく家庭用ゲーム機が規制されていた中国も、近年ではNintendo Switchをはじめとしたゲーム機が入手できるようになっている。

 安田氏曰く、三國志を題材にしたゲームを多く扱うコーエーテクモでは、そういったタイトルは中国でもモバイル・CS(コンシューマ)問わずヒットが見込めるため、やはり市場としての注目度が高いそうだ。

 外山氏は市場としてだけでなく、中国のクリエイターから生まれる独自の感性についても指摘。西遊記を題材にしたGame Scienceのド派手なアクションゲーム『Black Myth: Wukong』のビジュアルにも触れつつ、日中両国がいい刺激を与え合う関係になれるのではないか、とコメントした。

 続いて、最近話題になっている日本の作品についても、各国の状況が共有された。

 

Q.最近話題になっている日本の作品

【アメリカ】

  • フロム・ソフトウェアのオープンワールドアクションRPG『ELDEN RING』。ソウルシリーズは日本ゲームのブームに大きく貢献しているタイトル
  • 「ゼルダの伝説」や「ポケモン」、特に「どうぶつの森」といった任天堂IPも大人気
  • ファイナルファンタジー14』はMMORPGの中で覇権を握りつつある
  • バイオハザード」や「モンスターハンター」シリーズなど、カプコンのタイトルが全体的に好調
  • 『龍が如く0』で「龍が如く」シリーズの人気に火がついた。『龍が如く7』は2020年のヒット作のひとつ
  • ヨコオタロウ氏は人気のクリエイターの一人で、尖ったユーモアが米国のユーザーに刺さる
  • 『ペルソナ4』『ペルソナ5』も忘れられない。日本の高校生活を味わえるゲームを好きにならないわけがない

【ドイツ】

  • もちろん『ファイナルファンタジー7 リメイク』。今後も非常に楽しみにしている
  • 『モンスターハンター:ワールド』、『モンスターハンターライズ』で「モンハン」シリーズのファンコミュニティが拡大した
  • 『バイオハザード ヴィレッジ』が好評
  • 龍が如くスピンオフの「JUDGE EYES」の人気が伸びている。「龍が如く」シリーズはXbox Game Passで配信されているため、Xboxの所有者が多いドイツではファンが増え続けている

【ブラジル】

  • ブラジル人にとってRPGをプレイするきっかけとなった「ファイナルファンタジー」シリーズは、新しい情報が出るとファンが熱狂する
  • それ以上に今は『ELDEN RING』の反響がすさまじい。ソウルライクなタイトルは注目度が高い
  • 「ボンバーマン」「悪魔城ドラキュラ」「マリオ」「ゼルダの伝説」などは常に新作を望まれている

【中国】

  • バイオハザード」「モンスターハンター」シリーズが人気。特に「バイオ」を知らない人はいないほど
  • テイルズ オブ アライズ』は中国語にも対応し、国内のゲーマーを喜ばせた

【東南アジア】

  • JRPGが人気なので、「FF」や「ポケモン」シリーズの新作が出る度にファンがこぞってプレイしている。もちろん日本語音声で
  • 『モンスターハンター:ワールド』や『モンスターハンターライズ』など、「モンハン」も人気
  • やはり「バイオハザード」シリーズのファンが多い
  • 『テイルズ オブ アライズ』の人気がうなぎ登り。ゲームの一部が東南アジアで開発されたことは誇らしい

 

 日本の人気IPタイトルがそのまま受け入れられるようになってきた、とまとめるのは外山氏。グローバル展開が主流になり、各国のローカライズに力を入れたタイトルが増えたことで、世界のユーザーが同じ話題を共有できる時代になったと言える。

 安田氏は「ホットな時期にグローバルでプレイしてもらえることは重要」とコメント。世界で同時期に発売することについて、制作側の苦労は計り知れないものがあるが、各社ワールドワイドの発信に努めているようだ。

 また、『Demon’s Souls』から始まり、「DARK SOULS」シリーズで確立された“ソウルライク”と呼ばれるジャンルについては、安田氏が「世界に受け入れられるフォーミュラを作ったのはすごいこと」と語る。自身が手掛ける「仁王」シリーズも多大な影響を受けていることもあり、感慨深げな様子だった。

 そして、話題は“今後注目している日本の作品”に。

 

Q.今後注目している日本の作品

【アメリカ】

  • 『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』続編と『ELDEN RING
  • 小島秀夫氏三上真司氏の作品は強い影響力を持つ
  • 「スーパーロボット大戦」がついにアメリカでも発売される(今までは未発売だった)
  • 「鬼滅の刃」IP作品も期待が高まっている

【ドイツ】

  • 『ELDEN RING』。文字通りドイツのゲーマー全員が注目している
  • ドイツは日本のゲームが大好きなので、必ずプレイされる

【ブラジル】

  • 「ポケモン」の新作は必ずヒットする
  • 小島秀夫作品三上真司氏の『Ghostwire: Tokyo』に期待
  • もちろん『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』続編も。任天堂の「マリオ」「メトロイド」新作はいつも喜ばれている

【中国】

  • 間違いなく『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』続編。前作はNintendo Switch所有者がほぼ全員購入し、E3で公開されたトレーラーはbilibiliで100万再生を超えている
  • ELDEN RING』も同じく期待のタイトル
  • 小島秀夫作品なら、どんな作品でもファンがついていく

【東南アジア】

  • 『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』続編と『ELDEN RING』。フロム・ソフトウェア初のオープンワールドには目が離せない
  • AAAのJRPGなら何でもヒットする可能性がある。ターン制システムが求められている

 

 言うまでもなく、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』続編や『ELDEN RING』への期待感が各国ですさまじいことに。

 また、次回作の詳細がまだ明らかになっていないにも関わらず、話題に多く挙がった小島秀夫監督には、「作家としての信頼性が高い」と外山氏が分析。

 安田氏は三上真司氏の『Ghostwire: Tokyo』への期待感を示すと共に、やはり『ELDEN RING』については見逃せないと考えているようだ。 

 外山氏は「グローバルの垣根はなくなってきている」と改めて実感をコメント。外山氏は現在、ホラーテイストを持ったアクションゲームの開発に携わっている最中であり、できるだけ早くワールドワイドに向けて情報を発信したい、と意気込みを語った。

 そして最後に、「これからも作ったゲームが世界中の人に喜んでもらえるよう、頑張ろうと思います」と安田氏は締めくくった。

 安田氏は現在、「ファイナルファンタジー」の“ソウルライク”アクションである『STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN』に携わっている。「FF」で「仁王」のようなプレイ体験ができるとあって、期待の高まる一作だ。

▲同作はTGS内で2022年3月18日(金)に発売することが明かされた

 日本と世界で、話題になる作品にズレが少なくなってきている昨今のゲーム業界。世界で注目されるタイトルの中に日本のゲームが数多く挙がることは、日本のゲーマーとして嬉しいものがある。

 

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森口 拓海(Takumi Moriguchi)
雑誌やWEBメディアを中心に記事を執筆。ゲームは雑食で多様なジャンルを好み、業務の延長でアプリ分析も得意。恩のあるゲーム業界に貢献すべく日々情報を発信。

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