VRゲームを拡大するためのメタバースの役割とは。「5G」を活用した次世代SNSとしての役割を担えるかが重要に【TGS2021】

 2021年9月30日(木)から10月3日(日)までの4日間、ゲームイベント「東京ゲームショウ2021 オンライン」(以下、TGS2021)が開催。新型コロナウィルス感染拡大を防止する観点から、オンラインを中心に行われた。

 本稿では、9月30日(木)に実施されたTGSフォーラムセミナー「VRが変革するゲームビジネスの未来」の模様をレポートしていく。

【講演者】

加藤 直人氏
クラスター代表取締役。京都大学理学部で、宇宙論と量子コンピュータを研究。2015年にVR技術を駆使したスタートアップ「クラスター」を起業。2017年、大規模バーチャルイベントを開催することのできるVRプラットフォーム「cluster」を公開。経済誌『ForbesJAPAN』の「世界を変える30歳未満30人の日本人」に選出。
國光 宏尚氏
Thirdverse代表取締役CEO / Founder。1974年生まれ。米国Santa Monica College卒業後、2004年5月株式会社アットムービーに入社。同年に取締役に就任し、映画・テレビドラマのプロデュース及び新規事業の立ち上げを担当する。2007年6月、株式会社gumiを設立し、代表取締役社長に就任。2021年7月に同社を退任。2021年8月より株式会社Thirdverse代表取締役CEOに就任。
岸上 健人氏
MyDearest代表取締役CEO。1991年12月31日生まれ。徳島県出身。自社オリジナル作品として制作した物語重視のVRゲーム『東京クロノス』『ALTDEUS: Beyond Chronos(アルトデウス: BC)』がヒット。米フェイスブックも注目の作品として挙げる。この2作品では自らプロデューサーを担当している。

 

 

着々と拡大を続けるVR市場

 ゲームを軸として大きな広がりを見せているVR(仮想現実)市場。

 2020年10月に登場したVRヘッドセット「Oculus Quest 2」は、7月に累計販売台数が460万台を到達。日本や欧米だけでなく、TikTokを運営するByteDance(バイトダンス)がPico(ピコ)という大手VRヘッドセット開発会社を買収するなど、中国市場も盛り上がりを見せている。

 ハードだけでなく、2019年にリリースされたVRリズムゲーム『Beat Saber』の累計販売本数は400万を突破。他にも、販売本数100万本を突破しているVRゲームは数多くあり、「ハードと共にソフトが売れている、良い循環ができている」と國光氏は話す。

 10月21日には、Oculus Quest 2専用VR作品として『バイオハザード4』が登場。IP系作品が登場することで、より多くのユーザーがVRに興味を持つことが予想される。

 國光氏によると、自社のゲームをプレイしているユーザーの90%以上が男性で、年齢層は10代~20代が多いという。

 一方、『東京クロノス』や『ALTDEUS: Beyond Chronos』を手掛けるMyDearestの岸上氏は、ユーザーの約25%が女性というデータがあるとコメント。女性比率が多い理由について岸上氏は「イラストや人気声優の起用など、様々な要因が関係しているようだ」と見解を述べた。

 大規模バーチャルイベントを開催することのできるVRプラットフォーム「cluster」にてバーチャル渋谷やバーチャル丸の内、バーチャル原宿など、様々な街を再現する取り組みを行っている加藤氏。

 バーチャル空間は近年登場したばかりで歴史やストーリーがまだ無いため、現在は仮想空間が完成するまでの過渡期として渋谷などの街を“借りている”状態にあるという。

 VRゲームの今後について加藤氏は、「バーチャル空間内でアバターを買い、バーチャル空間で物を作って売って稼ぎ生活できるスタイルが当たり前になる」と予測(関連記事)。clusterでは実際にゲーム中でデジタルコンテンツの購入や、通販ができるようなシステムが完成しているとのことだ。

 

メタバースが注目を集めた4つの理由とは

 VRゲームを語るうえで切り離せないのが、メタバースとの関係。國光氏は特に近年に入ってからメタバースが注目を集めている理由について、以下の4つのポイントを挙げる。

①次世代SNSの登場

 インターネットビジネスで大きな割合を占めるSNS。移動通信システムの第3世代の「3G」ではテキストベースのFacebookやTwitterが登場し、「4G」写真や動画を活用するInstagramやTikTok、Snapchatが流行した。そして近年、「5G」を活用したコンテンツとして、メタバースが注目を集めている。

②ゲームのSNS化

 近年流行しているゲーム作品の多くが、ソーシャルで楽しめる内容となっている。『フォートナイト』ではマシュメロやトラヴィス・スコット、アリアナ・グランデといった有名アーティストがゲーム内でバーチャルライブを行うなど、ゲーム自体が新しいSNSの役割を持つことに。

 また、オンラインゲームは以前はハイエンドPCの存在が不可欠だったが、現在はスマートフォンでもプレイできるようになり、ゲームユーザーが増加。ユーザー間の共通の話題についても、ゲーム側が提供することに成功している。

③VRによりコミュニケーションが円滑に

 VRコントローラーは手の動きなどのジェスチャーが読み取ることが可能なため、ビデオチャットサービスなどでは伝えるのが難しい細かな仕草も情報として伝えることができ、コミュニケーションがスムーズに。

 Facebookが提供するソーシャルVRサービス「Horizon Workrooms」など、VRで同じ空間に集まって仕事ができるといったアプリも登場している。

④ブロックチェーン技術との組み合わせ

 VRゲームとブロックチェーン技術が組み合わさり、バーチャル空間上に一つの経済圏が作れるようになった。

 

 最後に、加藤氏が「VRをGoogleやFacebook、Amazon、YouTubeのように、ユーザー数が10億人を超えるようなインフラにすべく頑張ります」、國光氏が「VRの中で世界中の誰もが知ってるような代表作を作っていきたいです」、岸上氏が「日本のゲームクリエイターの中でも新しい才能を私たちの会社から輩出していきたい」と今後について語り、セミナーの締めとした。

 新しいエンターテイメントが次々と誕生していくVR業界。ビジネス面も含めて、VRがどのような展開をしていくのか、今後も注目したいところだ。

 

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島中 一郎(Ichiro Shimanaka)https://www.foriio.com/16shimanaka
ライター。ゲーム・アニメ業界を中心にニュース記事の執筆、インタビュー、セミナー取材などマルチに担当。ボードゲームが趣味であり、作品のレビューや体験会のレポートを手掛けるほか、私生活で会を催すことも。無類のホラー好き。

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