急成長のモバイル広告プラットフォームPangle。ユーザー獲得&収益を拡大する4つのポイント【TGS2021】

 2021年9月30日(木)から10月3日(日)までの4日間、ゲームイベント「東京ゲームショウ2021 オンライン」(以下、TGS2021)が開催。新型コロナウィルス感染拡大を防止する観点から、オンラインを中心に行われた。

 本稿では、9月30日(木)に実施されたTGSフォーラムセミナー「Think Gaming, Think Pangle TikTok For Businessでハイバリューなユーザー獲得、収益を拡大」の模様をレポートしていく。

【講演者】

井上 裕貴 氏
Bytedance Pangle business development manager
小野 稜馬 氏
Bytedance Monetization Product-TikTok Monetization Product-Product Strategy and Operation-APAC

 

 

アジアを中心に成長を続けている「Pangle」

 2019年にTikTok for Businessの新規プラットフォームとして日本でリリースされたアプリ収益化サービス「Pangle」。

 広告主側としては、これまでTikTokだけではリーチできなかったユーザーに対してアプローチができ、アプリデベロッパー側としては精度の高いAIを使った広告配信が行えるため、高い収益が期待できるサービスとなっている。

 現在Pangleは、グローバルで抱えているDAUが約4億人、トラフィックのボリュームが月380億人、5万以上のアプリに配信できるプラットフォームにまで成長している。

 Pangleでは、動画リワード広告、インタースティシャル動画広告、レクタングル広告、ネイティブ広告、スモールバナー広告の利用が可能。井上氏によると、配信できる国は日本をはじめ、韓国、台湾、東南アジアや中東、南アメリカなど、520カ国への配信が可能で、現在もトラフィックの拡大を進めているという。

 入札モデルはWaterfallという1ドル単位で調整できる入札方式、自動的に最適な入札ができるHeader Biddingに対応。サポートをしているメディエーションはMoPubを始め、ironSourceや、Admob Adaptorなど、日本国内で展開されているほとんどのメディエーションでPangleが利用できるようになっている。

 2021年から連携メディエーションでの配信が安定し、iOSでもサポートができるように。急激なトラフィックが伸ばすことができ、iOS14.5が始まった中でも売上を伸ばしている。

 韓国のマーケットもPangleにとって急成長した国のひとつ。2020年より韓国が正式にトラフィックを解放してから、順調にローカルのデベロッパーの連携も進み、現在で約3000万人のユーザーに配信できるまで成長している。

 韓国と同時期にリリースしたマレーシアやベトナムやフィリピンなどのSEAのエリアはリリース当初は売れ行きが大きく伸びなかったという。しかし、iOS14.5のリリース(ユーザーにIDFAの追跡許可を求めることがアプリに義務づけられた影響の問題)から主にUSやEU、日本、韓国にフォーカスを置いていたハイパーカジュアルのゲームディベロッパーがSEAのエリアにもトラフィックの拡大を始めたため、大きく成長することに。

 Pangleはアジア圏で大きく成長してるが、2021年からトラフィックが拡大。APACのエリアではシンガポールやカンボジア、そして南アメリカのエリアではメキシコやブラジル、MENAのエリアではトルコやベラルーシなど新しく配信ができるようになり、現在もさらなる拡大を進めているとのことだ。

 

パズルゲームのシェアが拡大

 続いて、井上氏がPangleのゲーム領域におけるパフォーマンスについて、Pangle内のデータを用いて紹介。現在Pangleでは、ゲーム案件が40%以上を占めており、コアゲームに次いでミッドコアのゲーム、パズルゲームでの案件が増えてきているという。最近ではゲーム以外でもソーシャル関連の案件や、漫画系の案件にもシェアを広げている傾向にあるようだ。

 広告マネタイズとして利用されているアプリジャンルのグラフでは、Pangleの配信先には、ハイパーカジュアルゲームの比率が圧倒的だったが、現在比率が変わり始めてパズルゲームのシェアが非常に拡大している。今ではハイパーカジュアルよりも収益を伸ばしている傾向にあることが分かる。

 アーケードゲームやシミュレーション系のゲームが使用されている比率も上昇傾向にある。漫画を始め、ライフスタイル系のアプリの導入が増加。特に漫画の領域はゲームとの相性が良く、ゲーム案件のさらなるユーザー拡大のために活用されているとのこと。

 Pangleで現在一番多く使われているプラットフォームは、動画リワード広告だという。動画リワード広告はゲームのUIや、世界観を崩すことなく導入できるため、ジャンルを問わず多くのゲームに取り入れられているそうだ。

 現在では、今まで課金でしかマネタイズをしていなかったゲームアプリでも、収益の2つ目の柱として導入されるケースが増えてきており、『モンスターストライク』や『LINE:ディズニーツムツム』といった人気タイトルで動画リワードが利用されているという。

 ユーザーが任意で視聴できるほか、広告効果も非常に高いことから、CPM(広告掲載回数1000回あたりにかかるコストのこと)も高単価で戻すことができ、1回再生辺り3円、CPMでは30ドル近い収益を実現できている。

 ゲームトラフィックでのPangleへのCPMの推移では、iOS14.5の影響を若干受けてはいるが、平均的にはCPMは1再生辺り1円となるCPM10ドル以上を確保できているそうだ。

 次にPangleで使われているフォーマットが、動画インタースティシャル広告。ゲームとゲームの間に出てくる5秒後のスキップが可能な広告で、ハイパーカジュアルゲームで広く使われているフォーマットだ。ハイパーカジュアルゲームは比較的シンプルなデザインで、隙間時間でプレイするなどプレイ時間が少ないため、短期間でのマネタイズが必要となっている。

 動画インタースティシャル広告は動画リワードに比べると再生回数が多いため、どうしてもCPMは劣ってしまうが、フル画面で広告を配信ができるダイナミックさから広告効果が非常に高く、CPMも9~11ドル。1再生辺り約1円前後と高い収益が期待できるという。

 ただし、インタースティシャル広告は配信回数を多くしすぎてしまうと、ユーザーが離れるリスクが高くなってしまうため、配信頻度に注意する必要がある。4分~5分に1回、ステージで言うと3、4ステージに1回ぐらいの頻度を推奨していると井上氏は続けた。

 3番目に利用されているのが、Pangleで2021年初頭にリリースされたバナー広告。静止画のバナー広告はゲームとの相性が悪い印象があるが、ロード中のタイミングや、次へ進むボタンの下などにバナーを設置してマネタイズをするケースが多くあるという。

 動画広告とは違いCPMこそ低いが、広告配信頻度が多くなるため、広告収益の柱として利用されているケースが多く、ジャンルを問わずに多くのゲームディベロッパーに利用されているそうだ。

 ゲームディベロッパーが利用しているメディエーションの比率を見ると、約8割近いゲームディベロッパーが現在MAXや、ironSourceとMopubを使っていることが分かる。特にゲームの領域では元々強かったMopubを始め、MAXや、スーパーソニックと連携してるIronsouceと、ゲームの強い2社が急成長している。

 多くのゲーム会社はこのメディエーション機能を率いて複数のSDKを使い、その中にPangleを入れてアドネットワーク同士で競争させている使い方が現在のトレンドとなっているとのことだ。

 Pangleの入札について、近年前、多くのアドネットワークの会社で1ドル単位で調整を行うWaterfallが主流だったが、現在アドネットワークの会社も自header biddingを推奨され始めているという。Pangleでも同様にBiddingの利用を開始し、年初では約400件ぐらいの導入率だったが、現在4倍の1600以上になっているそうだ。

 Biddingでは、自動的に最適化が行われるため、運用工数がかからないといったところと、全てのトラフィックを買い付けしてくれるので、広告在庫を無駄にしないメリットがある。

 一方、Waterfallは設定について細かく調整ができるため、調子の良いネットワークを高単価で設定しておくことで、高いCPMの買い付けの指示を管理画面で行えるメリットがある。

 そのため、CPMを全体的に底上げすることができるが、高すぎる設定をしてしまったりすると、ネットワークから買えない場合があるため、レートが上がってしまうケースがある。高価格帯や低価格帯まで入札金額を設定する必要がある手間になるところがデメリットとなっている。

 以上のことから、Pangleでは既にWaterfallをしっかり組んでいるアプリに関しては、ままWaterfallの使用を推奨しており、運用工数をかけられないアプリや、運用の部分に工数がかけられない場合などはBiddingなどの配信設定を勧めていると井上氏は説明した。

 Pangleのハイパーカジュアルの売り上げの推移のデータを見ると、iOS14.5が始まった7月以降、収益の減少している事が分かる。しかし、PangleはIDFAに依存していないネットワークとなっており、多くの影響は受けていないそうだ。

 ただし、広告主側はiOS14.5以降マーケティングに対する戦略を見直す必要があるなど、今までのやり方を変える必要があったため、予算を落として様子を見る広告主が増え始めたと井上氏は言う。7月8月は減少傾向となったが、戦略が見直された段階でまた売り上げは戻ってくるといった見通しを立てているそうだ。

 2020年頃から、ハイブリッド型の広告トラフィックは徐々に成長。特にiOS14.5が発表された去年ごろから、今まで課金でしかマネタイズをしていなかったアプリが、別の収益性を確保するために広告導入の検討が始まり、徐々に連携が進んでいるという。

 インディーゲームディベロッパーも徐々にハイパーカジュアルの領域から、長く遊べて課金してもらえることが期待できるゲームアプリへの挑戦が始まり、ハイブリッド型のゲームへの注目が増加してきている。イギリスやEUではハイブリッド型のアプリの開発が主流となっており、井上氏は「この流れはアジアでも広がって行くのではないか」と推測している。

 続いて井上氏は、パズルゲームを得意とする日本のゲームディベロッパー「translimit」の事例を紹介。translimitは『Puzzrama(パズラマ)』というゲームアプリを2019年にリリースし、iOSのランキングではトップ5、累計のダウンロード数が6500万DLを記録した大ヒットアプリを作った開発会社。

 『Puzzrama』の広告フォーマット別の収益率は、インタースティシャル動画広告は3割に対してリワード動画広告が1割と、インタースティシャル動画広告からの収益が多い。ただし、インタースティシャル動画広告を入れるとはリテンションレートが下がってしまうので、translimitは広告の配信頻度の調整を行って対処しているという。

 たとえば、USやEU圏では広告を見る文化が浸透しているため、配信頻度を短く設定し、逆に日本や韓国などでは広告に対する反応が過敏なマーケットなどでは、広告の頻度を長めの設定となっている。

 translimitではこういった施策を行い、『Puzzrama』では課金よりも広告からの収益が伸び始め、2つの収益の柱を持って運用して、利益の一部を広告出稿に回し、売上を伸ばすことに成功。Pangleの活用により、約10%以上の売り上げの改善ができたとのことだ。

 

Pangleにおけるユーザー獲得手法

 続いて、小野氏がユーザー獲得におけるPangleを使用するメリットについて、以下の4つに分けて紹介した。

①迅速な初動と豊富なトラフィック

 豊富なトラフィックにより、初動からボリュームを担保し、広告配信が可能に。国内8000万DAUというトラフィックを活かし、ゲームアプリローンチを始めとして、AppStoreやGoogleplayでも迅速にユーザー獲得ができる。

 ゲームや漫画を始め、多くのアプリディベロッパーと接続することができ、ゲームアプリを始め、ゲーム広告主にとっても、高い広告効果を出すことができている。

 クリエイティブに関しては、最後まで視聴されるリワード動画広告を始め、コンテンツに自然に馴染むネイティブ広告などもサポートしており、縦・横・スクエアの動画や画像素材で広告配信が可能となっている。

②豊富なフォーマットと製作ツール

 フルスクリーンによる没入感のあるリワード動画広告や、インタースティシャル広告の在庫が豊富にあり、クリエイティブ制作ツールも充実している。

 Pangleでは広告主が自由に直感的な操作でプレイアブル広告を制作できるインタラクティブビデオツールを2021年初頭にリリース。画像や動画素材をアップロードし、組み合わせることでユーザーにタップやスワイプをしてもらうなど設定し、簡単にプレイアブル広告を作ることができる。

 アプリストアへの遷移もワンタップで設定ができ、エンジニアによる開発は一切不要でプレイアブル広告を制作することが可能となっている。

③最適化と入札機能

 AEO(アプリイベント最適化)を活用し、課金などのアプリイベントを最適化。最小単価入札を利用することで、広告主は入札単価の設定が不要で、システムが設定された予算を最大限消化しつつ、最小のユーザー獲得コストでユーザーが獲得できる。

 入札に関して小野氏は、最小単価入札の利用を推奨。多くの配信面と接続しているため、オークションの環境は日々変化。入札を手動で設定することなく、システムが自動で入札を行うことで、時々に最適なオークションを行い、広告主の負担を軽減することができるとのことだ。

 最小単価入札では、設定された予算を最大限に活用し、最小のコスト、CPIでユーザー獲得を行う。厳格なCPIやCPAの目標がある際には、入札単価を設定できる目標成果単価上限を利用できるように。

 ユーザー課金型マネタイズモデルの広告主の場合は、チュートリアル突破やゲームのレベル達成など、ユーザー課金に繋がりやすいイベントの最適化や、ユーザー課金の直接的な最適化ができるようになっている。

 広告収益型マネタイズ広告主の場合は、獲得したユーザーが定着することが収益拡大に繋がるため、継続する可能性の高いユーザーの最適化を行うことができる。インストールの目標単価と翌日継続率の目標の両方を設定する方法を小野氏は推奨している。

 AEOでは、広告主の目的に応じて自動最適化と直接最適化といった、2種類の入札方法が選択できる。自動最適化は通常のインストールの配信と同じで、目標のインストール単価のみを設定する。

 システムは設定されたインストール目標単価を守りつつも、選択されたイベントでは可能性の高いユーザーに最適化し、課金率の向上などアプリイベントの発生率の向上を図ることができるとのこと。

 そのため、インストール単価の目標を守りつつも、できるだけのアプリイベントの効果を高めたい広告主に推奨しているという。運用の難易度も、通常のインストール最適の配信と同様で、多くのゲーム広告主に活用されているそうだ。

 直接最適化はその名の通り、指定したアプリイベントの目標単価を設定し、直接最適化ができる。たとえば、1ユーザー課金5000円と入札した場合は、目標の課金のCPAは5000円。システムは5000円で1ユーザー課金を得られるよう最適化して配信するが、インストール単価は考慮しない。そのため、ROASや課金などのアプリイベントの目標のみがある広告主に推奨されているとのことだ。

④iOS14.5における変化への対応

 iOS14.5のアップデートに伴い、IDFA(広告ID)の取得が制限されるなど、広告の計測が最適化に大きな影響があったが、PangleではiOS14.5以上のユーザーに広告配信、継続、最適化にも対応。SKAdNetworkのコンバージョン値をコストバックすることで、iOS14専用キャンペーンでもAEOを利用していたことができるようになっている。

 また、Pangleでは、ゲーム業界のソリューションとして大きくハードコア系のゲームと、カジュアル系のゲームに分類し、それぞれに最適なプロダクトの組み合わせを提案している。

 クリエイティブリープレイアブル広告を用意し、最小単価入札でのボリュームの獲得、そしてAEOによりユーザー課金の最適化を行うことを推奨しているとのことだ。

 広告マネタイズ型モデルのカジュアルゲーム系の広告主に関しては、低いCPIと高い継続率をKPIとすることが多い。ハードコア系と同様にプレイアブル広告を用いて、最小単価入札での低CPIとボリューム獲得、そしてAEOで継続率の最適化を勧めていると小野氏は続けた。

 カジュアル系のゲーム広告主は既にプレイアブル広告を自社で持っている場合や、他社媒体で利用しているケースもある。そこでPangleでは、アダクションツールという変換ツールを提供。Pangleの使用のために開発し直す必要がなく、そのままプレイアブル広告が再利用できるようになっているとのことだ。

 TikTok for Businessの一部として、アジアを中心に大きく成長を続けているPangle。小野氏によると、今後も多くの機能が追加されていく予定があるとのこと。ゲームアプリについてマネタイズを検討されている方は、Pangleまで問い合わせてみてはいかがだろうか。

Pangle公式HP:https://www.pangleglobal.com/jp

 

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島中 一郎(Ichiro Shimanaka)https://www.foriio.com/16shimanaka
ライター。ゲーム・アニメ業界を中心にニュース記事の執筆、インタビュー、セミナー取材などマルチに担当。ボードゲームが趣味であり、作品のレビューや体験会のレポートを手掛けるほか、私生活で会を催すことも。無類のホラー好き。

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