アメリカの調査会社SensorTowerは、同社のブログにおいて、終末期をテーマにしたジャンルのタイトルが2021年上半期、全世界合計で11億4,000万ドル(約1,259億円)の売上を記録したことを発表した。なお、本記事の数字は同社の推計によるものである。
近年、グローバルにおいていわゆる“終末モノ”であるポストアポカリプス系のタイトルが数多くリリースされ、市場での人気は大幅に上昇中。日本においても『Age of Z』や『パズル&サバイバル』を筆頭に、終末を描いたストラテジー作品がセールスランキングの上位に位置している。
中でも、最も売上の割合が高かったタイトルは『State of Survival(ステート・オブ・サバイバル)』で、全世界のApp StoreおよびGoogle Playにおける2021年上半期の推定売上高が4億ドル(約441億円)に上った。
『ステート・オブ・サバイバル』は4Xストラテジーのコンテンツがメインとなり、ゾンビ系海外ドラマさながらのストーリーを採用し、ほかにはタワーディフェンス要素も楽しめる。サービスを提供する国や地域に合わせたローカライズにも力を入れており、2021年8月26日にリリースされたばかりの日本でも、専用のストーリーが用意されている。
同ジャンルにおける最大の市場はアメリカであり、2021年上半期の売上高は4億2,000万ドル(約464億円)に達し、全世界の売上高の36.6%を占めた。
これは、2019年上半期の1億1,000万ドルと比較して286%増加した数値。 続く日本市場の売上高は1億4,000万ドル(約155億円)で全世界の12.3%を占め、2年間で378%の増加となった。 また、ドイツ、イギリス、フランスに代表される欧米市場では、すべてのタイトルの売上が200%以上の伸びを示している。
ゾンビ系作品の文化は主にアメリカで形成されただけに、現地で絶大な人気を誇っているのがわかる。しかしながら、売上の上位にランクインしているスマホ向けタイトルの多くが中国で誕生した作品であることは興味深い。
また、SensorTowerのデータによると、直近の2年でゾンビ系を含む終末モノの売上は、2019年上半期の4億3,000万ドル(約475億円)から今年上半期の11億4,000万ドルへと、2年間で167%の成長幅があったようだ。逆に、アメコミや日本の漫画を原作とする「スーパーヒーロー」系のジャンルは伸び悩んでいる。
長年にわたる映画やテレビドラマの影響で絶大な人気を得たゾンビ系タイトルは、ジャンル自体には著作権がないことから、自由に作品を開発できる点で重宝されているのだろう。ちなみに『ステート・オブ・サバイバル』では現在、ゾンビ人気の加速に影響を及ぼした最たる例であろう海外ドラマ「ウォーキング・デッド」とのコラボを行っている。
なお、アメコミや日本の漫画を原作とするIPタイトル群が伸び悩んでいる理由に関してSensorTowerは「作品自体の人気は絶大な反面、権利的な問題によるゲーム開発への制約も多いから」と分析。同ジャンルはこの2年間で全体で12%しか伸びておらず、ほかの主流ジャンルに遅れをとっている。
スマホゲームの市場において、いわば“鉱脈”のような存在になっている終末系サバイバル。今後も続々とヒットタイトルが生まれるかもしれない。