『東方ダンマクカグラ』分析。原作ファンと新規を取り込む攻めの姿勢を貫きリリース早々100万DL達成

 スマートフォン向けアプリゲームの日々の運用とその効果を調査し、ゲーム関連企業へ様々データを提供するSp!cemart(スパイスマート)。世界各国のゲーム事業者に利用されている同社のサービス「LIVEOPSIS (ライブオプシス)」では、ランキング推移とゲーム内施策を一覧で閲覧できる「イベントカレンダー」やTwitterトレンド情報、毎月発行の調査レポートなどが提供されている。
 
 本稿では、2021年8月4日よりリリースされたスマートフォン向けゲームアプリ『東方ダンマクカグラ』の運用施策を分析し、紹介していく。

 

「東方Project」人気キャラクター、
楽曲の魅力がたっぷりと詰まったリズムゲーム

 開発をアンノウンXが、発売をDeNAが担当するスマートフォン向けリズムゲーム『東方ダンマクカグラ』。プレイヤーは本作の舞台である「幻想郷」の復興を手助けする“救世主”のような立場となり、必要なエネルギーを収集する“ダンマクカグラ”に努めることになる。

 リズムパートは、7ラインに上から流れてくるノーツのタイミングに合わせて、タップ・スライド・長押し操作をしていく形式で展開。ボタンを押すとBGMに重なるようにタンバリンのような音が発生するため(SEは3種類の中から変更可能)、音楽を自身の手で演奏しているというよりは、楽曲を盛り上げているような楽しみが味わえる作品となっている。

 東方ゲームらしさを演出するためか、ライン中央では楽曲のイメージキャラクターが常に“ゆらゆら”している(踊っているわけではない)ほか、曲の終盤ではキャラが弾幕を放つようなエフェクトが用意されている。

 キャラのレイヤーはノーツより下に設定されているため、若干気にはなりつつも、ゲームプレイの邪魔になっているというわけではない。設定でキャラクターの動きをオフにしたり背景を暗くすることはできるが、キャラの表示自体をオフにする設定は用意されていないようだ。

▲弾幕の演出がどうしても気になるという方は、エフェクトをオフにすることが可能だ。
▲画像左がディマー(光源)0、右がディマー100の設定。暗くするほどノーツが見やすい印象。
▲弾幕を避けながらボスを攻撃する、STG風のステージも用意されている。

 プレイ時には東方キャラクターのイラストが描かれた「ミタマカード」を5枚セットして、選択した楽曲に挑戦する。ミタマカードにはそれぞれスコアをアップさせたりライフを回復させたりと、ゲームを有利に進める様々な効果を持つ。クリア後に獲得できる経験値や素材を利用してミタマカードを強化するといった、育成要素も用意されている。

 楽曲は、かつてニコニコ動画で大流行した「チルノのパーフェストさんすう教室」や「Bad Apple!! feat.nomico」「ナイト・オブ・ナイツ」といった人気曲が多数収録されている。

 東方Projectは過去にも音楽アーケードゲーム「BEMANI」シリーズとコラボしたこともあり、音ゲーマーにとっては「明星ロケット」、「月に叢雲華に風」などは懐かしいラインナップになっているのではないだろうか。

 さらには、2019年12月31日のコミックマーケット97で頒布された「HANIPAGANDA」といった比較的新しめの楽曲や、東方Projectの原作者であるZUN氏が手掛けた「幽霊楽団 ~ Phantom Ensemble」原曲など、9月7日現在では全部で31曲が収録されている(収録楽曲一覧はこちら)。プレイ可能な楽曲については、今後も随時追加されていくとのことだ。

 また、2Dに可愛くデフォルメされたキャラクターたちがくつろいでいる様子を確認できる「ハコニワ」というモードも用意されている。マップ上を霊夢や魔理沙たちがちょこまかと動き回るほか、嬉しそうに笑顔を見せたり何かにショックを受けたりと様々な表情を見せてくれるなど、癒したっぷりな要素となっている。

 

東方キャラクターや楽曲を紹介する数々の動画を配信

 ここからは、本作の事前登録以前のキャンペーンや、リリース後の運用施策について紹介していこう。

【トピック】

2021年1月29日:事前登録を開始、事前登録者数10万人を突破
2021年2月2日:事前登録者数15万人を突破
2021年2月5日:事前登録者数20万人を突破
2021年5月18日:事前登録者数が30万人を突破
2021年7月13日:事前登録者数が50万人を突破
2021年7月16日:アプリストアの予約を開始、リリース日を発表
2021年7月26日:事前登録者数が80万人を突破
2021年7月30日:事前登録者数が100万人を突破
2021年8月4日:リリースを開始、Twitterトレンド1位を獲得
2021年8月5日:100万ダウンロードを突破
2021年8月10日:200万ダウンロードを突破
2021年8月13日:300万ダウンロードを突破、TVCMが放送開始
2021年8月20日:400万ダウンロードを突破

 本作の事前登録は1月29日に開始。同日にはZUN氏や人気声優の上坂すみれさん、お笑い芸人「マヂカルラブリー」の野田クリスタルさん、歌手のビートまりおさんらが出演する生放送番組を配信するほか、Twitter上で1週間に渡り10,000円のAmazonギフト券を抽選でプレゼントするキャンペーンを行うなど、力の入ったプロモーションを展開。

 その結果、同日に事前登録者数15万人を突破する快挙を見せる。

https://www.youtube.com/watch?v=cEdZjRzhOyE

 2021年2月2日には15万人、2月5日には20万人とその後も順調に事前登録者数を伸ばし続け、7月30日には100万人を突破。

 8月4日のリリース開始日には、サークルによるライブや作品の最新情報を公開する生放送番組を配信。Twitterトレンドで1位を獲得するなど大きな注目を集め、リリース開始からなんと24時間以内に100万ダウンロードを達成した。

https://www.youtube.com/watch?v=8lHqU2c_fP8&t=2s

 同月10日には200万ダウンロード、13日には300万ダウンロードを突破し、20日には400万ダウンロードを達成している。リリースを記念して、新宿駅、秋葉原駅、東京メトロ池袋駅、東急電鉄渋谷駅に駅広告を実施。特にJR新宿駅構内のロングサイネージは圧巻で、ファンからの大きな話題を呼んでいた。

 リリース前には、原作ファンだけでなく、新規ユーザーも取り込もうという施策も多く行われていた。3月20日には、東方Project第6弾『東方紅魔郷』から東方Project第17弾『東方鬼形獣』までに登場するキャラクターを紹介する動画を配信。Twitter上ではキャラクターの相関図を公開している。

 5月10日より、『東方ダンマクカグラ』に登場するキャラクターを実装楽曲にのせて紹介する「キャラ紹介オムニバス」が配信開始。7月16日からは『ポプテピピック』で知られる大川ぶくぶさんのスペシャルコラボ漫画が1か月に渡って連載された。

 キャラクターだけでなく、楽曲の紹介についても、もちろん行われている。8月3日には、東方Project原曲をアレンジした「東方アレンジ楽曲」について解説を行う動画を配信。サークルによるライブなどを収録した「東方ダンマク祭」が複数回に渡って配信された。

 

ゲームプレイを加速させるお得な
サブスクリプションサービスを展開

 本作のマネタイズは、主に有償御霊石の販売となっている。

 有償御霊石はミタマカードが排出されるガチャや、ゲームのコンティニューなどに必要なアイテム。イベントなどで手に入る無償御霊石と異なり、有償御霊石は高レアリティのミタマカードが必ず入手できるといった、特別なガチャを利用するのに必要だ。

 個数に応じてA~Fの6つのセットが用意されているほか、毎月5つまでの購入が可能な、お得なパックの販売が行われている。

【御霊石のラインナップ】

・御霊石セットA(有償御霊石×120):120円
・御霊石セットB(有償御霊石×490):490円
・御霊石セットC(有償御霊石×980):980円
・御霊石セットD(有償御霊石×2940):2,940円
・御霊石セットE(有償御霊石×4900):4,900円
・御霊石セットF(有償御霊石×10000):10,000円
・御霊石セットパック(有償御霊石×2940+無償御霊石×588):2,940円

 有償御霊石に様々なオマケがついた、お得なセット商品のラインナップもある。オマケはガチャに必要なアイテムをはじめ、キャラクター強化やレベルキャップの解放、限界突破に必要な素材など、様々な内容が用意されている。

 また、本作にはゲームの進行具合に応じた様々な報酬が獲得できる「カグラパス」という制度があり、この報酬をグレードアップさせる「ゴールドカグラパス」、「プラチナカグラパス」といった商品も用意されている。どちらの商品も購入時に大量の有償御霊石がプレゼントされるため、上記の「御霊石セット」を購入するよりは、断然お得な内容となっている。

 月額380円で、毎日無償御霊石が10個と、ゲームを即時にクリアできる「スキップチケット」がプレゼントされるというお得なサブスクリプションも用意されている。スタミナ回復時間の短縮するといった特典があるほか、有償御霊石、キャラの限界突破に必要な素材なども一緒に手に入るため、ゲームを有利に進めることが可能だ。

 アップデートで新たな楽曲やキャラクターが追加されていくこともあり、末永く楽しめるリズムゲームになってくれそうな『東方ダンマクカグラ』。ライブイベントや解説動画の配信、人気漫画家とのコラボなど様々なプロモーションを行ってきた本作なだけに、今後はどのような施策が行われるのか、楽しみにしたいところだ。

 

 

(C)上海アリス幻樂団
(C)アンノウンX/AQUASTYLE・DeNA・xeen inspired by 東方Project

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Spicemarthttps://liveopsis.com/
モバイルゲームアプリを専門とする分析会社。モバイルゲーム内運用に関する調査・分析を行うリサーチ事業とコンサルティング事業を展開して、「LIVEOPSIS(ライブオプシス)」というサービス名称で各種ソリューションを提供。サービスに関するお問い合わせは info@spicemart.jp まで。

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