『Pikmin Bloom』分析。高まる“ピクミン愛”がプレイヤーをウォーキングへと向かわせる

 スマートフォン向けアプリゲームの日々の運用とその効果を調査し、ゲーム関連企業へ様々データを提供するSp!cemart(スパイスマート)。世界各国のゲーム事業者に利用されている同社のサービス「LIVEOPSIS (ライブオプシス)」では、ランキング推移とゲーム内施策を一覧で閲覧できる「イベントカレンダー」やTwitterトレンド情報、毎月発行の調査レポートなどが提供されている。
 
 本稿では、2021年11月1日より日本で配信開始となった『Pikmin Bloom』(開発・配信:Niantic)の運用施策を分析し、紹介していく。

 

ピクミンと触れ合う癒しと健康アプリとしての役割を両立

 オーストラリア、シンガポールに続き、日本でも2021年11月1日より配信が開始となった『Pikmin Bloom(ピクミン ブルーム)』。本作は、『Ingress』や『ポケモンGO』で知られるナイアンティックと任天堂が共同開発した位置情報ゲームだ。

 ピクミンと呼ばれる小さな生き物の苗を歩いて成長させたり、ピクミンの花びらを集めて花植えをしたりすることが、ゲームの主な目的となる。前述した位置情報ゲーム『ポケモンGO』や『ドラゴンクエストウォーク』と異なりバトル要素がなく、スローライフな楽しみを重視している点が特徴的なタイトルだ。

 プレイヤーの分身となるキャラクターは、任天堂のアバターである「Mii」によって作成。二ンテンドーアカウントと連携して、オリジナルのMiiをゲーム内で利用することも可能だ。

 メニュー画面ではピクミンとMiiが並ぶように設定がされているため、ピクミンの小ささが視覚的に分かりやすい。小さい体を一生懸命動かしてMiiの後ろを付いていこうという健気な姿も相まって、ゲームをプレイするほどにピクミンへの愛着が湧き上がってくる。

 そうして高まった“ピクミン愛”が、ピクミンをもっとお世話したいという欲に繋がり、日々のウォーキングへと気持ち良く意識を向かわせてくれている。基本的には日々歩くだけで良いというゲームの手軽さ、シンプルさもあり、プレイヤーの生活スタイルに上手く溶け込むことに成功した作品だと言えるだろう。

 ゲーム開始時からの歩数やピクミンを育てた数など、様々な要素によってレベルが上昇。レベルに応じて一緒に連れて歩けるピクミンの数が増えたり、特殊なピクミンが育成できるようになったりと、ゲームがさらに効率的に進行できるような仕組みがアンロックされていく。

 ピクミンがアイテムを拾ってきてくれる「おつかい」や、巨大なキノコに立ち向かう「チャレンジ」などはピクミンの数・種類を必要としているため、ピクミンを育てるモチベーションにも上手く繋がっている。

 そのほか、歩数だけでなくその日のルートや写真などを記録として残す「ライフログ」機能もあり、デジタルな日記帳としての役割も担う。ピクミンと触れ合う癒し要素と、健康アプリとしての役割を見事に両立させており、歩くという人間にとって当たり前の動作に、特別な価値を与えてくれている。

 

コミュニティデイ開催でゲームプレイを盛り上げる

 『ピクミン ブルーム』は10月27日にトレーラーの公開と共にオーストラリアとシンガポールでの配信が開始されたため、事前登録キャンペーンなどの施策は特に行われなかった。合計ダウンロード数などの発表も行われていないが、レビュー数はApp Storeでは7,162件、Google Playでは15,180件と多い。評価はそれぞれ3.9点を記録している(5点満点中)。

 トレーラー公開の2日後には、『ピクミン ブルーム』の遊び方を紹介する映像をYouTubeにて公開。「歩いて増やす、歩いて咲かせる、歩いてのこす。」をキャッチフレーズに、Miiがピクミンたちと一緒にフィールドを歩いている様子や、ライフログ機能についての説明が行われていた。

 11月1日に日本での配信を開始。13日にはコミュニティデイを開催し、ピクミンの成長が1.5倍に早まるほか、アイテムの獲得量が大幅アップするキャンペーンを実施し、ゲームプレイを一気に盛り上げていく。

 そのほか、Twitterでは赤ピクミンや青ピクミンといった種類についての紹介や、ピクミンの育て方に関するアドバイスを投稿。ARカメラを利用したピクミンの撮影写真など、作品の魅力を伝える工夫が盛り込まれていた。

 

期間限定パックでピクミン育成をさらに効率化

 本作はゲーム内通貨であるコインを購入することで、様々な恩恵を受けられるようになっている。コインは期間限定のパックやそれぞれのアイテムの購入に必要。また、所有できるエキスや花びら、苗、ピクミンの上限を解放するアップグレードが各250円で販売されている。

【コインのラインナップ】

・コイン100枚:120円<単価:1.2円/割引率0.0%>
・コイン550枚:610円<単価:1.1円/割引率8.3%>
・コイン1200枚:1,220円<単価:1円/割引率16.7%>
・コイン2500枚:2,440円<単価:0.97円/割引率19.2%>
・コイン5200枚:4,900円<単価:0.94円/割引率21.7%>
・コイン14500枚:12,900円<単価:0.89円/割引率25.8%>

 コインはゲーム内でも入手できるようになってはいるが、その確率は非常に低い。基本的には購入に頼る形になるだろう。

【期間限定】

フラワーパック:必要コイン480枚(576円※)
スペシャルパック:必要コイン780枚(936円)
ブルームパック:必要コイン1480枚(1776円)

※1コインを1.2円としたときの値段。コインをまとめ買いすることで、もっとお得にパックを購入することができる。

 フラワーパックは青色・赤色・黄色の花びらが各それぞれ100枚ずつと、スペシャルエキスが2個のセット。それぞれの花びらはピクミンが誕生する苗の育成に役立つため、ピクミンの成長に効率を求めるプレイヤーが興味を抱きやすい内容だ。

 スペシャルパックはピクミンを生むための追加スロットと、アイテムを探すための探知機、スペシャルエキスが付いている。ブルームパックには赤色・黄色。青色パンジーの花びらがそれぞれ200枚ずつ封入。ピクミンの育成を早めるスペシャルスロットが数多く封入されている。

 スロットを購入することで一度に育てられる苗の数が増えるため、育成効率を重視するプレイヤーにとっては欠かせないアイテムだと言えるだろう。

【アイテム】

エキス100個:必要コイン100枚
追加スロット:必要コイン150枚
追加スロット5個:必要コイン450枚
白色の花びら180枚:必要コイン50枚
スペシャルスロット:必要コイン200枚
スペシャルスロット5個:必要コイン600枚
青色の花びら180枚:必要コイン200枚
赤色の花びら180枚:必要コイン180枚
黄色の花びら180枚:必要コイン150枚

【アップグレード】

エキスの上限:250円
花びらの上限:250円
ピクミンの上限:250円
苗の上限:250円

 所有できる上限以上のエキスや花びら、ピクミン、苗を手に入れた際は、破棄する必要が生じてしまう。成長アイテムをある程度ストックするためには、ピッタリなアップグレードとなっている。

 『ピクミン ブルーム』は、12月18日(土)に第2回となるコミュニティ・デイを実施。ピクミンの苗が育つスピードが1.5倍になるほか、当日に1万歩を達成したユーザーにゲーム内で特別なバッジをプレゼントするなど、特別感が味わえるイベントでゲームを盛り上げてくれた。今後のコミュニティ・デイやイベントについても、期待が高まるところだ。

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モバイルゲームアプリを専門とする分析会社。モバイルゲーム内運用に関する調査・分析を行うリサーチ事業とコンサルティング事業を展開して、「LIVEOPSIS(ライブオプシス)」というサービス名称で各種ソリューションを提供。サービスに関するお問い合わせは info@spicemart.jp まで。

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