21年11月、海外進出に成功した中国のモバイルゲームTOP30。『PUBG Mobile』はトルコが最も収益性の高い市場に

▲画像はSensor Tower「2021年11月成功出海的中国手游TOP30 – 多家厂商携新品发力海外市场,土耳其成为竞技手游增长极
」より

 アメリカの調査会社Sensor Towerは同社のブログにおいて、2021年11月の海外進出に成功した中国のモバイルゲームTOP30を公開した。なお、本記事の数字は同社の推計によるものである。また、ここでの海外とは、中国を除く世界市場のことを指す。

 ランキングはセールス・売上成長率・ダウンロードの3軸で紹介。

 

セールスランキング

 Sensor Towerによると、中国産モバイルゲームの世界市場におけるセールスランキングは以下の通り。

 miHoYoの『原神』は11月上旬、限定★5キャラクター「雪晴梅香・胡桃(炎)」などの人気キャラクターが登場するガチャイベントが開催されたことに加え、月末のVer.2.3アップデートにより、海外売上高は前年同期比60.5%増となり、海外モバイルゲーム売上高チャートのトップに返り咲いた。

 中国を含めた世界市場のセールスランキングでは『PUBG Mobile』が首位になっていることを考えると、『原神』の海外人気の強さがわかる結果となった。

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 日本でも、11月2日や11月24日にガチャ更新が行われると、その度にセールスランキングで首位を獲得していた。

▲画像はアプリ分析ツール「LIVEOPSIS」より

 

 テンセントの『PUBG Mobile』については、トルコからの売上割合が21.8%に達し、初めてアメリカを抜いて最高収益を上げた。トルコ市場では、モバイルゲーム総売上の内33.6%を『PUBG Mobile』が占めた形。

 同作においてトルコは、2020年1月時点で日本やサウジアラビアを抜き2番目の市場となっていたが(該当記事)、今月ついにアメリカを超える市場となった。

 トルコのモバイルゲーム市場は2020年に入ってから急速に収益を伸ばしており、今年11月にはApp StoreとGoogle Playの合計が5,500万ドル(約62.5億円)を超え2019年同期の2.5倍となり、ブラジルとチリを合わせた収益に匹敵するほどに成長している。

 Sensor Towerは比較対象として、東南アジアと中南米のモバイルゲーム市場が過去2年間でそれぞれ50.5%と27.6%増加していることを挙げている。このことからもトルコの急速な成長がうかがえる。また、同社はこの成長について「『PUBG Mobile』、Garenaの『Garena Free Fire』、Moontonの『Mobile Legends』に代表されるモバイルゲームが、この新興市場の発端であることは間違いない。」と分析。

 ゲーム内では期間中、『League of Legends』の初アニメーション作品「ARCANE」とのコラボイベントを開催。

   

 Moonton(沐瞳科技)の『Mobile Legends』(无尽对决)は、中国では定番となっている11月11日の「ダブルイレブン」にちなんだプロモーションを展開。

 結果、11月の売上が前年同月比21.6%増となり、7位に浮上。上位3市場は、フィリピン、アメリカ、トルコで、それぞれ15.3%、13.8%、12.3%を占めた。なお、1年前のトルコ市場からの売上は3%程度だったことから、ここでもその成長ぶりが見て取れる。

 そのほか、Mobile Legendsの世界観を活用した放置ゲー『Mobile Legends: Adventure』(日本では『アカシッククロニクル』として展開)は、韓国市場からの収益拡大により、ランキング24 位に初登場。

    

売上成長率

 売上高成長率では、前述の『原神』、『Mobile Legends』に、海外市場への進出を図るメーカーが続いた。

 11月には、『アーチャー伝説』(弓箭传说)のHABBYがスピンオフとして『ポンボール』をリリース。売上高の成長率で4位を獲得した。同作は、収集した装備やスキルを組み合わせていくローグライト風な要素とRPG的な育成システムに、ピンボールアクションを取り入れたカジュアルゲーム。コンボやスキルによって敵を一掃する爽快感が売りとなっており、好評を集めているタイトルだ。

 また、ライトニングゲームス(雷霆遊戯)の放置系RPG『一念逍遥』が10月中旬に中国、香港、マカオ、台湾、マレーシア、シンガポールで配信を開始して以来順調に収益を伸ばし、今期7位にランクイン。

 Sensor Tower 曰く、12月現在の台湾ではApp StoreのセールスランキングでTOP5、香港ではTOP10に何度もランクインし、ジャンル的に競合するタイトルが多い中でもユニークなテーマとゲーム性で際立っているという。

 IGGが9月に欧米でリリースした『神域 (Mythic Heroes)』も、期間中の収益が138%と急増し、今期10位という好調なスタートを切った。日本や韓国ではまだリリースされていないタイトルのため、今後さらに伸びるかもしれない注目作となっている。

 なお、IGGは同作の好調により中国国内のメーカーランキングで10位まで浮上している。

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 中国のタイトルが海外でリリースされてから成長率ランキング入りした例は多く、bilibiliの『アーテリーギア』(机动战姬)やRastar Gamesの『パニリヤ・ザ・リバイバル』、Yoastar の『复苏的魔女』などが急成長を遂げている。

 『パニリヤ・ザ・リバイバル』では日本のユーザー向きのコラボイベントなども開催され、現地に適したローカライズが成長を支えていると考えられる。

   

ダウンロード

 11月のダウンロードランキングでは、『PUBG Mobile』が1,270万DLを超え首位を獲得。2位はフリック操作でゴールを狙うカジュアルなサッカーゲーム『サッカースーパースター』(Soccer Super Star)で、780万DLを記録した。

 そのほか初登場のタイトルとして、ハイパーカジュアルゲーム『Makeup Master』(日本では非サポート)がランクインした。

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森口 拓海(Takumi Moriguchi)
森口 拓海(Takumi Moriguchi)
雑誌やWEBメディアを中心に記事を執筆。ゲームは雑食で多様なジャンルを好み、業務の延長でアプリ分析も得意。恩のあるゲーム業界に貢献すべく日々情報を発信。

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