セガサミーホールディングスが公開した2022年3月期経営会議の公開資料によると、「龍が如く」シリーズのPC版における累計販売本数が280万本を突破していることが明らかになった。なお「統合レポート2021」によれば、全機種合計の累計販売本数は約1,700万となっている。
同社は2021年5月、新たな中長期的な戦略としてグローバル展開を意識した方針を掲げ、「ソニック」を始めとした主力IPをグローバルブランドとして成長させる取り組みを行ってきた。
その中で「龍が如く」においては、グローバル、マルチプラットフォーム、マルチ言語展開を段階的に進めることでタッチポイントを増やしてきたという。
実際、海外で「Yakuza」として知られている同シリーズは、2019年3月期からSteam等のPC版が続々と登場。グローバルかつ家庭用以外のプラットフォームにも対応してきた。
また、2017年からは過去のIPを活用しリメイクやリマスター版の展開を始め、2020年からはXbox Game Passのようなサブスクリプションサービスにも対応。段階的に、新規ユーザーにも届きやすい環境を作り上げていた。
さらに、同じエンジンを使用した「JUDGMENT」シリーズについては、1作目の『JUDGE EYES:死神の遺言』が国内版先行発売となったものの、次作である『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』ではグローバル同時発売。結果、欧米地域での販売の初速は前作比+76%となった。
この事例からは、グローバル同時発売が海外ユーザーの機会損失を防ぐ上で重要な要素だということがうかがえる。
現在、「JUDGMENT」シリーズに関してはPCに展開していない。だが、「龍が如く」シリーズとベースとなるものが同じでも“極道”から “探偵” というモチーフの変更や、時代劇の世界観を取り込んだ『龍が如く 維新!』といったスピンオフタイトルを出すことで、IPとしての多様さを創出。
一方、“極道” を描き続ける「龍が如く」に関しても、最新作の『龍が如く7 光と闇の行方』では、従来のアクションからRPGへとゲームシステムを刷新するなど、大胆な変化が行われている。
資料の中で、同シリーズは17年3月期から22年3月期まででCAGRが17%上昇していると明かされており、上記のような複数軸でのアプローチがIPの成長を支えているものと見られる。