アメリカの調査会社Sensor Towerによると、「TikTok」などを運営するByteDanceのモバイルゲームポートフォリオが、過去1年間にApp StoreとGoogle Playを通じて1億3900万ダウンロードを記録し、10億ドル(約1,352億円)以上の消費を生み出したことが明らかになった。なお、本記事の数字は同社の推計となる。
ByteDanceの代表的な動画投稿型SNSアプリ「TikTok」は、これまでに37億近くのダウンロードを記録し、54億ドル(約7,299億円)の収益をあげている。
同社はこの2年間で事業の多角化、およびTencentやNetEaseなど業界大手に対抗するため、モバイルゲーム事業に進出。OhayooやNuverseなどの子会社を設立。
日本で『フィギュアストーリー』の配信なども行うNuverseは現在、中国で東映アニメーションのアニメ「ONE PIECE」(ワンピース)のライセンスを受けた3Dインタラクティブアドベンチャーゲーム『One Piece: The Dream Pointer』(航海王:梦想指针)を発表。同作のパブリッシングを行う予定(関連記事)。
また、ByteDanceは『モバイル·レジェンド: Bang Bang』の開発会社Moontonや『放置少女』のC4 Connectなど、ゲームスタジオの買収も行っている。
中でもMOBAの『モバイル·レジェンド: Bang Bang』は、ByteDanceのポートフォリオの中で最も成功したタイトルで、過去1年間で7800万DLを達成し、ポートフォリオ全体のうち約56%を占めた。DL数の2位は『ラグナロクオンライン』のIPを活用したスマホMMORPG『ラグナロクX:ネクストジェネレーション』、3位はかわいいビジュアルのスネークゲーム『Sweet Crossing: Snake.io』。
加えて『モバイル·レジェンド: Bang Bang』は過去1年間で3億1,770万ドル(約428億円)を売り上げ、同社で最も収益性の高いタイトルとなった。
ByteDanceのモバイルゲームにおける主要な市場はインドネシアで、過去1年間、全体に対するDL数の割合が約25%を占めた。『モバイル·レジェンド: Bang Bang』は同地域のモバイルゲームDL数で2位を獲得。DL数の上位は中国が2位(App Store単体の数値)、フィリピンが3位で続いた。
また、消費額で最大の市場は日本となり、総収入の約34%を占めた。これは主に放置系RPGの『放置少女』が牽引したもの。同タイトルは昨年度の日本におけるモバイルゲームのセールスランキングで10位を獲得している。なお中国が2番目に大きい市場となり、米国が3位となる。
Sensor Towerは「MoontonとC4 Connectの買収は、ByteDanceのゲーム事業にとって特に大きな変化をもたらし、適切なゲームとパートナーを見つけることが非常に有益であることを証明した。しかし、M&Aはコストがかかるものでもある。」とし、今後のポートフォリオの構築や、中国国内での規制への対応などの課題があるとまとめた。