2021年のモバイルゲーム、売上上位タイトルの半数がバトルパス(サブスク)を活用 収益源およびエンゲージメントの向上に有効

 アメリカの調査会社Sensor Towerは同社のブログにおいて、2021年のモバイルゲーム市場におけるマネタイズに関する調査データを公開した。なお、本記事の数字は同社の推計によるものである。

 モバイルゲーム市場には、有料ゲームから無料ゲーム市場まで数多くのマネタイズ方法が存在し、ガチャやバトルパス(サブスクリプション)、広告など、さまざまな手法が採られている。

 Sensor Towerの最新レポート「State of Game Monetization 2022」によると、最も広く利用されているマネタイズは、多くのハイパーカジュアルゲームで採用されている広告除去であることが明らかに。

▲広告除去(Ad Removal)は最も人気のあるマネタイズで、広告に大きく依存するハイパーカジュアルタイトルのほとんどで採用されている。

 そして、2021年に世界で売上上位のタイトルの半数が、マネタイズの仕組みにバトルパス(サブスクリプション)を導入していることが判明。

 サブスクの一種にも数えられるバトルパスは、シーズン毎に課金で取得することにより、一定のプレイを続ける(ティアを上げる)ことで複数の特典(アイテム・スキン等)を得られる仕組み。

 バトルパスは購入後、即時でアイテムがもらえるわけではないものの、継続的にプレイすることで複数の報酬が得られるため、ユーザー側はコストパフォーマンスの良さを感じやすい。また、報酬を全て手に入れるまではゲームをプレイする動機になるため、エンゲージメントの向上にも効果的。

 Epic Gamesの『フォートナイト』で成功したことで普及が進んだこの手法は、テンセントの『PUBG Mobile』や『王者栄耀』、miHoYoの『原神』などでも採用されている。

▲2021年の世界売上上位10タイトルでシーズンパスが採用されたゲーム。画像内で「バトルパス」は「season pass」と表記されている。3本をシュータージャンルが占め、『フォートナイト』でのバトルパスシステムの成功以降、同ジャンルで定着していることがわかる。<クリックで拡大>
▲『PUBG Mobile』のロイヤルパスバトルパス)。無課金でも報酬が得られるが、ELITE UPGRADE(課金)を行うことで有料アイテム・衣装・武器スキンなどより多くの報酬が得られる仕組みになっている。

 現状、バトルパスを導入している上位タイトルの大半はミッドコアゲーム、特に対人要素の強いゲームで多く採用されているが、Kingの『キャンディークラッシュ』やPlayrixの『ホームスケイプ』『ガーデンスケイプ』など、カジュアルなタイトルでも同機能が追加され始めている。

▲ハイパーカジュアルゲームにおいてもバトルパスが登場。パズルなどのジャンルでも、エンゲージメントの向上が期待でき、『ガーデンスケイプ』では2019年の導入後、前週比で85%の増収を記録していた。<クリックで拡大>

 また、アジアで主流のガチャは高い利益を上げ続けており、『原神』や『RAID: Shadow Legends』などのタイトルを通じて、米国などの欧米市場でも成功を収めている。

 米国でガチャを採用している上位タイトルはScopelyの『Star Trek Fleet Command』や『MARVEL ストライクフォース』、エレクトロニック・アーツの『スター・ウォーズ/銀河の英雄』など半分が既存IPを活用したタイトルであることが明らかになっている。

▲米国におけるガチャ採用ゲームの2021年売上高トップ10。半数がIP系のタイトルとなっている。<クリックで拡大>

 このことから、人気キャラクターが多数存在する有名IPは、ガチャによるマネタイズを成功させるための強力な基盤となることが証明されていると言える。

 ほか、モバイルにおけるNFTおよび暗号資産による新興市場は拡大しており、新規および既存のさまざまなモバイルタイトルに実装されている。

▲NFT / Cryptoを搭載した2021年世界ダウンロード数トップ10ゲーム。NFTやCrypto系のタイトルで複数のマネタイズ方法を試しているものは少ない。<クリックで拡大>

 ブロックチェーン技術を使用した最もダウンロードされたゲームのトップ10のうち5つが2021年にリリースされ、WolfFunの『Thetan Arena』を筆頭に、現在までに800万以上のダウンロードを記録した。

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森口 拓海(Takumi Moriguchi)
森口 拓海(Takumi Moriguchi)
雑誌やWEBメディアを中心に記事を執筆。ゲームは雑食で多様なジャンルを好み、業務の延長でアプリ分析も得意。恩のあるゲーム業界に貢献すべく日々情報を発信。

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