ゲームエイジ総研は6月16日、NetEase Gamesが提供する非対称対戦ゲーム『デッドバイデイライト・モバイル』と『IdentityV 第五人格』に関する調査レポートを公開した。
レポートでは、ゲームエイジ総研が運用しているマーケティングデータサービス「iGage(アイゲージ)」を利用した両作の比較データが紹介されている。
『デッドバイデイライト・モバイル』の配信開始日アクティブユーザーは13.73万人
4月28日に配信開始した『デッドバイデイライト・モバイル』は、非対称対戦型のホラーアクションゲーム『Dead by Daylight』のモバイル版。オリジナルを手掛けたカナダのゲーム開発会社Behaviour Interactiveと中国のNetEase Gamesが共同で運営する。
ゲーム内容は、プレイヤーのうち1人は殺人鬼(キラー)、残りのプレイヤーは生存者(サバイバー)となり、殺人鬼は生存者の全滅を、生存者はフィールドからの脱出を目指す非対称対戦型のサバイバルホラーゲーム。
これまで、PCゲームプラットフォームであるSteamで全世界での同時接続者数10万人以上を記録し、累計プレイヤー数は5,000万人を突破(関連記事)。モバイル版でも事前登録者数は100万人を超える(関連記事)など、非常に期待が高まっていた。
『デッドバイデイライト・モバイル』が配信された後のデイリーアクティブユーザー数(以下DAU)を確認すると、配信開始日である4月28日は13.73万人、集計期間内で最もDAUが多かったのは2日目の4月29日で15.25万人を記録。その後徐々に減少し、5月末には9万人レベルで安定し推移している。【グラフ①】
一方、『Identity V』は2018年4月2日にサービスが開始された作品で、ゲームシステムは『Dead by Daylight』と似た非対称対戦型マルチプレイゲーム。1人の殺人鬼と4人の生存者に分かれ殺人鬼は生存者の全滅を、生存者はフィールドからの脱出を目指す。
両作について、ゲームエイジ総研は「双方のアプリの特長はキャラクターデザインにある」と分析。『Dead by Daylight』はリアルなグラフィックによるホラー要素が人気の要因となっているが、『Identity V』は人形のように可愛らしくも不気味さが感じられ、主に女性ユーザーから人気を獲得しているデザインになっているという。
サービス開始から4年を経た『Identity V』だが、『デッドバイデイライト・モバイル』と同じ本年4月28日以降のDAUを見てみると、13~15万人程度で推移している事がわかった。最もDAUが多かったのは5月3日の15.65万人で、この日には4日間かけて行われた大会である「Call Of The Abyss V」の決勝(関連記事)が行われていた。【グラフ②】
『デッドバイデイライト・モバイル』は配信後に漸減し9万人程度で安定して推移しているが、『Identity V』は配信から4年経った今でも14万人前後という高い水準で推移。
『デッドバイデイライト・モバイル』はPC版同様のリアルなホラーグラフィックになっていることからPC版のユーザーがプレイしていることが考えられるが、『Identity V』はグラフィックの美麗さは一歩譲るものの、様々な対戦モードやミニゲームを付加し、さらにはマーチャンダイジングで世界観をアピールするなど、モバイルゲームとして継続的に楽しめる要素が多くのユーザーを引き付けているという事がうかがえる。
『デッドバイデイライト・モバイル』は男性ユーザーが65.5%、『Identity V』は女性ユーザーが64.2%
次にそれぞれのユーザーの特性を確認。
『デッドバイデイライト・モバイル』のユーザー構成を見ると、男性ユーザーが65.5%と過半数を占めた。特に10代男性の27.0%、次いで20代男性の19.1%と、10~20代男性で46.1%を占めている。【グラフ③】
一方、『Identity V』のユーザー構成を見ると、『デッドバイデイライト・モバイル』とは正反対で、女性ユーザーが64.2%を占めた。最も割合が高い10代女性の29.6%と、20代女性の25.9%が突出しており、10~20代女性だけで55.5%と過半数となっている。【グラフ④】
また、『デッドバイデイライト・モバイル』をプレイしているユーザーが、他にどのようなゲームをプレイしているのか調べると、若い男性中心のユーザー構成を裏付けるように、『モンスターストライク』やPCゲームが元となっている『Apex Legends Mobile』などをプレイしていることが明らかに。【表1】
一方で『Identity V』をプレイしているユーザーが他にプレイしているゲームは、『プロジェクトセカイ カラフルステージ! Feat. 初音ミク』や『ディズニーツイステッドワンダーランド』、『Sky 星を紡ぐ子どもたち』のように、主に女性に人気の高いタイトルであることがわかった。【表2】
加えて、アプリゲームを運営するうえで重要な要素である、コラボレーション戦略にも大きな違いが見られる。PC版の『Dead by Daylight』では「エルム街の悪夢」や「貞子」のようなホラー作品とのコラボが行われている一方で、『Identity V』では女性人気の高い「名探偵コナン」や「約束のネバーランド」などとのコラボが実施されている。これらのコラボ戦略やユーザーニーズに対応した運営企画、明確なターゲティングなどを見ると、現在のユーザー構成になっている理由が納得できる。
これらのデータから、『デッドバイデイライト・モバイル』と『Identity V』は、ゲームシステム自体は非常に似ているが、キャラクターグラフィックやデザイン、世界観などにそれぞれの特徴付けが行われ、明確にターゲット層の住み分けがなされていることがわかった。
『デッドデイライト・モバイル』はリアルなグラフィックによるホラー要素が、『Identity V』は可愛らしくもホラー的なデザインとその多様性が人気の要因となっており、ユーザー構成が大きく異なっている。ゲームエイジ総研はこの結果に関して「改めて、どのようなユーザーがそのゲームをプレイしているのか、ユーザーの需要がどこにあるのかを把握し、明確な差別化の下でゲーム運営をおこなう事が重要であると認識できた結果となりました。」とまとめている。