アメリカの調査会社Sensor Towerは同社のブログにおいて、2022年上半期の世界モバイルゲーム市場に関する調査データを公開した。本記事の数字は同社の推計となる。
2022年1月から5月まで期間、世界のモバイルゲーム市場の売上は348億ドル(4兆7,500億円)となり、コロナ禍以降、初めて前年同期比でマイナスを記録。なお、2021年の世界のモバイルゲーム市場売上は約884億ドル(約12兆円)となり、過去最高を更新。ダウンロード数は556億となり前年同期比1.2%減を記録していた。
四半期ベースでは、米国、日本、中国、韓国、台湾といった地域が売上高上位の市場に。このうち、米国と日本は10%以上の大幅な減収、中国と台湾は前年同期比7%の増収となった。
アプリ内課金(IAP)が多いのはRPGやストラテジーなどを含むハードコア/ミッドコアゲームで、2022年第1四半期に122億ドル(1兆6,700億円)の消費を生み出し、市場全体の60%を占めた。
カジュアルゲームでは、パズル、シミュレーションの両カテゴリーが引き続き好調で、いずれも四半期ベースで10億ドル(約1,365億円)を超える売上を記録した。また、ボード・カードゲームも引き続き大きなシェアを獲得し、全体の9%に相当する19億ドル(約2,594億円)を生み出した。
細かい分類で確認すると、4Xストラテジー※は米国が最大市場となり、2022年第1四半期に6億5000万ドル(約888億円)を計上し、同カテゴリー内で32%を占めた。日本と香港では、三国志をテーマにしたストラテジーが安定した収益性を保ち、特に香港は他地域が減収となっているにも関わらず、前年同期比6%の増収を達成。
※4Xとは、マップ周辺の探検(eXplore)、領地の拡張(eXpand)、リソースを増やす開発(eXploit)、敵を殲滅する(eXterminate)といった要素が組み合わさったものを指す。
シミュレーションは、最大市場である米国での売上高が5億4,000万ドル(約738億円)となり前年同期比10%減。『Roblox』に代表されるサンドボックス系のタイトルや『Family Island』などの農場/ファーム系タイトルが人気となっている。アジアや南米でも同様のタイトルが普及し、韓国が前年同期比51%増、ブラジルが31%増となるなど、飛躍的に成長した地域も見られた。
放置系RPGは日本が最大市場となり、全体の31%を占める売上高9,800万ドル(約134億円)を記録。また、中国、香港、マカオ、台湾がそれぞれ大きな成長を遂げた。特に台湾が前年同期比134%増の売上高2100万ドル(約29億円)に達し、トルコが418%増の900万ドル(約12億円)へと急増。トルコの急成長にはNextersの『Hero Wars』が寄与しているとされる。
ここからは、市場におけるダウンロード状況について確認。
2022年1~5月、欧米のダウンロード数の成長率も鈍化しているが、東南アジアは引き続き好調に推移。ハイパーカジュアルゲームはユーザー規模をさらに拡大し、ダウンロード数における最大の成長ポイントになっている。
現在、最もモバイルゲームがダウンロードされている地域はインドで、2022年第1四半期のダウンロード数は21億9000万となった。東南アジアではほかにも、インドネシア、ベトナム、フィリピンがそれぞれ前四半期比で5%、21%、10%の成長率を示している。
一方、ロシアは国際情勢の影響を受け、4月、5月とダウンロード数が大幅に減少した。
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2022年第1四半期、カテゴリ別ではカジュアルゲームのダウンロード数が87億となり、全体の79%を占めた。そのうち、ハイパーカジュアルゲームは35億。前年同期比で増加傾向にあり、カジュアルゲームユーザーの割合がまだ拡大していることがわかる。
同期間、ハイパーカジュアルゲームのユーザー数が最大規模であるインドでは、ダウンロード数は4.7億を記録。続くの米国は3.8億となる。前年同期と比較すると、インドと米国はハイパーカジュアルゲームが飽和状態にあり、(程度に差はあるが)共にマイナス成長となっている。
一方、東南アジアや中南米ではハイパーカジュアルゲームは活況となり、総じて堅調な伸びを示している。 特にベトナムでは、四半期ごとにダウンロード数が前年同期比40%以上の伸びを示しており、同市場におけるハイパーカジュアルゲームの将来性は非常に高いと言える。