Kantan Gamesのアナリストであるセルカン・トト博士(Dr. Serkan Toto)は11月6日、日本のPCゲーム市場に関するレポートを公開し、市場規模が3年間で約2倍に拡大したことを指摘。PCゲームのユーザー基盤が拡大していることを報告した。
レポートでは、角川アスキー総合研究所が発刊する「ファミ通ゲーム白書2022」のデータを引用し、2021年の日本におけるPCゲームの市場規模が1,313億円であり、2018年から約2倍に拡大していることを説明。日本のゲーム市場規模2兆円のうち、PCゲームが占めている割合でみると約6.6%にとどまっているものの、この数年間で急激に成長していることが明らかとなっている。
プレイヤー数に関しても同様に伸びており、2021年の日本のPCゲームユーザーは、総ゲーマー数5540万人(昨年の日本の人口は約1億2600万人)のうち、約29%にあたる1600万人にのぼる。これは、2015年に報告された1100万人から45%増加している数字。
また、PCのみでゲームをプレイするユーザーが450万人となり、2015年に報告された220万人から2倍以上に増加している。
トト博士は、日本でのPCゲーム市場成長の背景として、コロナ禍によりゲームユーザー全体の裾野が広がったこと、PS5の供給不足により、一部のコアゲーマーがPCでハイエンドタイトルをプレイするようになったことなど、いくつかの要素を挙げている。
また、SteamなどPCゲームプラットフォームを通じて「海外タイトルやインディーゲームの受け入れが進んでいる」と分析。『PUBG』の成功も2017年、2018年頃に日本のPCゲーム市場を押し上げるのに一役買ったとしている。
そうした流れを受けて、カプコンなど主要メーカーがPC向けの販売を強化。Steamも数年間のうちに日本向けのストアページを改善し、国内での存在感を高めている。そのほか、モバイルゲームにおいても、PCクライアント版がリリースされるケースが増えてきている。
上記の個々の要因が組み合わさって、現在の急成長に繋がっているとトト博士は説明。Valveによると日本はSteamの国別ランキングのトップ10に入っただけでなく、現在、世界で最も高い成長率を誇っているという。そうした情報から、日本におけるPCゲーム市場の成長傾向は今後数年間続くと予想した。
なお、Kantan Gamesは2013年に設立された日本市場に特化した独立系ゲーム産業コンサルタント会社。CEO兼アナリストのセルカン・トト博士(Dr. Serkan Toto)は、慶應義塾大学に博士課程で入学して以来、東京を拠点に活動している人物。日本のゲーム市場の動向、主要コンテンツ、主要プレイヤーを取り上げるブログ記事を定期的に執筆している。