2022年、世界ゲーム市場ではクラウドゲーミング・VRゲーム市場が活況 

 Newzooは昨年12月、2022年のゲーム市場に関するデータを公開し、独自のレポートを発表した。2022年の世界ゲーム市場における現状と変化をクラウドゲーム、VRゲーム市場、メタバースなどの観点から総括している。

 レポートによると、2022年の世界ゲーム市場は1,844 億ドル(24兆4,000億円※)を生み出し、前年比4.3% 減と推計。これはコロナ禍における急成長の反動と見られ、パンデミック前の予測からは約430億ドル高い数値となっている。

※執筆時点の最新取引レートで計算

 

 プラットフォーム別では、モバイルゲームの収益が922億ドル(約12兆2,000億円)となり前年比6.4%減を見込む。依然として市場の中で最も大きな割合(50%)を占めているモバイルだが、コンソールやPCと比べて減少幅が大きかった。

 これに関して、Newzooは「モバイルゲームへの支出はPCやコンソールゲームよりも、不況が人々の可処分所得に与える影響に左右されやすい」と分析している。また、iOSにおけるATTなどプライバシー保護を目的としたトラッキング制限は開発者やパブリッシャー、広告主にとって引き続き逆風となっている。

 また、コンソールは518億ドル(6兆8,600億円)となり、前年比4.2%減。一方のPCゲームは382億ドル(5兆1,000億円)となり前年比1.8%増を記録した。

 なお、コンソール/PC向けタイトルにおける平均MAU上位10作品も公開されており、2022年発売のタイトルは『Call of Duty Modern Warfare II/Warzone 2.0』のみに留まった。

 Newzooはほかにも、2022年のハイライトとしてクラウドゲームを挙げた。

 クラウドゲームは2022年までに、3000万人以上の有料ユーザーがクラウドゲームサービスやクラウド経由でプレイするゲームで合計24億ドル(約3,200億円)を消費したと推計。この数字は2025年までに82億ドル(約1兆900億円)に増加すると予測されている。

 クラウドゲーミングに関しては、Googleが2023年に「Stadia」のサービス終了を発表したものの(関連記事)、XboxやPlaystationをはじめ、クラウドを活用したゲームサービスの拡充が進められている。近年ゲーム事業に本格参入したNetflixもクラウドゲーミング分野への進出を検討するなど、2023年以降も同分野への関心は高まり続けるものと見られる。

 また、VRゲーム市場についても、2020年の9億ドルから2022年は18億ドル(約2,400億円)に規模に拡大。2024年には、32億ドル(約4,200億円)になると推定されている。そして、世界市場におけるアクティブなVRデバイスの数はすでに2770万台に達しており、その数は4600万台に達すると予想されている。

 今後予想される成長は、コンシューマー向けの機器やVRコンテンツの発売と連動しているものだという。2022年10月にMetaはハイエンドモデル「Meta Quest Pro」を発売(関連記事)し、2023年には「Meta Quest 3」を発売する予定。SIEは「PS VR 2」の発売を2023年2月に控えている。

 NewzooはVRゲームを代表する『Beat Saber』が2021年だけで1億円近くの収益を獲得したことなども例に、「VRは財政的に持続可能なプラットフォームになりつつある」と分析。また、ゲーム以外にも、ヘルスケア、教育、エンジニアリング、その他のエンターテインメント分野などの産業にも貢献し続けるとした。

 さらに、Metaが掲げるVRヘッドセットを入口としたメタバース構想に関しても、2022年4月に300万人以上のMAUを集めたVRソーシャルアプリ「Rec Room」の事例をもとに、「それほど突飛なものではない」と説明。「Meta Quest 3」発売によるメタバースの盛り上がりに対して可能性を示した。

 メタバース分野は、上記の「Rec Room」のようなVRのほか、『Roblox』、『Minecraft』、『Fortnite』といったフランチャイズが主要なソーシャルプラットフォームとなっている。

 Newzooによると、メタバースは現状、コロナ禍の規制緩和と世界的な景気後退により停滞気味であるものの、新たな広告チャネルとしての関心は依然強いという。ソーシャルプラットフォームでの広告出稿は、デジタルネイティブ世代の台頭により、バーチャル体験がより本格的になるにつれて加速していくと推測されている。

 そうした流れを受けて、2022年6月にはメタバースにおける標準規格を策定する業界団体「Metaverse Standards Forum」が結成されている(関連記事)。

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森口 拓海(Takumi Moriguchi)
森口 拓海(Takumi Moriguchi)
雑誌やWEBメディアを中心に記事を執筆。ゲームは雑食で多様なジャンルを好み、業務の延長でアプリ分析も得意。恩のあるゲーム業界に貢献すべく日々情報を発信。

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