米国の市場調査会社Sensor Towerは同社のブログにおいて、2022年における日本モバイルゲーム市場のインサイトを公開した。日本のモバイルゲームのダウンロード数と収益、トレンドなどが明らかとなっている。なお、本記事の数字は同社の推計となる。
2022年、日本モバイルゲーム市場の売上規模は147億ドル(約1兆9,000億円※)となり、2019年の水準近くまで落ち込んだ。
※執筆時点の最新取引レートで計算
Sensor Towerが分類するジャンル別で見ると、日本で最も人気なモバイルゲームのジャンルはRPGであり、2022年の売上は67億ドル(約8,700億円)を超え、全体の47%を占めた。同年の世界市場ではRPGの売上シェアは26%にとどまっていることから、日本でのRPG人気は世界水準をはるかに超えていることがうかがえる。なお、RPGに次いでシミュレーション、パズル、アーケードゲーム、アクションが高い割合を占めている。
一方、ダウンロード数は6億4000万を記録し、前年比で10%近く減少。2019年から2022年にかけて継続的に微減傾向を示している。
その中で最もダウンロードされているのはハイパーカジュアルゲームであり、2022年には1億1000万ダウンロードを記録し、全体の25%を占めた。また、パズルゲームも人気があり、全体の15%近くを占めて続いた。
次にマネタイズに注目すると、日本でヒットしているタイトルのほとんどが有償アイテムの販売およびガチャ、定期的なセールキャンペーン(初心者向けパック等)開催などを通じて収益性を高めている。近年は特に、欧米のモバイルゲーム市場で人気のシーズンパスやサブスクリプションを販売するモデルが、より多くの日本ユーザーに受け入れられつつあり、2022年におけるヒットタイトルのうち、1/3以上がシーズンパスを採用。これは、2018年の採用率19%から大きく伸びている。
メタ的な特徴としては、日本のモバイルゲームはキャラクターの収集要素とストーリーに重点を置いており、ヒットタイトルの9割近くがキャラクター収集機能を搭載し、半数以上がコアな物語要素を取り入れている。また、レベリング(育成)、ギルド、リソース管理などの機能を採用しているタイトルが多い。
タイトル別で見ると、2022年に日本で最も売れたモバイルゲームのTOP10は引き続き国内のタイトルが多く占めており、『ウマ娘 プリティーダービー』は7億ドル(約900億円)を超える売上を記録し首位を獲得している。海外発のタイトルでTOP10にランクインしたのは、miHoYo(HoYoverse)の『原神』とNetEaseの『荒野行動』の2本にとどまっている。
その一方、2022年の日本市場における海外タイトルの伸びは際立っており、『パズル&サバイバル』『リネージュW」』『勝利の女神:NIKKE』など、中国や韓国のパブリッシャーが手掛ける6タイトルが、2022年の日本モバイルゲームにおける売上の伸び率チャートでトップ10入りを果たしている。
近年、日本市場における中国タイトルの存在感は年々増している。前述のセールスチャートをTOP100に拡大すると、『原神』をはじめとした35タイトルが中国発のタイトルとなった。
新作としてリリースされ成功を収めたのは『オリエントアルカディア』(三国志幻想大陆)、『空の勇者たち』(云上城之歌)、『Tower of Fantasy(幻塔)』、「信長の野望・創造」のライセンスを受けた『新信長の野望』といったタイトル。
中でも『オリエントアルカディア』は日本市場で5,500万ドル(約71億円)以上を売り上げ、中国タイトルの売上伸び率チャートで2位を獲得している。