ゲームエイジ総研は1月31日、PCゲーム市場の調査データを公開した。PCゲームのプレイ経験者、潜在ユーザー(今後プレイしたいと考えているユーザー)、およびエンゲージメントなどに関する調査(有効サンプル:63,327人)を行っている。
同社はマーケティングデータサービス「iGage(アイゲージ)」に加えて、新たに7万人を超える規模のネットリサーチに対応した調査用データベースとして、「PCゲーム調査専用パネル」を構築したという。
これにあわせて、PCゲームとのエンゲージメントの度合いを測る指標である『PC‐GUESS(PC Game User Engagement Scale Segmentation)』を作成。この指標により、PCゲーマーの市場の構造をウォッチできるほか、PCゲーマーを対象とした調査を行う際の対象者の選定にも有効とのこと。
調査では、PCゲームプレイ経験者は1,052万人となり、その5割以上がPCでのみゲームをプレイしているなど、興味深いデータが閲覧できる。
以下、ゲームエイジ総研の調査レポートを掲載。
PCゲームプレイ経験者は1,052万人
PCゲームプレイ経験者は1,052万人となる。現在もプレイしている、プレイしたことがある程度というように濃淡はあるものの、規模としては1000万以上と、非常に大きいことがわかる。
家庭用ゲーム機でゲームをプレイするゲーマーとの重なりを見ると479万人と、PCゲームプレイ経験者の45.5%は家庭用ゲーム機でもゲームプレイ経験があるものの、5割以上がPCゲームのみのプレイ経験者となっている。【図①】
PCゲームユーザーの年代構成を見ると、男性20代と40代が多く150万人を超えている。性別では男性が69.5%、女性が30.5%と、約7割は男性となっている。【グラフ①】
また、直近1年以内で利用したPCゲームのプラットフォーム/サービスでは、「Steam」の利用者数が最も多く、独自のタイトルラインナップを持つ「DMM GAMES」がそれに続いた。【グラフ➁】
PCゲーム潜在ユーザーは1,126万人
このPCゲーム調査専用パネルでは、PCゲームプレイ経験者だけではなく、潜在ユーザーも確認ができ、今後PCゲームをプレイしてみたいというゲーマーは1,126万人にのぼる。これにより、PCゲームプレイ経験者と同程度の規模の有望マーケットが存在することがわかります。
このように、PCゲーム調査専用パネルでは、PCゲームユーザーの市場実態把握のほか、新作タイトルのコンセプト受容性調査やニーズ/不満点把握のための調査、また、プロモーション施策を行う前の事前調査や施策後の効果検証など、様々な調査をPCゲーマーとPCゲーマー予備軍までをカバーし、効率的に行うことが可能となっている。
PCゲームとのエンゲージメント指標「PC-GUESS」
コンシューマやモバイルゲーム市場と異なり、PCゲーム市場は未成熟であると言える。今回のPCゲーム調査専用パネルの構築により、ゲームプレイ経験者や潜在ユーザーの規模がわかったが、実際にはゲームのタイトルやジャンル、調査のテーマによって、調査したい対象は様々。
そこで、PCゲームとのエンゲージメントの強弱を測る弊社独自の指標を作成。この指標はPCゲームプレイ経験者、潜在ユーザーをあわせた指標となっている。
PCでゲームをしているPCゲームプレイ経験者には「オンラインサービス/プラットフォームの認知/加入」「プレイ頻度」「課金状況」といった要素に加え、潜在ユーザーも含め「PCゲームとの結びつきの強さ」といった心理的な要素を加味したセグメンテーションを作成した。
これによると、最もPCゲーム市場にコミットメントしている「イノベーター」は253万人(12%)であり、マーケットを牽引する存在となっている。それに次ぐ「アダプター」も253万人であり、500万人で構成される「フォロワー」へつなぐ役割を担う。この3セグメントで1,000万人規模の市場となっており、今後のマーケット拡大のキーになる1,172万人という最大セグメントである「ボーダー」が控えている。【グラフ③】
上位セグメントからいかに下位セグメントにユーザーを拡大するかがセルスルー/ダウンロードの拡大には必要であり、ひいてはPC市場そのものを拡大できるかどうかを左右することになる。
利用がまだ少ないプラットフォーム/サービスほどイノベーターの利用率が高い傾向
先ほどの直近1年以内で利用したPCゲームのプラットフォーム/サービスをPC-GUESS指標のセグメント別で見たのが【グラフ④】となる。
いずれのゲームプラットフォーム/サービスでも、イノベーターの利用が多くなっている。最も利用されている「Steam」や次いで利用の多い「DMM GAMES」ではイノベーターの割合が利用者の約5割、アダプターが約3割、フォロワーが約2割の構成になっており、コアなPCゲーマーからライトなPCゲーマーまで広く利用されていることがうかがえる。
一方で、3番目に高い「Yahoo!ゲーム」はイノベーター、アダプター、フォロワーの構成がいずれも約3割程度と、「Steam」や「DMM GAMES」と比較し、ライトなPCゲーマーの利用が目立つ。「Steam」や「DMM GAMES」と「Yahoo!ゲーム」では、性質の違ったPCゲーマーであるということだ。
また、利用がまだ少ないプラットフォーム/サービスではイノベーターのシェアが目立った。「GOG.com」「Humble Store」「Green Man Gaming」「DIRECT GAMES」といったDRMフリーゲームの販売やKEYセールの利用者は少なく、このサービスのベネフィットを日本のユーザーが受け入れられるかどうかは今後注視していきたい。
このように、PCゲームユーザーを行動特性/今後のニーズ/エンゲージメントにてセグメントした結果、マーケットに及ぼす影響に違いがあることがわかった。
まだまだ発展途中のPCゲームマーケットでユーザーを獲得していくには、これまでのようなコアユーザーや独特のニーズを持つファン以外にも、ライトな層やPCゲーマー予備軍にもアプローチする必要がありそうだ。
ニーズを知るためにはリサーチを行うことが必要となる場合が多いが、未知のユーザー層の情報を得るにはユーザーサンプリングや企画設計が非常に大切であると言える。