2022年、中国モバイルゲームの海外進出状況 39タイトルが1億ドル以上を獲得 国外売上トップは『原神』

 米市場調査会社Sensor Towerは、同社のブログにおいて中国モバイルゲームの海外進出状況に関するレポートを公開した。なお、本記事の数字は同社の推計となる。また、ここでの海外とは中国以外の国を指す。

 世界的なグローバル化の波に加え、中国では厳しいゲーム規制などを背景に、現地パブリッシャーが海外に焦点を充てることも増えてきた。また、2022年はコロナ禍で急伸した多くのゲーム企業が規制緩和による反動や世界的な経済の混乱によって、程度の差はあれど落ち込む傾向が見られた。しかし、中国の一部ゲーム企業は国内で追い詰められる一方で、日本を含む海外で大きな成果を挙げている。

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 Sensor Towerによると、2022年のApp StoreおよびGoogle Playにおけるモバイルゲームは、セールスTOP30の合計売上で92億ドル(約1兆2,094億円※)を記録し、2021年の115億ドル(約1兆5,117億円)から20%減少。規模としては2020年の水準に戻ったが、コロナ禍前である2019年と比較すると46%増となっている。

※執筆時点の最新取引レートで計算

▲ 2022年、中国モバイルゲームの海外売上高TOP30

 2022年、最も海外で収益をあげたタイトルはmiHoYo(HoYoverse)の『原神』となった。特に日本と米国で人気を集めており、ハイクオリティなコンテンツの継続的なアップデートが高い売上に結びついているものと見られる。

 

 また、TOP30にはポストアポカリプス世界でのサバイバルをテーマにした作品が6タイトルもランクインし、引き続き人気のジャンルとなっている。中でも37Gamesのゾンビ×3マッチパズル×ストラテジー『パズル&サバイバル』は、海外市場での年間売上高が前年から45%増加。ランキングで4位に浮上した。

 37Gamesは他にも、ファンタジーMMORPG『空の勇者たち』を2021年7月に韓国で、2022年2月に日本で配信開始。両市場で好調となり、2022年の海外売上高は前年比54%増の約2億ドル(約2,633億円)を記録し、ランキングで20位まで上昇した。

 2022年6月にリリースしたNetEaseとBlizzardの『ディアブロ イモータル』は、年間で約2億5,000万ドル(約329億円)を売り上げ、ランキング14位にランクイン。リリースから2ヶ月の時点で海外売上高が累計1億ドルを突破しており、米国、韓国が主な市場となった。

 ランク外においても、Yostarの『ブルーアーカイブ』や『アズールレーン』、Perfect World『Tower of Fantasy(幻塔)』、miHoYoの『崩壊3rd』など計39タイトルが1億ドル以上の売上高を記録した。

▲パブリッシャー別、2022年におけるモバイルゲームの海外売上高ランキング

 テンセントは、『PUBG MOBILE』などのタイトルが市場で堅調に推移し、海外向けゲームブランドLevel Infiniteを通じて配信する『Tower of Fantasy(幻塔)』や『勝利の女神:NIKKE』などが好スタートを記録。これにより、年間のパブリッシャー海外売上高ランキングで、前年から1ランクアップして2位となった。

 37Gamesは前述の『パズル&サバイバル』、『空の勇者たち』など多くのタイトルが海外市場で優れた成績を収めたことにより、2022年の海外収益が前年比21.7%増となり、2ランクアップの4位に。同社は海外市場からの収益が全体の87%を占め、2021年と比較して18ポイントの増加となった。上位3市場は日本、米国、韓国で、それぞれ35%、22.2%、13.5%を占めている。

 7位に浮上したIM30(Long Tech Network)の海外売上高は、『ライズオブエンパイアズ: 氷と炎』『ラストシェルター』などのタイトルが成長し、前年比で33%増となり過去最高を記録。特に米国が重要な市場であり、売上高の43%を占めた。

 19位にランクインしたHabbyは新作『ダダサバイバー』(Survivor!.io)が8月上旬のサービス開始から2ヶ月弱でMAU2000万人を突破するなど、大ヒットを記録。これにより、パブリッシャーの海外売上高は前年比315%増となり、TOP20で最大の伸びを見せた。

 地域別の年間売上高では、中国モバイルゲームの最大の市場である米国市場が前年比15%減の27億ドル(約3,552億円)超を記録。『原神』『Call of Duty Mobile』『State of Survival』『パズル&サバイバル』などが人気タイトルとなっている。

 

 次いで日本は、前年比22%減の23億ドル(約3,026億円)となった。売上上位には『原神』『荒野行動』『パズル&サバイバル』『放置少女』『あんさんぶるスターズ!!Music』『三國志 真戦』などが挙げられている。

 3番目の韓国市場では、『空の勇者たち』『原神』『Rise of Kingdoms』『奇迹之剑』『ダダサバイバー』が売上上位となり、前年比22%減の6億4000万ドル(約842億円)を売り上げている。

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森口 拓海(Takumi Moriguchi)
森口 拓海(Takumi Moriguchi)
雑誌やWEBメディアを中心に記事を執筆。ゲームは雑食で多様なジャンルを好み、業務の延長でアプリ分析も得意。恩のあるゲーム業界に貢献すべく日々情報を発信。

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