コーエーテクモHDは、3か年の中期経営計画を1年目で達成したことを明らかにした。これにより、同社は2023年3月期より新たな3か年中期経営計画を開始する。
2022年3月期通期(2021年4月1日~2022年3月31日)は、売上高727億円(前年比20.5%増)、営業利益345億円(前年比41.5%増)、経常利益486億円(前年比23.9%増)、当期純利益353億円(前年比19.7%増)となった。売上高、利益共に過去最高の業績で、当期純利益は12期連続の増益。
主力のエンタテインメント事業は売上高688億円(前年比17.4%増)、セグメント利益338億円(前年比29.1%増)、セグメント利益率は49.1%だった。自社IPを活用した戦略が奏功し、『ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士~』(ガスト)が20万本、『真・三國無双8Empires』(ω-Force)が28万本、さらに『零 ~濡鴉ノ巫女~(ぜろ・ぬれがらすのみこ)』のリマスター版が34万本と、連続でヒットを記録した。
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モバイルゲームでは『三國志 覇道』が順調に推移しており、配信開始から1年半が経過した現在もセールスランキングで高い順位をキープしている。モバイルゲームはコーエーテクモにとって収益の柱だ。『三國志 覇道』の動向が今後の指標となるだろう。
コーエーテクモのIPは海外でも知名度が高く、特に香港、マカオ、台湾、中国、韓国といったアジア圏へ積極的に進出している。エンタテインメント事業の売上のうち、半分以上が海外市場によるもので、海外での成功が売上高を強く牽引したと見られる。またモバイルゲームでは、累計ダウンロード数の75.5%が海外ユーザーによるものだった。
2023年度3月期は、売上高770億円、営業利益325億円、経常利益425億円、当期純利益315億円の増収減益を見込んでいる。減益予想は大型タイトルの開発を予定しているため。
新たに策定された3カ年中期経営計画では、2025年3月期に売上高1,000億円、営業利益400億円、経常利益500億円を達成することを目標とし、「アトリエ」「無双」シリーズ等、さらにIP戦略を推し進めていくとしている。直近では『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』が6月24日に発売予定。開発を担当したタイトルを「無双」シリーズへとフランチャイズ化する手法はコーエーテクモならではのシナジーだ。
中長期的には、コンソールおよびPC向けのパッケージゲームでは、新規IPで販売数500万本と強気の目標を掲げる。モバイルゲームでは月商20億円規模のヒットを狙っていく。さらに、強みの海外展開にも注力し、上海でIP事業部の新会社を設立、中国市場におけるシェア拡大の足がかりとする。組織体制の面では社員の給与アップに取り組み(関連記事)、モチベーションの向上によって新たなヒットタイトルの創出を目指す。優れたIP戦略とガバナンスでコーエーテクモへの期待が高まっている。