スクウェア・エニックス・ホールディングスは5月13日、2022年3月期(2021年4月1日~2022年3月31日)の連結決算を発表した。この期間売上⾼及び全ての段階利益で過去最⾼の通期業績を達成。
2022年3月期の業績は、売上高3,652億7,500万円(前期比9.8%増)、営業利益592億6,100万円(同25.5%増)、経常利益707億400万円(同41.5%増)、純利益510億1,300万円(同89.3%増)となり増収増益に。
なお、2023年3⽉期の連結業績予想については、海外の複数スタジオ及び⼀部IPの売却に伴う業績への影響を精査中のため、現時点では未定としている。
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デジタルエンタテインメント事業の好調には『FF14』が寄与
スクエニの中核となるデジタルエンタテインメント事業では、2021年12⽉に発売した『ファイナルファンタジーXIV』(FF14)の拡張パッケージ販売が⼤きく寄与し、売上高2796億7,900万円(前期比6.0%増)、営業利益589億6,000万円(同16.7%増)と増収増益となった。
『FF14』は期間中、月額課金会員数が大幅に増加。最新拡張パッケージである『暁月のフィナーレ』の発売直前には全世界累計アカウントが2,500万人を突破(関連記事)し、大きな注目を集めた。
その盛り上がりは、世界的な半導体不足によるサーバー増設の遅れ等の理由もあるとはいえ、異例の一時的なソフト販売停止を招くほどだった(12月16日当時のお知らせ)。
一方、『OUTRIDERS』、『NieR Replicant ver.1.22474487139…』、『Marvel’s Guardians of the Galaxy』などのタイトルを含むHDゲーム群は、前期に発売した『FINAL FANTASY VII REMAKE』、『Marvel’s Avengers』といったタイトルの反動で及ばず、前期比で減収となっている。
スマートデバイス・PC ブラウザ等をプラットフォームとしたコンテンツに関しても弱含みで好調とはいかず、MMOコンテンツがデジタルエンタテインメント事業を支えた形だ。
アミューズメント事業は黒字転換、出版事業も好調
アミューズメント事業においては新型コロナウイルス感染症拡⼤の防⽌対策により苦境となっていた前期から一転、売上が回復したことで⿊字転換に成功した。また、出版事業に関してもデジタル販売が好調に加え、紙媒体の販売が堅調となり増収増益を達成。
期間中、TVアニメ化の効果もありヤングガンガン連載のコミック「その着せ替え人形は恋をする」が累計部数600万部を突破している(2022年4月時点)。
そして、「FF」や「ニーア」シリーズなど新規キャラクターグッズの販売等が好調に推移したことからライツ・プロパティ等事業も売上高140億200万円(前期比48.1%増)、営業利益39億8,000万円(同76.9%増)と大幅な増収増益となっている。
IPエコシステムの強化に取り組みつつ、NFTビジネスを推進
海外の複数スタジオ及び⼀部のIPの売却に関してEmbracer Group ABと株式譲渡契約を締結したスクエニだが、今後、IPエコシステムの強化の一環として新規スタジオ設⽴やM&A等によるタイトル開発⼒の増強を行うという。それによるデジタルエンタテインメント事業における新規IP創出およびIPの育成を目指す。
また、代表取締役社長の松田洋祐氏が2022年の年頭所感で示した通り(関連記事)、2023年3⽉期はブロックチェーン関連事業を始め、AI、クラウドに重点的な投資を行う方針。
「ブロックチェーン・エンタテインメント」領域におけるNFTビジネスに関しては、2021年10月~2022年3月の期間で販売を行ったNFTデジタルカード『資産性ミリオンアーサー』1st シーズンを経て、2nd シーズンの制作が決定されている。