ケイブは6月3日、株式会社でらゲーの全株式を取得し、子会社化する方針を明らかにした。この買収については、2022年8月開催予定のケイブ定時株主総会で付議される予定。
ケイブは1994年の設立以来、『怒首領蜂大往生』『虫姫さま』『ケツイ~絆地獄たち~』をはじめとしたアーケード向けシューティングゲームでヒット作を生み出し、とりわけ弾幕シューティングと呼ばれるジャンルにおいて代表的な地位を築いていた。
一方、でらゲーは『モンスターストライク』の開発を手掛けた、スマートフォンゲームの開発運営において実績のある企業。
ケイブとでらゲーは新作タイトルの開発のためにスマートフォンゲーム製作委員会を組成するなど、以前から協力関係にあった(現在は解散し、該当の新作タイトルは開発中止)。
また、でらゲーに所属するクリエイター・岡本吉起氏はケイブの取締役も務めている。そのため、両社の信頼関係(及び実績)が一定以上あったことも今回の買収に繋がっているようだ。同氏は『ストリートファイターⅡ』や「バイオハザード」シリーズなどに携わり、『モンスターストライク』にも関わった人物。
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ケイブは現在、2015年4月からサービスを続けるスマホ向けシューティング『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』が主力タイトルとなり、その売上は第28期第3四半期(2021年12月1日~2022年2月28日)における売上高構成比率の34%以上を占めている。
つまり、『ゴシックは魔法乙女』の動向によって会社業績が大きく左右される状態であり、次の収益源となるコンテンツの創出が急務となっているが、新作タイトルに関しては市場に投入するも定着しない状況。そのため業績は芳しくなく、同社は2017年5月期から2021年5月期まで、5期連続の営業赤字を計上していた。
そして、第2の柱となるコンテンツが待たれる中、以前より着手していた「東方Project」のIP許諾を受けて開発する新規タイトル(関連記事)等についても、新型コロナウイルス感染拡大の影響によってゲーム開発人員の確保が難しい状況になっていたという。
そこで、ケイブはでらゲーの買収を通じて財務基盤の強化、投資案件に対する速やかな開発、事業展開及びその人材を確保することで、早期収益化による業務改善を企図。両社のノウハウを融合させることで、企業価値の最大化を目指す。