ソニーグループは7月29日、2022年度第1四半期(2022年4月1日~2022年6⽉30⽇)の連結業績概要を発表した。
2022年度第1四半期の連結事業は、売上高2兆3,115億円(前年同期⽐2%増)、営業利益3,070億円(前年同期⽐10%増)と、いずれも第1四半期の実績としては過去最高を更新。四半期純利益は2,182億円(前年同期⽐3%増)だった。
増収増益の要因は主に音楽、映画の好調が中心。特に好調だった映画分野ではテレビ番組制作や映画製作、前年度公開作品からのテレビ向けライセンス収入、ホームエンタテインメント売上などが影響し、売上高は前年同期比で67%増の3,414億円、営業利益でも前年同期比で100%増加の507億円を記録している。
おそらく4月にDVDなどの販売が開始された『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の追い風を受けたと思われる映画分野が好調の一方で、ゲーム&ネットワークサービス分野(G&NS)では向かい風の厳しい状況に。
ゲーム分野は主要市場のコロナ感染縮小を受け減速傾向
第1四半期のG&NS(ゲーム&ネットワークサービス)分野では、売上高が前年同期⽐2%減の6,041億円、営業利益では前年同期⽐37%減の528億円と縮小傾向。
今回の減益について、ソニーグループはアドオン・コンテンツ(追加コンテンツ販売)を含むゲームソフトウェア販売減少や、ソフトウェア開発費の増加などが影響しているとした。
発表ではプレイステーションユーザーのゲーム離れにも言及されており、2022年度第1四半期の総ゲームプレイ時間は前年同期比で15%低下。6月単月では5月から3%の改善があったものの、前年同月からは10%減少しており、前回見通しの想定よりも大幅に下回る結果となっている。
ソニーグループは想定を大幅に下回る今回の結果に対し、主要市場においてコロナ感染縮小により外出の機会が増加、ゲーム市場全体の成長が減速していると指摘。
これに対し、自社制作ソフトウェアを含めた、大型タイトルのリリースが予定されている下期に向け、PS5の供給台数の増加や、6月からリニューアルしたPS Plusの新サービス訴求など、ユーザーエンゲージメントを高める施策に注力するとした。
現在、日本国内に留まらず全世界的に在庫薄が指摘されているPS5だが、今回の発表によれば上海のロックダウンの影響からの回復や、部品供給状況に大幅な改善がみられるとし、年末商戦に向けた供給スケジュールの前倒しが進められているとのこと。
なお、ソニーグループはPS5の通期販売台数見通しを1,800万台としているものの、第1四半期におけるPS5の販売台数は240万台。第3四半期から第4四半期にかけて相当数の増産・販売を見込んでいるようだ。
また、PS Plusは第1四半期時点で登録者数4730万人と、前年同期比では増加を見せているものの、MAUはやはりコロナ感染縮小を受けているのかやや落ち込んでいる様子。PS Plusの新サービスが提供は6月開始であるため、第2四半期では大きな変化が期待できるかもしれない。
7月時点での2022年度見通しはG&NSのみ見直し
2022年度の連結業績⾒通しは、主に音楽、映画分野から増収が見込めるとし、前回5月時点から1,000億円増の売上高11兆5,000億円。一方の営業利益ではG&NS分野で見直しを行い500億円減の1兆1,100億円に見直し。
全体では5月時点から増加傾向の売上高だが、セグメント別でみるとG&NS分野では5月時点から400億円減の3兆6,200億円に見直し。
ソニーグループによれば、同分野では為替による増収効果がみられるものの、第1四半期の実績を踏まえ、年間のソフトウェア販売見通しを見直したという。
一方の営業利益の見通しでは、ソフトウェアの減収や為替の悪影響に加え、7月15日に完了したBungieの買収による、買収関連費用の増加も影響し、5月時点から500億減の2,550億円とした。
主要市場における外出増加などの影響を受け、第1四半期ではやや落ち込み気味の結果となったG&NS分野。ゲーム業界全体の減速を見通すソニーグループ、供給スケージュールの前倒しを進める年末商戦に向け、どのような施策を展開するのか注目だ。