
米AppLovinは現地時間8月9日、ゲームエンジン「Unity」を提供するUnity Technologiesに対して合併を提案したことを公表した。これはUnityの株式を1株あたり58.85ドルと評価し、200億ドル(約2兆6600億円)相当の全株式取引で買収する計画で、法的拘束力を有しない意向表明(NBO)となる。
この提案は、現地時間2022年7月12日時点のUnityの株価に対して48%の上乗せ、および8月8日時点の株価に対して18%の上乗せにあたる。この条件では、Unityの株主は統合会社の発行済株式の約55.0%を取得し、議決権の約49.0%を占める。
発表によると、Unityの現CEOであるJohn Riccitiello氏が合併後の事業のCEOに就任し、AppLovinの現CEO・Adam Foroughi氏がCOOとなることが提案。取締役会には、Unityのメンバーから過半数を任命するという。
AppLovinは、この合併案によるシナジー効果で、合併後の会社の償却前営業利益が2024年に5億ドル以上、翌年には7億ドル増加すると見積もった。
注目すべき点として、この合併案では現地時間7月13日に発表されたUnityとIronSourceとの契約を解消することが条件として示された。
ironSourceは、アプリ収益化ビジネスプラットフォームを提供するイスラエルの企業で、AppLovinとは競合する関係。先月、ironSourceはゲームエンジン「Unity」とのシナジーを理由として、あらゆる規模のクリエイターに対して提供するサービスを強化する狙いからUnity Technologiesによる約44億ドルでの買収計画が発表されていた。
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そして現地時間8月15日、Unity取締役会は「AppLovinの申し出は株主にとって最善の利益にはならない」としてAppLovinの提案を拒否し、ironSourceとの買収計画を進めていく意向を発表。ロイター通信の報道によれば、この発表後Unityの株価は午前の取引で約6.8%下落し、AppLovinも6%以上の下落となった。一方、ironSourceの株価は約13.4%急騰した。
UnityとironSourceの合併は、2022年12月期第4四半期中に完了する予定。