中国大手のNetEaseは8月31日、同社のゲーム部門を担うNetEase Gamesが世界有数の独立系ゲームデベロッパーであるQuantic Dream S.A.を買収したことを発表した。買収額など諸条件は未公開。
この買収により、NetEase Gamesにとって初のヨーロッパ進出となる。同社は「世界中のゲーム開発とイノベーションをサポートするというNetEaseのビジョンを達成するための重要なステップとなる」としている。
両社の提携はこれが初めてではなく、2019年1月に少数株を取得し、これまでもQuantic Dreamの成長をサポートしてきた。今回、更なる成長を目的として、NetEase Games を100%株主とする契約を締結。
Quantic Dreamは、1997年にDavid Cage氏 によって設立されて以降、Guillaume de Fondaumière氏と共に率いるフランスのゲーム会社。物語主導型のアドベンチャー作品を得意としており、プレイヤーの選択によってシナリオが大きく変化するのが特徴の『Heavy Rain』、『Beyond: Two Souls』、『Detroit: Become Human』といったタイトルを代表作としている。
なお前述のタイトルはこれまでに数々の賞を受賞しているほか、実在の俳優を起用し、モーションキャプチャーによる映画的な演出が施されていることから、各国の映画祭などにも出品されている。
同社は今後、NetEaseのサポートを受けながら、引き続き独立で事業を行い、あらゆるプラットフォームでAAAゲームの開発と販売を行うとともに、サードパーティが開発したタイトルのサポートと販売も手掛けるという。
現在、Lucasfilm Gamesと共同でアクションADV『Star Wars Eclipse』など新作を開発している。
以下、買収に際して公開されたコメントを掲載。
NetEase CEO兼ディレクター William Ding氏
共通のビジョン、信頼、そして尊敬の念で結ばれたQuantic Dreamとともに、エキサイティングな新しい成長のステージへ進むことに、私たちはとてもワクワクしている。
NetEaseは、Quantic Dreamがそのポテンシャルを最大限発揮できるようサポートするという約束を果たし続ける。Quantic Dreamのワイルドなクリエイティビティと卓越したストーリー性と、NetEaseの充実した設備、リソース、実行能力を組み合わせることは、世界中のプレイヤーに提供するインタラクティブなエンターテインメント体験を刷新し得る無限の可能性を秘めていると信じている。
Quantic Dream 設立者兼CEO David Cage氏 コメント
四半世紀に渡り完全な独立を保ってきた私たちのスタジオにとって、今日は重要な節目の日となった。NetEase Gamesは私たちの創造における自由さ、そして独自の多様なチームの意欲と情熱を高く評価している。
私たちは、人々の心に響く画期的なタイトルを創り出すという、グループ共通のビジョンを加速することができるだろう。私たちは高度に差別化されたゲームを制作しているが、Quantic Dreamの最高傑作が誕生するのはこれからであると強く信じている。
また、過去数年にわたり多大な持株の提供を受けた社員たちが、今回の買収により十分な利益を得ることができることをとりわけ誇りに思う。これは、Quantic Dreamを今日の成功へと導いてきたすべての人に報いるという私たちの継続したコミットメントの証しだ。
Quantic Dream Co-CEO(共同最高経営責任者)兼販売責任者 Guillaume de Fondaumière氏 コメント
NetEase GamesがQuantic Dreamに初めて投資を行ったのは3年前だった。この間、共に密接に仕事をしてきて肌で感じたのは、互いのマインドが似通っているということ、そして互いがいかに補完的であるかということだ。
NetEase Gamesによる買収は、このプロセスにおいて自然な進化であり、私たちの制作・販売チームが他社を卓越するために必要なあらゆる手段を得ることによってQuantic Dreamがさらなる成長を遂げるまたとないチャンスだ。