「Facebook」を運営するMetaは、2022年第3四半期(2022年7月1日~9月30日)の決算を発表した。同社の業績は、売上高277億1,400万ドル(前年比4.5%減)、営業利益56億6,400万ドル(前年比46%減)、純利益43億9,500万ドル(前年比52.2%減)と大幅減益となった。
売上高は微減に踏みとどまったものの、「メタバース」事業を含めたReality Labs部門が引き続き業績を圧迫した形だ。
【Meta 2022年第3四半期(2022年7月1日~9月30日)決算】
- 売上高:277億1,400万ドル<約4兆944億円>(前年比4.5%減)
- 営業利益:56億6,400万ドル<約8,367億円>(前年比46%減)
- 純利益:43億9,500万ドル<約6,493億円>(前年比52.2%減)
※最新取引レート:147.7400円で計算
「メタバース」、苦戦
主力事業のSNS「Facebook」「Instagram」などを含むFamily of Apps部門の売上高は272億ドルの前年比3.7%減となった。なお、同部門の売上高の内訳は9割が広告収入となる。
「Facebook」のDAU(1日あたりのアクティブユーザー数)は、2022年9月時点で19.8億人(前年比3%増)を記録していることから、ユーザー数の減少トレンドは見て取れない。つまり、TikTokなどの(SNS)新興勢力の登場により、Metaが扱うSNSに対する出稿が減少したことがうかがえる。
一方「メタバース」事業を含めたReality Labs部門の売上高は、2億8,500万ドル(前年比48.9%減)の大幅減収となった。バーチャル・リアリティヘッドセット「Meta Quest 2」(2020年10月発売)の売上が落ち着きを見せたことが原因だろう。
同部門では、直近ハイエンドモデルの「Meta Quest Pro」を発売。従来の「Meta Quest 2」の上位モデルとして、10個の高解像度センサー、LCDディスプレイ、アイトラッキング機能、「自然な表情」機能など新たな技術を実装している。主に開発者向けデバイスとなり、価格も22万6,800円と高額。同部門の業績を回復させる起爆剤には至らない。
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なお、Reality Labs部門の営業損失は37億6,000万ドル。赤字幅は拡大し、引き続き同社の業績を圧迫している。全社としての費用はマーケティングが微増であるなか、研究開発費が前年比45%増の91億円だった。
2023年後半に消費者向け次世代VR製品を投入予定
第4四半期の見通しは、売上高300億ドル~325億ドルになることを予測している。
決算発表(プレスリリース)において、Metaの最高財務責任者であるDavid Wehner氏は、引き続きReality Labs部門に投資を続けることを踏まえ、「業績に反映するまでは時間がかかる」とコメント。
一方で業績改善には、2023年後半に投入される「消費者向け次世代VR製品」が鍵を握る。詳細は明かされていないが、消費者向けを鑑みるに従来の「Meta Quest 2」から安価・軽量化を目指したデバイスとなりそうだ。しかし、これに伴い同社はコンテンツの拡充も急務となるだろう。
Metaの創設者兼CEOであるMark Zuckerberg氏は、「収益に関する短期的な課題に直面しているが、より強力な収益成長に改善するための基礎がそこにある。2023年に向けて優先順位付けと効率性に焦点をあてる」とコメントしている。
Metaの株価も決算報告を受けて下落し、10月27日(木)の取引は25%下落して97.98ドルになった。