任天堂は11月8日、2023年3月期 第2四半期の連結決算を発表した。上期の累計業績(2022年4月1日~9月30日)は、売上高が6,569億円(前年同期比5.2%増)、営業利益が2,203億円(同0.2%増)、経常利益が3,224億円(同36.5%増)、純利益が2,304億円(同34.1%増)の増収増益となった。
『スプラトゥーン3』がハードウェア・サブスクを牽引
上期においては、主に為替レートが円安に推移したことにより、売上高、営業利益、経常利益、純利益すべてが増加。ソフトウェアは9541万本(同1.6%増)と前年同期を上回ったものの、Nintendo Switch本体の販売台数が半導体部品の不足の影響等で668万台(前年同期比19.2%減)と落ち込んだ。なお、ソフトウェア販売のうち38.5%がダウンロード版の購入となっている。
ハードウェアは上記の理由によりセルイン(メーカーから小売店への販売)が大幅減となったが、セルスルー(小売業者による販売台数)は微減にとどまり、前年同期と近い水準となっている。大ヒットを記録した『スプラトゥーン3』をはじめ『Nintendo Switch Sports』(615万本)や『星のカービィ ディスカバリー』(261万本/累計527万本)、『マリオカート8 デラックス』(307万本/累計4,841万本)など定番タイトルが牽引した形。
『スプラトゥーン3』は発売後3日間で345万本を販売し、発売後4週間での販売本数は670万本を記録する大ヒットとなった。現在の販売本数は790万本にのぼる。発売に先駆けて行われたゲーム内イベント「前夜祭」(無料で体験可能)での統計によると、全体の半数以上が新規ユーザーと、過去作で離れてしまったユーザーで占められた。新規の流入に成功した結果、IPとして飛躍的な成長を遂げている。
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Nintendo Switchの販売は今年で6年目となり、Nintendo Switch Lite や有機ELモデルなど3つのモデルを市場に投入。累計販売台数は1億台を突破している。長期となったことで機種の買い替えや追加購入をするユーザーが増えており、2台目以降として購入されたハードウェアは全体の約3割になるという。
デジタル売上⾼(パッケージ併売ダウンロードソフト、ダウンロード専⽤ソフト、追加コンテンツ、Nintendo Switch Online等の売上⾼)においては、前年同期⽐30.2%増の1,878億円を記録。『スプラトゥーン3』や『Nintendo Switch Sports』のダウンロード版が好調となった。ゲーム専⽤機のソフト売上⾼に占めるデジタル売上⾼の割合は51%となり、半数を超えている。
サブスクリプションサービス「Nintendo Switch Online」の有料会員数は、2022年9月末現在で3600万以上に。『スプラトゥーン3』など、オンラインプレイ対応タイトルの発売に伴って会員数が増加したと見られる。
前期(2022年3月期)はロングセラーの『マリオカート8 デラックス』(2017年)や、『あつまれ どうぶつの森』(2020年)の追加DLC配信等により、デジタル売上高が2018年3月期と比較して約6倍の3,596億円に成長した。
2023年以降には「Nintendo Switch Online + 追加パック」加入者向けに『ゴールデンアイ 007』を提供するなど、ニンテンドー64の名作ラインアップもさらに増やしていく方針。
3Qは『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』に注目
2023年3月期通期の業績予想では、Nintendo Switch本体の通期における予想販売数量を期初より200万台減の下方修正。一方、為替レートを見直した結果として、売上高を1兆6,500億円、経常利益を5,600億円、および純利益を4,000億円と上方修正。営業利益は5,000億円に据え置いている。
なお発表によると、Nintendo Switch本体の生産状況について「半導体部品等の調達が徐々に改善し、ハードウェアの生産は回復傾向にある」としている。
第3四半期は2022年11月18日に発売予定の『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』の発売が控えており、人気IPタイトルの最新作がハードウェアの販売、およびオンライン要素によるサブスク加入を牽引することが期待される。