2021年の韓国ゲーム産業、労働環境は改善するものの課題も浮き彫りに

 韓国コンテンツ振興院は2021年12月30日、「2021ゲーム産業従事者労働環境実態調査」の研究報告書を公開した。韓国の大手ゲームメディア「INVEN」が報じている。

 この研究は2019年から毎年行われてきたもので、ゲーム産業従事者の労働環境の実態を主要項目別に綿密に調査・分析し、政策争点や課題を導き出すことにより労働環境の改善策を模索することを目標としている。

 昨年は週52時間労働制※の拡大適用とコロナ禍の長期化によって在宅勤務が本格的に導入されたことで生じた、ゲーム産業従事者の労働環境の変化について詳しく分析。

※韓国では2018年2月に改正勤労基準法が成立。労働時間の上限を週68時間から週52時間に短縮し、週40時間となる法定労働時間の延長労働上限を週12時間に削減している。施行は従業員規模に応じて段階的に行われ、300人以上の企業と公共機関は2018年7月1日、50人以上300人未満の企業は2020年1月1日、5人以上50人未満の企業は2021年7月1日となっていた。

▲仕事の満足度は全般的に大きく増加した
※画像は「2021 ゲーム産業従事者労働環境実態調査」より

 

 同報告書によると昨年、韓国国内のゲーム産業従事者の業務への全般的な満足度は64.5ポイントと、2020年の59.2ポイントだったのに比べ、5ポイント以上と大幅に伸びた。

 具体的には、勤労時間満足度が59.2ポイントから64.0ポイントへ、ワークライフバランス満足度は61.3ポイントから64.2ポイントへ大きく上昇し、賃金・報酬水準満足度は56.5ポイントから58.3ポイント、福利厚生水準満足度は58.9ポイントから60.9ポイントへと微増した。

 このような結果について報告書では、週52時間労働制の拡大適用と在宅勤務導入の拡大が好影響を及ぼしたと分析。実際、2020年に会社が週52時間労働制を導入したと明らかにした従事者が68.2%だったのに対し、昨年は85.9%と大きく増加したことが確認できた。

▲クランチモードの経験率は毎年減少傾向にある

 

 業界で長年の慣行とされてきたクランチモードは毎年減少していることが調査で分かった。 クランチモードの経験率は2019年60.6%から2020年23.7%へ大幅に減少し、昨年は15.4%まで減少。これについて報告書は、「週52時間労働制の導入によってクランチモード発生の可能性が縮小したため」と説明した。

 一方、週52時間労働制の定着のために企業が改善すべき事項と関連して、「従事者たちは新規人材の追加採用と柔軟な勤務体制の導入などが急がれる」と伝えつつ、「政府は追加人材採用の際の人件費支援などをしてほしい」と述べている。

▲両極化の深化と海外進出の困難が2020年に比べて大きく増加した

       

 ただ、ポジティブな変化だけではない。コロナ禍が長期化するにつれ、それによる悪影響もますます大きくなっている。これと関連して大きく2つの問題が目立った。

 第一は、大手開発会社と中小開発会社との二極化だ。2020年の両極化について「非常に深刻だ」23.9%、「やや深刻だ」33.7%で半分をやや超えたのに対し、2021年は「非常に深刻だ」40.6%、「やや深刻だ」44.1%と大きく増加した。

 版号(中国でゲームをリリースするために必要)の取得をはじめとする海外進出の難しさも、さらに大きくなったように見える。2020年は「非常に深刻」7.7%、「やや深刻」16.7%だったところから、2021年はそれぞれ19.5%、40.4%増加し、両極化問題と海外進出の難しさを深刻に見ていることが調査で判明した。

 このような調査結果に対して、韓国コンテンツ振興院は、「コロナ禍以降、両極化はさらに悪化した」とし、「採用、人材、労働環境の両極化につながるので、これに対する政策的関心が必要だ」と説明した。

 一方、ゲーム産業の労働環境の問題は「結局は業界の両極化問題と密接に関連している」とし、「政府は、週52時間労働制を遵守するための製作インフラの拡充や改善のための費用支援、開発会社への支援などを通じて制度自体は定着させながら、中小ゲーム会社の負担を軽減できる各種政策的支援策を模索し、適用すべき」と提言した。

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森口 拓海(Takumi Moriguchi)
森口 拓海(Takumi Moriguchi)
雑誌やWEBメディアを中心に記事を執筆。ゲームは雑食で多様なジャンルを好み、業務の延長でアプリ分析も得意。恩のあるゲーム業界に貢献すべく日々情報を発信。

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