中国テンセント、新たなM&A戦略により「国外ゲーム企業の買収を積極的に模索中」との報道 

 中国大手のテンセントがM&A戦略を改め、国外ゲーム企業の過半数株式取得に重点を置く方針を定めたという。関係者からの情報を基にロイター通信が報じている。

 テンセントはこれまで、英ゲーム開発会社Frontier Developmentsに対して9%の少数株主持分を取得するなど、国内外の新進企業に対して少数株主持分を取得する金融投資を長年行ってきた。

 一方、同社が国外で行った大きな買収といえば、2016年に『クラッシュ・オブ・クラン』で知られるフィンランドのゲーム開発会社Supercellを86億ドル(当時約7700億円)で買収したことや、2021年に「リトルビッグプラネット」の英ゲーム開発会社Sumoを12億7000万ドル(約1400億円)で買収したことが挙げられる。

 また、今年に入ってからは、2月にポーランドのゲーム会社1C Entertainmentなども買収している(関連記事)。「Men of War」「King’s Bounty」など戦略シミュレーションで知られる同社は7月に社名を「Fulqrum Games」へと変更した。

 報道によると、今後は特に欧州のゲーム会社における株式の過半数を所有することを積極的に模索するという。また、ゲーム分野とは別に、いわゆるメタバース関連企業も買収を検討しているとのこと。

 Refinitivのデータによるとテンセントは今年、海外では30億ドル(4,323億円)相当の27件の取引を行ったのに対し、中国国内ではほとんど投資を行っていないという。

 直近の動きとしては、8月末にテンセント傘下Sixjoyを通してフロム・ソフトウェアの持株16.25%を取得し、ソニーと並ぶ少数株主となった(関連記事)。9月上旬には、Ubisoft子会社を通じて同社への出資を3億ユーロ(約429億円)に拡大。Guillemot Brothers Limitedの49.9%の経済株と5%の議決権を取得したほか、Ubisoftへの直接出資比率を4.5%から9.99%まで増やすことを可能とした(関連記事)。

 中国ではゲームに対する規制強化が続いているのに加え、コロナ禍の緩和による需要低下の影響を受け、ゲーム業界全体が停滞傾向に。そのためテンセントは2022年4~6月期、史上初となる減収を報告していた。

 減収に影響した要因のひとつとして、テンセントは1年以上の期間、新作タイトルが国内でリリースできていない状況がある。中国では新たにゲームを配信・販売する際、行政機関である国家新聞出版署から「版号」(ライセンス)を交付される形で認可を受ける必要があるが、今年9月に新規タイトルが通過するまで、1年3ヶ月もの期間、版号が交付されていなかった(関連記事)。

 そうした背景の中、国内での成長鈍化を相殺するために、国外市場への展開を急進。昨年12月には、オランダとシンガポールを拠点とするグローバルブランド「Level Infinite」を立ち上げるなど、自社タイトルや協業タイトルのグローバル展開を進めている(関連記事)。

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森口 拓海(Takumi Moriguchi)
森口 拓海(Takumi Moriguchi)
雑誌やWEBメディアを中心に記事を執筆。ゲームは雑食で多様なジャンルを好み、業務の延長でアプリ分析も得意。恩のあるゲーム業界に貢献すべく日々情報を発信。

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