米・Fandomは10月3日、GameSpotやMetacritic、Giant Bombなど複数のメディアサイトを買収したことを発表した。正式な買収の条件は公開されていないが、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によれば、買収額は5500万ドル(約79億円)にのぼるという。
Fandomは、エンターテインメントコンテンツに関する情報を扱う世界最大ファンサイト。ゲームをはじめ、映画・テレビ・漫画・アニメなどさまざまなジャンルで作品ごとにWikiが作成され、ファンが知識を共有し情報を累積していく仕組みが特徴。発表時点で、毎月3億5000万人以上のUU(ユニークユーザー)が訪れ、25万以上のWikiをホスティングしている。
同サイトは「Wikipedia(ウィキペディア)」の創始者のひとりであるJimmy Wales氏と、Angela Beesley氏が2004年に創設。立ち上げ当初の「Wikicities」や「wikia」という名称を経て、現在のサービス名「Fandom」となった。
今回の買収により、ゲームメディアGameSpotや「メタスコア」で知られるレビュー集積サイトMetacritic、動画によるゲーム批評サイトGiant Bombなど合計7ブランドがFandomのメインプラットフォームとして統合される。これらのブランドは、メディアサイトを多数保有するRed Venturesから売却されたもの。
上記のほかには、ユーザー同士でゲームのFAQを投稿するGameFAQs、エンタメニュースサイトCord Cutter News、コミックデータベースComic Vine、テレビ番組の情報発信サイトTV Guideなどが含まれている。
Fandomはこの取引について「アフィリエイトやコマースを促進し、広告主にとって全方位の機会を拡大しながら、ファンのリーチとエンゲージメントを拡大する取引になる」としている。
同社は3億5000万人以上のUUを誇るFandomと25万のWikiコミュニティに、合わせて4600万MAU(月間アクティブユーザー数)の上記7ブランドが統合することで、さまざまなエンタメ作品のファンが最初に交流先として選ぶコミュニティのプラットフォームを形成し、リーチの拡大を目指す。
また、広告主などパートナーに対しても、Fandomのプラットフォームが拡大することで消費者(ファン)のエンゲージメントを促進させ、Fandom独自のデータプラットフォームであるFanDNA内のデータとインサイトを強化できる利点を強調。これにより、Fandomのアフィリエイトとコマースへの取り組みを促進し、同社のゲームコマース事業であるFanaticalの収益を加速させることができるとアピールした。
FandomのCEOであるPerkins Miller氏は、「これらの強力で権威あるブランドを迎えられたことによって、Fandomのプラットフォームはエンタメコンテンツのファンにとってワン・ストップ・ショップになるでしょう」と今回の買収による展望を語っている。