「Facebook」を運営するテック大手Metaは11月9日、チームの規模を約13%縮小し、11,000人以上の従業員を解雇することを発表した。チーム縮小のほか、裁量的な支出を削減し、雇用の凍結を来期第1四半期まで延長するなどの追加策を行う。
同社CEOのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏はこの決定の経緯について、コロナ禍における世界のデジタル化によりeコマースなどの分野で収益が大幅に増加していたことを挙げ、「これはパンデミック終了後も続く恒久的な成長になると予測し、投資額を大幅に増やす決断をしましたが、期待通りにはいきませんでした」と説明。そして「私の勘違いであり、その責任は私にあります」と、影響を受けた関係者に対して謝罪の意を表明した。
また、eコマースのトレンドが以前の水準に戻っただけでなく、マクロ経済の悪化、競争の激化、広告のシグナルロスにより、同氏の予想よりも収益が大きく低下したという。今年10月の第3四半期(2022年7月1日~9月30日)決算発表においては、売上高を前年比4.5%減に留めたものの、同社のメタバース関連の取り組みが業績を圧迫し、純利益が前年比52.2%減となる大幅な減益を報告している。
【関連記事】
米Meta、第3四半期の純利益が前年比52%減の大幅減益 メタバース事業等が苦戦
こうした状況に、これまで事業全体のコスト削減や、効率性の向上を目的としたチームの再編成などで対策。投資においても、AIディスカバリーエンジン、広告およびビジネスプラットフォーム、メタバースに関する長期ビジョンなど、優先順位の高い少数の成長分野に集中するようシフトしてきたが、「最後の手段」としての大量解雇は免れなかった。
対象となるのはFacebookやInstagramなど同社の各サービスを手掛けるFamily of Apps部門と、VR・XRやメタバース関連事業を担うReality Labs部門の組織すべて。ただし、「いくつかのチームは他のチームよりも大きな影響を受けることになる」としている。
Metaはパンデミックが発生した2020年以降、加速するデジタル化にあわせて大幅に人員を増加し、2022年9月までに4万人以上の新規採用を行った(WSJ調べ)。今期Q3の決算資料によると、22年9月末時点の従業員数は世界で8万7314人となり1年前から28%増員されていた。今後、来期Q1まで雇用を凍結し、採用人数を大きく減らす予定。