米マイクロソフトは12月13日、米連邦取引委員会(FTC)へ対し、Activision Blizzardの買収計画に関した法的拘束力のある合意事項を正式に提出したことを明らかにした。
同社は今年1月より「Call of Duty」や「World of Warcraft」といった世界的に人気なタイトルを保有するActivision Blizzardの買収を目指しており、各国の規制当局は反トラスト法(独占禁止法)にまつわる懸念から調査を実施。
FTCは12月9日、買収が成立した場合にはソニーなどの競合他社へのゲーム供給が停止されるなど、市場の競争を妨げるおそれがあるとして、差し止めを求め提訴していた。
今回マイクロソフトが提出したのは、Activision Blizzarが保有する「Call of Duty」をソニー他ライバル企業に10年間提供するというもので、7日に発表された任天堂との契約(関連記事)に続く、FTCに向けた市場への公平性を強調したアピールと考えられる。
なお、海外メディアEUROGAMERによればライバル企業への提供のオプションとして、ソニーにはPlayStation Plusでの提供も視野に入れた交渉が持ち掛けられているという。
米国だけでなく、主要市場となる欧州でも厳格な調査が進められており、買収承認への鈍化に悩まされるマイクロソフトだが、同社が公平性をアピールする一方でXboxブランドでは挑発的な発言もあったようだ。
海外メディアEUROGAMERによれば、Xboxブランドの現責任者であるフィル・スペンサー氏は7日に行われた「Second Request」というポッドキャストに出演。ソニーはコンソール市場での優位性を守るため、Activision Blizzardの買収に反対していると主張したという。
ポッドキャスト内では「ソニーはXboxブランドを縮小させることで、コンソール市場での優位性を保とうとしている」、「ソニーはPCと同時にゲームを発売しないし、ゲームの発売日にサブスクリプションにも入れません。彼らはXboxとは大きく異なるゲーム業界への見解を持っている」と発言。
同氏はその後も競合他社への提供の意思があることなど、Activision Blizzardの買収はユーザーへ利益をもたらす取引であることをアピールしながら、「ソニーが『Call of Duty』を逃さないことで、PlayStationのコンソール市場での支配的な地位を保護しようとしている」と述べたようだ。
なお、シリーズ最新作『Call of Duty: Modern Warfare 2』は、今年10月に発売されたばかりにもかかわらず、2022年に米国で最も売れたゲームとなった。
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