中国の調査会社Niko Partnersは同社のレポートにおいて、MENA (中東、北アフリカ) 地域のゲーム市場に関する調査データを公開した。
なお、同社が中東と北アフリカに特化したレポートを発表するのは2度目となる。アラビア語圏の代表的な市場としてサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプトの3カ国を「MENA-3」と定め、分析を行っている。
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レポートによると、MENA-3のゲーム売上は、2022年に18億ドル、2026年に28億ドルと5年CAGRで10%近く増加し、2022年末の値より56%増加すると予測。ゲーマー数は2022年に6740万人、2026年には8730万人と推定され、5年間のCAGRは約6%となり、ARPUは長期的に上昇すると予想されている。

特にエジプトは、前年に引き続きMENA-3地域で最大のゲーム人口を有し、最も急速に成長している市場。一方、サウジアラビアはゲーム売上高で最大の市場であり、同地域のゲーム大国と言える。そして、UAEは3市場の中で最も高いARPU(1ユーザーあたりの平均収益)を有している。
Niko PartnersはMENA-3地域を「モバイルゲーム、官民の投資、esportsが成長を牽引し、シンガポールや中国といった世界的なesports大国と肩を並べる存在になることが予想される」と分析。
属性としては、MENA-3地域のゲーマーの76%は35歳未満であり、中でもエジプトはサウジアラビアやUAEに比べ、デジタルネイティブとされる25歳未満のゲーマーの割合が非常に高くなっている。
また、MENA-3地域のゲーマーのうち73%が、esportsコンテンツの視聴、esportsゲームのプレイ、アマチュアまたはプロとしてのトーナメントへの出場など、何らかの形でesportsに関与していることが明らかになっている。
なお2022年、各国の動きとしては、11月に日本オンラインゲーム協会(JOGA)とサウジアラビアeスポーツ連盟(SEF)が、両国のPCやスマートフォンゲームのオンラインゲーム産業の発展を目的とした提携を発表(関連記事)。
サウジアラビアは「2030年までにサウジアラビアをゲームとesportsの分野における究極のグローバルハブとすること」を目標として掲げており、ゲーム・esports分野への長期的な投資戦略を公開(関連記事)。政府系ファンドを通じた大手ゲーム企業への出資を行うほか、国内に250のゲーム会社を設立し、39,000人の雇用を創出する計画を明らかにしている。
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UAEも、新技術のイノベーションを促進することを目的とした「Dubai Metaverse Strategy」(ドバイ・メタバース戦略)を発表(関連記事)。ハムダン皇太子(Hamdan bin Mohammed Al Maktoum)はこの中で、ドバイを世界トップ10のメタバース経済国に成長させること、およびメタバースコミュニティのグローバルハブにするための経済戦略を明らかにしている。
ドバイは今後5年間でブロックチェーンとメタバースの企業数を5倍に増やし、4万人のバーチャルジョブをサポートすることで、ドバイに40億ドル(約5,446億円)の経済効果を生み出す狙いだ。