オーストリアの裁判所が、エレクトロニック・アーツ(EA)の「FIFA」シリーズにおけるルートボックス(ガチャ)に関して、同国の賭博法に違反しているとの判決を下し、影響を受けたプレイヤーに返金を要求しているという。ドイツのメディアGamesWirtschaftが報じた。
報道によると、オーストリア・ケルンテン州ヘルマゴルの地方裁判所が、「FIFA」シリーズにおけるゲームモード「FIFA Ultimate Team」(FUT)のルートボックス(ガチャ)がギャンブルの一種だと判断。原告となった「FIFA」プレイヤーがPlaystationを通じて課金をしていたことから、EAではなくプラットフォーマーであるソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)に対して返金を求めたという。
FUTは、選手を集めて自分だけのチームを編成し、ライバルと対戦できるゲームモード。選手の入手方法のひとつに、選手やクラブアイテムといったコンテンツがランダムに収録されているパックの販売があり、ゲーム内のポイントもしくは課金することで購入できる。
パックから獲得したコンテンツは他のプレイヤーとゲーム内通貨による売買が可能(現金に変換はできない)で、課金がゲーム内でのアドバンテージに繋がる点が指摘されている。
「FIFA」プレイヤーとSIEの間での訴訟は2020年から提起されており、当時17歳の原告が400ユーロを「賭けた」として、賭博法に違反していることを主張した。その後、案件を担当する法律事務所には1000人以上の「FIFA」プレイヤーが平均して800ユーロを賭けたと連絡しているという。なお、極端な例では使用額が85,000ユーロ(122万円)に達するものもあったとのこと。
一方、裁判所がSIEに対し命じたのは、338.26ユーロの返金となる。また、SIEは控訴することができるため、判決はまだ確定していない状況。金額の大きさよりは、FUTにおける返金の前例となるかが注目される。
欧州では現在、ルートボックスに対する風向きが厳しくなり、法規制の動きも強まっている。モバイルゲームでは、Supercellの『ブロスタ』がガチャ要素の「ボックス」を廃止するなど、マネタイズに変化が見られた。