スクウェア・エニックス・ホールディングス代表取締役社長の松田洋祐氏は1月1日、同社のニュースリリース内で年頭所感を公開した。
年頭所感において松田氏は、“2021年は「メタバース元年」であるとともに「NFT元年」でもあり、大きな熱狂をもってその裾野を急速に拡大させた年であった”と振り返る。
一方でNFTについては、“現時点でのNFTによるデジタル財の取引においては、コンテンツそのものの魅力とは無関係な形で、やや投機的色彩を帯びて過熱化している状況も散見されます”と、「Play To Earn」(ゲームをして稼ぐ)に対する「Play To Have Fun」(シンプルにゲームを楽しみたい)側の懸念にも理解を示しながら、“今後幅広く一般の人々にも普及するにつれ、いずれは適正な水準に収斂していく”のではないかと分析した。
スクエニでは、こうした事業環境の変化に対し、昨年5月に発表した中期事業戦略の中で、新規領域への挑戦としてAI、クラウド、ブロックチェーンゲームを重点投資分野と定め、積極的な研究開発、投資を行ってきた。その中で、松田氏の記述の中で最も大きく取り上げられたのは、ブロックチェーン分野についてだった。
新規領域への挑戦に関しては、2021年11月5日に開催された第2四半期決算説明会概要が詳しい。
NFTに関する具体的な取り組みとして、10月14日にNFTデジタルカード『資産性ミリオンアーサー』を発売。この取り組みによって、同社コンテンツとの親和性の高さを認識したとのことで、実証実験フェーズが終了。本格的な事業化に向けた準備を進めていく運びとなっていた。
ブロックチェーンゲームについては、“トークンエコノミーをどのようにゲームデザインと融合するかが重要”という考えのもと、「分散型ゲーム」による自律的なゲームの成長を実現するエコシステムの完成を目指す。
松田氏によると、トークンエコノミーの進展により「Play To Contribute」(ゲームをより面白くするために貢献したい)層に対して明示的なインセンティブが提供されることで、一層ゲームが面白く成長する可能性が広がるという。
また、同社が従来から得意とする、RPGを代表とする完成された世界観を「完成品としてのゲームを通じたゲームプレイヤーとゲーム提供者の一方通行の関係」として中央集権型と定義。これに加え、分散型のゲームを取り込んでいくことが今年以降の大きな戦略的テーマだと語った。
毎年公開している年頭所感において松田氏は、2019年からブロックチェーン技術の応用について言及し続け、関心の高さを示し続けてきた。今回の年頭所感はブロックチェーンゲームへの本格参入を表明するより踏み込んだ内容となり、同社のデジタルエンタテインメント事業に関して大きな動きを感じさせるものとなった。
(中略)今後もこうした社会動向を注視するとともに、ゲームに関わる様々な動機を持った人々の声にしっかり耳を傾けながら、将来的な自社トークン発行も見据え、事業展開を本格化させてゆきます。
全文は以下のリンクから確認可能。