Nianticとソニーは2月16日、Nianticの持つAR 技術とソニーの音声技術を組み合わせることで「これまでにないAR体験」の提供を目的とする協業契約を締結したことを発表した。
発表によると、この提携で行う第1弾として、Niantic が提供しているゲーム『Ingress』を対象にした取り組みの準備を進めているという。開発内容の詳細については、年内に追ってアナウンスされる予定。
同社のワールドワイド プロダクトマーケティングディレクターであるArchit Bhargava氏は、公開された動画の中で「拡張現実(AR)は聴覚など他の感覚を利用することで更に没入感が増す」と語り、サウンドがゲーム体験において重要な要素であることを説明。
同氏によると現状、『Ingress』や『ポケモンGO』などに代表されるNianticの位置情報ゲームは外でプレイする都合上、サウンドをオフにして楽しむユーザーが多いという。
そこで、同日ソニーが発表した常時装着型のヘッドホン「LinkBuds」(ニュースリリース)を始めとして、より没入できるAR体験を生み出すためにさまざまな取り組みを行う。両社が持つ技術を掛け合わせ、ヘッドホンを軸に「視覚だけでなく聴覚でもARを楽しめるゲーム体験」の実現を目指すというわけだ。
「LinkBuds」とは、完全ワイヤレス型ヘッドホンで、耳をふさがない新開発のリング型ドライバーユニットを搭載することで、常時装着を可能とするソニーの新製品。
新開発のリング型ドライバーユニットは振動板の中心部を開放したつくりになっており、ヘッドホンを装着しても耳をふさがない仕様。そのため、周囲の音や自分の声を自然に取り込むことができ、加えて小型・軽量なデザインにより常時装着を実現するのだという。
Nianticはかねてより「現実世界のメタバース」を掲げており、位置情報とAR技術を軸としたリアルとデジタルの融合を目指している。今回のソニーとの協業契約は、同社のメタバース構想を加速させるものとなりそうだ。
以下、協業契約締結の発表に際して寄せられたコメントを引用。
ソニー株式会社 ホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ事業本部
モバイルプロダクト事業部 事業部長
中村 裕
ARゲーム体験におけるサウンドの役割を重要な要素と位置付けているNianticと、音のAR(拡張現実) 領域での協業を始めることをたいへん嬉しく思います。ソニーが培ってきた立体音響技術とNianticのゲームコンテンツの連携で、ヘッドホンを通じて現実とゲームが融合する驚きの体験をお届けすることをめざします。本日ソニーが発表した新商品「LinkBuds」など、ヘッドホンの体験を豊かにする、今後のさまざまな取り組みにご期待ください。
Niantic, Inc. 副社長/株式会社ナイアンティック 代表取締役社長
村井説人
数々のオーディオ製品を持つ世界的なブランドであるソニーは、優れた音声技術を持っています。このソニーの音声技術とNianticの持つAR技術が連携することで、これまでの視覚的なARだけでは作れなかった新しいAR体験の提供が可能になると考えています。現実世界の中に、より没入感のあるAR世界を提供できることを楽しみにしています。