「ゲームマーケット2022春」取材 試遊スペース拡大が販売本数アップに貢献、フィギュア等ボードゲーム関連グッズにも注目が集まる

 アークライトが主催するアナログゲームイベント「ゲームマーケット2022春」が、4月23日(土)・24日(日)に東京ビッグサイトにて行われた。

 新型コロナウイルスに対するまん延防止等重点措置が3月22日に解除され、エンタメ業界の活気が少しずつ戻りつつある中で開催された本イベント。会場には、企業・一般を含めた延べ610ものブースが出展し、新作ボードゲーム作品の先行販売やイベント限定品の販売等が行われていた。

 本稿では、イベント1日目の模様についてレポートしていく。また、ボードゲームの最新情報やブースのコンセプト、今後の展開について、アークライト営業部の鈴木健右氏にインタビューを実施したので、あわせてお届けする。

 

ボードゲームの試遊スペースが拡大
コロナ前の活気を取り戻す

 まん延防止等重点措置が解除された1か月後の開催となったゲームマーケット2022春。電子チケットによる入場者数のコントロールや、検温、消毒といった感染防止対策を徹底しながらも、ボードゲームの試遊スペース拡大などの規制の緩和が見られた。

 各ブースでは、来場者がボードゲームを手に取ったり、試遊したりしている姿を見ることができ、コロナ前の活気を徐々に取り戻しつつあるような印象を受けた。

 ボードゲームのコンポーネントについて見やすく展示がされていたり、パッケージを螺旋状に積むなど作品の見せ方に工夫がされていたりと、ブースによって特徴は異なる。ゲームの世界観に即したコスプレをしたスタッフが作品の紹介をしてくれたりと、非日常感がたっぷりと味わえることも、イベントならではの楽しみだろう。

 カタログやペーパーなどを手渡ししてくれるスタッフも多く、両手がみるみるうちにボードゲーム資料でいっぱいになってしまった。

▲可愛らしいイラストが目が引く「やのまん」ブース。『フロンティア・ウィズ・ブラウニーズ』という開拓タイルゲームの紹介が行われていた。
▲「タンブルウィード」ブース。螺旋状に積まれた謎解きゲーム『ECO』が来場者の注目を集める。
▲「すごろくや」ブースの『アメリアの秘密』は、ARを活用した脱出ゲーム。スマートフォンを用いると、アイテムが浮かび上がり、調べることで脱出のヒントを得ることができる。
▲「goonie cafe」ブースのマーダーミステリー『SORCIER 賢者達の物語』。スタッフ全員が魔法使いの衣装を着用。来場者からの写真撮影に笑顔で応じていた。
▲「冒険企画局/クリエイティブAHC」のブースでは、無料の謎解きゲーム「無料ナゾ」が配布。
▲ゲームデザイナーのアレックス・ランドルフ氏の生誕100周年を記念したブースのトークセッションには、多くの聴講者が集まっていた。

 人気のマーダーミステリーは、前年に引き続き専用のブースが設置されていた。それぞれの作品概要について紹介するミニのぼりも用意されており、内容についてイメージが湧きやすいような工夫がされている。

▲ブースのイメージカラーも、去年に引き続き緑一色。スタッフの髪の色まで緑色というこだわりようだ。

 小学館や集英社、ブシロード、コナミデジタルエンタテインメントといった大手企業による出展ブースも多い。小学館はClaGlaと共同で「小学館グッドゲームズ」ブースを展開。

 コナミデジタルエンタテインメントは、オーシャンフロンティアとドロッセルマイヤー、集英社の4社で「ヨフカシプロジェクト」を展開。ブシロードは、カジュアル層に向けたブランド「TERIYAKI GAMES」としてブースを展開していた。

▲「小学館グッドゲームズ」ブースは、作品のキャラクターデザインを担当したココナス☆ルンバ先生によるサイン会を開催。
▲キャラクターイラストが目を引く「ヨフカシプロジェクト」ブース。
▲ブシロードメディアのボードゲームブランド「TERIYAKI GAMES」ブースでは、スーパーマンのような服装をしたキャラクターが登場。自社ボードゲーム作品について、熱意たっぷりに紹介してくれる。

 JELLY JELLY GAMESは、人気サイト「オモコロ」が展開する「オモコロゲームス」とコラボした『ミタイナ』、芸人のなすなかにしさんとコラボした『ユーテル』を販売し、話題を呼んだ。

 ガチャや福袋など、運試しが楽しいブースもあった。特に「ジーピー」ブースでは、税込価格4万700円の『カタン 3D版』が特賞の抽選に、1回1,000円で挑戦ができるということで、長蛇の列ができていた。

▲「ボドゲーマ」ブースでは福袋を販売。

 

アークライト営業部・鈴木健右氏インタビュー

▲アークライト営業部・鈴木健右氏

 今回のアークライトブースの目玉商品は、何と言っても東宝の『ゴジラ』のIPを活用したボードゲームKaiju on the Earth LEGENDS『ゴジラ』だ。ブース入り口には、ゴジラの巨大フォトスポットが設置。ゴジラの迫力ある鳴き声とともにテーマ曲が流れるなど、世界観に没入しやすいような空間を提供してくれていた。

 同作は、ゲームマーケット2022春の開催日に合わせて販売を開始。イベント開催早々に売り切れるほどの人気ぶりで、見事華々しいデビューを飾ってみせた。本作の詳細については、PickUPs!にて記事を掲載しているので、ぜひチェックしてみてほしい。

 『Kaiju on the Earth LEGENDS』の全身となる『Kaiju on the Earth』は、ゲーム内に登場する怪獣がフィギュア化されることが決定。アニメや映画IPを活用したボードゲームが多い中で、鈴木氏は「ボードゲーム作品がIPとして展開していくことも十分に考えられる」と話す。

 前述した『Kaiju on the Earth』のフィギュア以外にも、アークライトは人気ボードゲーム『ito』のグッズ展開を果たしている。アークライト以外にも、JELLY JELLY GAMESやオインクゲームスなど、自社IPを活用したキーホルダーといったアイテムを販売しているメーカーも多い。

▲『ito』の関連グッズ。ゲームのイラストを活用したクッションやアクリルキーホルダーが展示。
▲「JELLY JELLY GAMES」ブースでは、作品の表紙イラストを活用したキーホルダーとオリジナルのイヤーカフを、カプセルトイマシンの景品として販売。
▲「オインクゲームズ」ブースでは、クリアボトルやトランプ、ノートを販売。新作全部を割引価格で購入できる、お得なセットも登場。

 アークライトはまた、ライト層に向けた新レーベル「キャラメルシリーズ」を展開している。シリーズの特徴としては、低価格、手のひらサイズ、ルールが簡単であることの3つが挙げられる。鈴木氏によると、新レーベルを立ち上げたきっかけとして、「ボードゲームをもっと気軽に手に取ってもらいたい」という思いがあったそうだ。

 これまでにキャラメルシリーズとして第1弾『ワードッチ』、第2弾『ピッタンコはんはん』がリリースされているが、いずれも1,320円(税込)と低価格。ゲームマーケットでは1,000円の特別価格で販売を行ったところ、想定していた以上の売れ行きを見せたという。

 これについて鈴木氏は、低価格であることもさることながら、「ルールが理解しやすい作品は、メディアやYouTubeなどの動画、SNSで扱いやすい。そういった情報を通じて、作品に興味を持たれている方も多いのでは」と分析。そのほか、「キャラメルシリーズを試遊できるスペースを設けたことにより、作品の面白さがより伝わりやすくなったことも、販促に繋がったのではないか」とも続けた。

 「キャラメルシリーズ」最新作として、カナイセイジ氏が手掛けた『クイックショット!』が6月にリリースされることがアナウンスされている。

▲『ワードッチ』のリメイク元である『ワードスコイ』、『ピッタンコはんはん』のリメイク元である『ひきわけしわけ』も展示されていた。リメイク前・後の作品を見比べてみるのも楽しい。
▲ラブレター10周年を記念した一角。第2版となり、表紙とカードデザインがシンプルなデザインに刷新。
▲ブースにて先行販売が行われた『レッド・ライジング』(左)と『グルームヘイヴン スタートセット 獅子のあぎと』(右)。

 イベント来場者数については、2020年11月開催の「2020秋」が13,300人、2021年4月開催の「2021春」が12,500人と下降傾向にあったが、同年11月開催の「2021秋」では18,000人まで上昇していた。

 これまでのイベント来場者数のピークは、2019年11月開催の「2019秋」の29,300人。鈴木氏は来場者数について「コロナ前の状態まで回復することをひとつの目標にしている」と話し、回復後は「会場を拡大して待機時間を解消するなど、ボードゲームファンの皆様にとって快適なイベントづくりに繋げていきたい」と続けた。

 次回のゲームマーケットは、2022年10月29日(土)・30日(日)に開催予定。

「ゲームマーケット」公式サイト

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島中 一郎(Ichiro Shimanaka)
島中 一郎(Ichiro Shimanaka)https://www.foriio.com/16shimanaka
ライター。ゲーム・アニメ業界を中心にニュース記事の執筆、インタビュー、セミナー取材などマルチに担当。ボードゲームが趣味であり、作品のレビューや体験会のレポートを手掛けるほか、私生活で会を催すことも。無類のホラー好き。

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