香川県ネット・ゲーム依存症対策条例、違憲の訴えが退けられる 

 高松地方裁判所は8月30日、子どものインターネットやゲームの依存対策として利用時間の目安などを定めた「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」に関する裁判について、高松市出身の大学生と母親の訴えを棄却した。KSB瀬戸内海放送など複数のメディアが報じている。

 この裁判は、2020年9月、高松市の高校3年生(当時)と母親が、県にあわせて160万円の損害賠償を求め提訴したもの。裁判費用はクラウドファンディングで600万円超が集められ、当初条例における「パブリックコメントが不透明」、「制定過程が不適切」、「違憲の可能性がある」点を論点としていた。

 なお、原告側の代理人弁護士が今年3月に辞任し、4月25日には原告側が訴訟の取り下げを申請していた。香川県側はこれ認めず審理を継続し、5月16日にすべての審理が終了した結果、8月30日に判決が言い渡された形。

 香川県議会が制定し、2020年4月に施行した同条例は、子ども(18歳未満)のゲーム利用時間を平日60分、休日90分までと上限を定めることや、スマートフォンの利用を義務教育終了前の子どもは21時まで、それ以外の子どもを22時までに止める(家族との連絡、学習目的での利用については除く)ことを目安に推奨するなど明記したもの。これらは努力義務として定められており、罰則等はない。

 報道によると、原告側は、ネット・ゲーム依存症の定義や時間制限を設けることの「科学的根拠」が不明確であること、条例が自己決定権や幸福追求権などの基本的人権を侵害していることを主張

 一方、香川県側は「ネットやゲームの使用時間を制限、遮断することが、依存の予防や治療の一つの方法であることは専門家によって繰り返し指摘されている」として条例の合理性を主張。時間制限については「家庭内の話し合いの際の目安を定めた努力目標であり、条例は香川県民の利益を何ら侵害していない」とした。

 判決にあたり、高松地裁の天野智子裁判長は「医学的知見が確立したとは言えないまでも、過度のネット・ゲームの使用が社会生活上の支障や弊害を引き起こす可能性は否定できず、条例が立法手段として相当でないとは言えない」と指摘。条例は原告らに具体的な権利の制約を課すものではないとして「憲法に違反するものということはできない」と、原告の訴えを退けた。

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森口 拓海(Takumi Moriguchi)
森口 拓海(Takumi Moriguchi)
雑誌やWEBメディアを中心に記事を執筆。ゲームは雑食で多様なジャンルを好み、業務の延長でアプリ分析も得意。恩のあるゲーム業界に貢献すべく日々情報を発信。

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