日本では2022年、メタバース・NFT・Web3を含むテクノロジが「過度な期待」のピーク期に

 ガートナージャパンは9月1日、「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2022年」を発表した。公開されたハイプ・サイクルでは、未来志向型と捉えられるインフラストラクチャを中心とする36のテクノロジや、トレンドとなっているキーワードが取り上げられている。

 日本に特化した2022年版ハイプ・サイクルでは、新たにメタバース、自律分散型組織、都市型エア・モビリティ、デジタル・ヒューマン、ソフトウェア定義型自動車の5項目を追加。メタバースとともに現在注目が高まっているNFT (非代替性トークン) とWeb3も、「過度な期待」のピーク期に位置付けられている (図参照)。

 

図1 日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2022年

出典:Gartner (2022年9月)

 ガートナーのハイプ・サイクルとは、テクノロジやアプリケーションが時間の経過とともにどのように進化するかを視覚的に説明したもの。成熟度と採用状況、およびテクノロジとアプリケーションが実際のビジネス課題の解決や新たな機会の開拓にどの程度関連する可能性があるかを図示している。

 イノベーションが過度にもてはやされる期間を経て幻滅期を迎え、最終的には市場や分野でその重要性や役割が理解され進化する共通のパターンを描いており、主に5つの重要なフェーズが存在する。

ハイプ・サイクルの仕組み(リリースより引用)
  • 黎明期: 潜在的技術革新によって幕が開きます。初期の概念実証 (POC) にまつわる話やメディア報道によって、大きな注目が集まります。多くの場合、使用可能な製品は存在せず、実用化の可能性は証明されていません。
  • 「過度な期待」のピーク期: 初期の宣伝では、数多くのサクセスストーリーが紹介されますが、失敗を伴うものも少なくありません。行動を起こす企業もありますが、多くはありません。
  • 幻滅期: 実験や実装で成果が出ないため、関心は薄れます。テクノロジの創造者らは再編されるか失敗します。生き残ったプロバイダーが早期採用者の満足のいくように自社製品を改善した場合に限り、投資は継続します。
  • 啓発期:テクノロジが企業にどのようなメリットをもたらすのかを示す具体的な事例が増え始め、理解が広まります。第2世代と第3世代の製品が、テクノロジ・プロバイダーから登場します。パイロットに資金提供する企業が増えます。ただし、保守的な企業は慎重なままです。
  • 生産性の安定期: 主流採用が始まります。プロバイダーの実行存続性を評価する基準がより明確に定義されます。テクノロジの適用可能な範囲と関連性が広がり、投資は確実に回収されつつあります。
出典:Gartner (ハイプ・サイクルより)

 

 メタバースは、先日グローバルで発表した「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2022年」では黎明期に位置付けられているが、このハイプ・サイクルでは「過度な期待」のピーク期に位置し、日本ではグローバルよりも早い段階で過度な期待が寄せられていることを示している。

 上記の図によれば、「過度な期待」のピーク期を過ぎると、関心が薄れる「幻滅期」に突入。この溝を乗り越えたものが、実用化に耐えうるのだという。このパイプ・サイクルでは現在、メタバースや関連して話題となっているNFT、Web3といったテクノロジが日本において、近いうちに壁に当たる可能性を示唆している。

 なお、ガートナーは、メタバースを「仮想的に拡張された物理的現実とデジタル化された現実の融合によって創り出される集合的な仮想共有空間で、継続的なイマーシブ・エクスペリエンス (没入感) を提供するもの」と定義。デジタルや物理的現実の中で自分たちの生活を向上させ、拡張することを望む人々の存在が、メタバースの大きな推進要因となっているという。

 同社アナリストの亦賀忠明氏は「メタバースでは、VRから派生した『デジタルのリアル化』の中でアバターを超えたデジタル・ヒューマンがリアリティになりつつあります。さらに、AR、IoT、5G/6G、分散クラウド、メッシュ、振る舞いのインターネット、ソフトウェア定義型自動車 (SDV)、都市型エア・モビリティ、ジオロケーション、衛星コンステレーションといったテクノロジを融合した『リアルのデジタル化』のトレンドが進化することで、これから2030年から2040年といった長期レンジで世の中をフルデジタルかつPeople Centric (人中心) な世界に変えていくでしょう」と述べている。

 また、メタバースの注目とともに急速に注目度が上昇しているWeb3は、メタバースの中で価値や権利のやりとりを可能とする点において中核的な位置付けとなり、NFTの活用機会などをもたらす新たなプラットフォームと位置付けられている。Web3によって、インターネット規模で非中央集権型の取引/やりとりを自由に進められる仕組みが広がれば、中央集権型を取る現在の社会が大きく変わる可能性があるという。

 関連して、Web3プロジェクトの重要なガバナンスの仕組みである自律分散型組織 (DAO) は、人、マシン、企業、他のDAOとビジネス上のやりとりを行う、ブロックチェーン上で自律的に動作するデジタルの集合体を指す。既存の組織の運営法に影響を及ぼす可能性があるため、極めて重要であり、日本でも期待が高まっている。

 おなじく同社アナリストの鈴木雅喜氏は「日本の企業がデジタル化を推進する機運は、2020年以降かつてない高まりを見せ、同時に社会や企業の未来を左右する重要なトレンドとコア・テクノロジ群が広がり始めています。デジタル化やイノベーションを推進するITリーダーは、本ハイプ・サイクルで取り上げている注目すべきテクノロジやキーワードを認識し、自社に及ぶ影響について評価を開始すべきです」と述べている。

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森口 拓海(Takumi Moriguchi)
森口 拓海(Takumi Moriguchi)
雑誌やWEBメディアを中心に記事を執筆。ゲームは雑食で多様なジャンルを好み、業務の延長でアプリ分析も得意。恩のあるゲーム業界に貢献すべく日々情報を発信。

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